余計な前書き 5月に新緑を楽しむ山旅として白神山地を考えたのだが、調べてみると計画は一筋縄ではいかないことがわかってきた。白神山地の世界自然遺産登録地域はほぼ入山禁止で、白神岳は核心地域内の一端に入山可能。だが私たちの体力では登れないので初めから対象外。青森・秋田県境にある二ツ森(ふたつもり)は初級登山者向きで、往復2時間から2時間半の行程だとのこと。しかも世界遺産緩衝地域内にあり、山頂からは白神岳・向白神岳など核心地域を一望できるそうだ。そのほか世界遺産緩衝地域内にあるトレッキングコースに暗門渓谷ルート(旧暗門滝歩道)がある。ところが二ツ森は公共交通機関で登山口に行くことが不可能で、大館能代空港から車で2時間だとのこと。さらに暗門渓谷ルートはアクセスする道路自体が5月はまだ冬季閉鎖中で、開通は6月初・中旬なのである。

 世界自然遺産登録地域には含まれないが、世界自然遺産白神山地の様相を体験できる森が青森県・秋田県の各所にある。白神山地でも最大の樹齢400年のブナがあることで人気なのが、秋田県の「岳岱(だけだい)自然観察教育林」である。しかしアクセスは二ツ森と同様に大館能代空港から車で1時間半。世界自然遺産白神山地のエリアのうち秋田県の藤里町と青森県西目屋村にある山やトレッキングコースは、マイカーでのアクセスが必須で、私たちの場合東京からの登山ツアーに参加するしかなさそうだ。

 ということで、世界自然遺産登録地域ではないものの白神山地の森を歩く景勝地やトレッキングコースがあり、アクセスしやすい青森県鰺ヶ沢町、深浦町に絞ることにした。深浦の十二湖は青池が超有名で観光地と言って良いが、よくよく調べると池巡りをする歩道が縦横にあり、それなりに歩き甲斐がありそうだ。鰺ヶ沢では保全されたブナ森の「白神の森遊山道」に行くことにした。鉄道好きなので人気ローカル線五能線の鉄旅も楽しめそう。十二湖への足場として選んだ、これまた超人気の温泉旅館「不老ふ死温泉」の予約が取れて、日本海の落日を眺めながらの温泉入浴という楽しみも加わった。

世界自然遺産「白神山地」について

 白神山地の世界自然遺産地域は中央部の「核心地域」とその周辺の「緩衝地域」があり、世界自然遺産に登録された時点から現状のまま保護されている。青森県内の核心地域では入山制限があり、秋田県内の核心地域は全域入山禁止になっている。世界自然遺産登録前からある登山道で核心地域内および核心地域付近(緩衝地域)に入山できる山は、白神岳、大峰岳、太夫峰、天狗岳、高倉森、櫛石山、小岳、真瀬岳、二ツ森などがある。また世界遺産緩衝地域内にあるトレッキングコースとしては、暗門渓谷ルート(暗門滝)がある。

白神山地|日本の世界自然遺産|環境省 »

世界遺産白神山地|青森県庁ウェブサイト »

白神山地 - Wikipedia »


5月19日 / 不老ふ死温泉へ

 東北新幹線、奥羽本線、五能線と乗り継いでウェスパ椿山駅へ。不老ふ死温泉の送迎車で旅館に到着。客室から海岸の眺めは良いが、窓の開閉できる部分が狭いすべり出しタイプなので、残念ながら客室から夕日を撮影するのには不向き。

 ともあれ大人気で今や名物となった感がある、海岸の露天風呂に入ってこよう(^^)

白神十二湖トレッキング (1)

 不老ふ死温泉の宿泊プランに「白神十二湖トレッキングプラン」という企画があり、ガイド付きの白神十二湖トレッキングが宿泊料に含まれている。現地までの送迎もしてくれる。トレッキングプランには時間別コースの設定があり、「お手軽1時間コース」「ゆっくり2時間コース」「ゆっくり4時間コース」から選択ができる。計画当時はまだ路線バスの運行前でダイヤも決まっていなかったので、渡りに船とばかり宿泊1日目を「トレッキングプランゆっくり4時間コース」で予約した。不老ふ死温泉の「白神十二湖トレッキングプラン」では、チェックイン時に傷害保険の申し込み書を渡された。

 旅行出発前の天気予想ではこの日から下り坂のはずだったが、天気の崩れが遅れているらしく素晴らしい晴天になった。朝8時にロビーに集合し、旅館のマイクロバスで出発。参加者は私たちを含めて10人くらい。車が白神十二湖エリアに入ってから、2カ所で担当してくれるガイドさんをピックアップ。「ゆっくり4時間コース」の参加者は私たち夫婦だけだった。バスの車窓からは王池が見えてきて、順次に見える池を乗り込んできたガイドさんが説明してくれた。

 出発場所の森の物産館キョロロに到着して、担当ガイドさんにあらためてご挨拶。ガイドさんの自己紹介では白神十二湖ガイド歴15年ということで、明るくはっきりした口調での話し方がとても聞き取りやすい女性だった。

 不老ふ死温泉の白神十二湖トレッキングプラン「ゆっくり4時間コース」はトレッキングは8時30分から12時30分で、12時30分に迎車が来て13時に旅館に戻ることになっている。天気が良ければ午前中でトレッキングを終了してはもったいないので、解散後にもガイドさんなしで適宜歩き、路線バスで不老ふ死温泉に戻るつもりでいた。ガイドさんにトレッキング後の予定を尋ねられたのでその旨を伝えたところ、ガイドさんの方から無料での時間延長を提案され、ご厚意に甘えることにした。

十二湖の森ガイド »

森の物産館キョロロ »

コース概要

森の物産館キョロロ --- 鶏頭場の池 --- 青池 --- ブナ自然林 --- 長池 --- 子宝の池 --- 十二湖リフレッシュ村 --- 沸壺の池 --- ブナの巨木 --- 仲道の池 --- 小夜の池 --- 影坂の池 --- 日本キャニオン --- 日暮橋駐車場

(不老ふ死温泉白神十二湖トレッキングプラン「ゆっくり4時間コース」ではありません)

 GPSログによる足跡を地理院地図に重ねたルートマップです。ボタンやマウスでの拡大・縮小や表示範囲の移動ができます。モバイル端末ではスワイプやピンチで操作してください。

 ルートマップ全体図は下のリンクボタンで開きます。レポートに戻るときは、ブラウザやスマートフォンの「戻るボタン」か、右下の「山行記録に戻る」ボタンで戻ってください。

〔8:30〕森の物産館キョロロを出発:森の物産館キョロロで、急遽お腹の足しになるような菓子を探して購入。森の物産館キョロロには軽食コーナーがあり、パンやおにぎりの販売もしているのだが、朝の8時半には軽食コーナーはまだ開店していなかった。

 白神十二湖エリア内に食堂はなく、食事が出来るのは森の物産館キョロロの軽食コーナーのみである。白神十二湖トレッキング「ゆっくり4時間コース」は一番奥で標高が高い場所にある森の物産館キョロロをスタートし、池を巡りながら下っていくコース取りのようだ。ランチのために登り返したり、再び路線バスで森の物産館キョロロに戻るのも時間が無駄なので、あらかじめランチ用のパンなどを持ってきた方が良かったようだ。

 平年より気温が高めだが、湿度が低く爽やかな風が心地よい。ブユが飛ぶ季節なので、防虫スプレーをたっぷりと使ってから歩き出した。

※ 虫について まだ数は少なかったですが、池の畔では既にブユ(ブヨ)が飛んでいました。行動中も防虫スプレーを頻繁に使って対処しました。

写真のキャプションにアイコン がある場合は、画像をクリックすると拡大表示します。拡大画像の画面は、パソコンの場合は画像下のバーの < > で、モバイル端末ではスワイプで画像を順番に見ることができます。

鶏頭場(けとば)の池

鶏頭場の池 / 十二湖
鶏頭場の池
鶏頭場の池脇の歩道 / 十二湖
鶏頭場の池脇の歩道

 スタートして間もなく鶏頭場(けとば)の池が見えてきた。名前の由来は鶏の頭の形をしているためとのこと。池の色は薄いオリーブグリーンだが、光の加減によっては浅葱色にも見える。歩道は広くて歩きやすい。

 周囲は鬱蒼とした広葉樹林に囲まれ、ハルゼミの大合唱。

ブナの新緑 / 十二湖
ブナの新緑
ブナの新芽 / 十二湖
ブナの新芽
エゾワサビ? / 十二湖
エゾワサビ?

 期待通りブナの新緑がまばゆいばかりに美しい。見上げれば透き通った黄緑や、葉が重なってできた濃い緑が目にしみる。「ブナの新芽はどれでしょう?」とのガイドさんのクイズ出題で目を足下に落とせば、ちゃんとブナの新しい世代が育ってきていた。すでにスプリング・エフェメラルの花が咲く季節は過ぎていたが、ガイドさんは山野草の花を見つければ指さして名前を教えてくれる。記憶が曖昧なうえ写真がピンボケだが、初めて見る花は「エゾワサビ」だったかな?

鶏頭場の池から崩山を望む / 十二湖
鶏頭場の池から崩山を望む
鶏頭場の池と歩道 / 十二湖
鶏頭場の池と歩道
鶏頭場の池とカツラの木 / 十二湖
鶏頭場の池とカツラの木

 サクサク歩いてしまえばどんどん先に進める歩道だが、ゆっくりペースでのガイド付きなので写真撮影も思う存分できる。樹林はブナばかりではなくミズナラやカツラ、トチノキも多いとのこと。ハート型で可愛いカツラの葉の、やわらかい緑も美しい。


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