湯の峰温泉 旅館あづまや

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湯の峰温泉 旅館あづまや
湯の峰温泉 旅館あづまや

 湯の峰温泉で圧倒的な人気を誇り、存在感がある老舗旅館である。江戸中期から後期の創業という歴史に加え、1909年に改築された純和風建築の建物が魅力である。一部明治時代の建物がそのまま残されているという。

 高浜虚子など文人たちに愛された。1974年にフランスの作家アンドレ・マルローが来館したとき、「これぞ日本の宿」と絶賛したことは有名である。

 日本建築の珍しさ・美しさと日本流の旅館のおもてなしがネットなどで広まっているのか、外国人宿泊客がとても多い旅館である。夕方お風呂への行き来でロビーを通る度に、次から次へと外国人がチェックインしていた。お風呂で一緒だったのは若い女性の2人組で、聞こえてくる会話は英語ではなくドイツ語っぽい。翌朝利用したタクシー運転手の話では、一番多いのはオーストラリア人で、次にヨーロッパの各国から。ヨーロッパでダントツに多いのがスペインからだそうだ。「道」の世界遺産として、熊野古道に先駆けスペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」が登録されているからだろう。

旅館あづまやの料理

旅館あづまやの夕食の膳
夕食の膳

 食事は夕食朝食共に部屋食。一見すると普通の旅館料理(会席料理)に見えるが、数々の料理に温泉水が使われていてひと味違う。特に美熊野牛の温泉しゃぶしゃぶは絶品。肉はしゃぶしゃぶ用より厚いスライスなのに、温泉鍋で柔らかくとろけたる口当たり。ご飯も温泉で炊かれ、ほんのり黄色くもちもちの食感。

 朝食の温泉湯豆腐はもちろん、お腹に染み渡ったのが特製温泉粥だった。

旅館あづまやの温泉

 旅館あづまやのお風呂は3つの自家泉源を使用している。湯の峰温泉は自噴(自然湧出)だから新鮮なのだが、自家源泉だとなれば湧き出したばかりの最高品質の湯なので言うことなし。

 内湯の浴室は檜造りの床、杉造りの壁、そして湯船は総槙造りで、大正時代からの木造である。槙造りの浴槽に浸かり、太い梁が支える吹き抜けを見上げると、山深い秘湯に居るような趣だった。

内湯 / 湯の峰温泉 旅館あづまや
内湯
露天風呂 / 湯の峰温泉 旅館あづまや
露天風呂

 露天風呂は特に意匠もなく、町中の露天風呂としてはこんなものだろうという感想だったが、実は日本庭園を専門とする京都大学教授の設計によるものだそうだ。

さまし湯

槙造りの浴槽 / 湯の峰温泉 旅館あづまや
槙造りの浴槽
さまし湯 / 湯の峰温泉 旅館あづまや
さまし湯

 源泉温度が90度以上と熱いため、加水し温度調節している。小さい浴槽は「さまし湯」で、全く加水せずに適温まで冷ました源泉100%の湯である。硫黄泉特有の白濁した濁り湯で、薬効が高い。

 硫黄泉だがまろやかな肌触り。飲泉してみると、温泉マニアの人たちが言うところの“ダシ味”、つまりうま味があった。ミネラルが濃い証拠である。まさに絶品の温泉だった。

 広い大浴場とそれより狭い大浴場があり、おそらくかつては男湯・女湯が限定されていた名残だろう。現在は日替わりで男女入れ替え制である。広い大浴場からは脱衣所から露店風呂に入れるが、狭い方の浴場ではいったん廊下に出なければならないし、露天風呂も小さめである。それぞれに温泉の蒸気を利用した「温泉蒸し風呂」が併設されている。他に順番制で無料の貸切り風呂がある。


11月11日 晴

湯元橋 / 湯の峰温泉
湯元橋 / 湯の峰温泉

 時間をかけてはるばる来たのだから、もう少しみっちり歩いたほうが良かったのだが、最近は日頃の運動がおろそかな私にはちょうど良かった。熊野参詣道での熊野詣気分を体験したし、熊野本宮参拝前の十津川温泉や、たどり着いた湯の峰温泉での「湯垢離」は、充分すぎるほど清めたし(笑)

 熊野古道は今回歩いたコース以外に、私たちでも歩けそうなコースが幾つかある。山歩きがきつくなったときには、海辺の参詣道を歩くのも良いだろう。「つぼ湯」は心残りだし湯の峰温泉の温泉がとにかく素晴らしかったので、機会があれば再来したい。そのときには中辺路の「赤木越コース」を歩いてみたい。

 タクシーで新宮駅へ。天気予報では崩れて雨になるということだが、午前中は晴天だった。車で下るにつれ熊野川の水は澄み、広い河川敷をゆったり流れていく。いにしえの人々が歩いた旅路を、現代人はあっという間に海に近い新宮駅に到着。駅手前の踏切で引っかかるが、運転手さんがすかさず「メーターを倒しておきますね」。でも実際は駅までワンメーター分はありそうだった。運転手さんがいい人だったので、旅も良い終わりを迎えられた(^^)

 荷物を担いで歩くので、お土産の買い物は新宮駅でと考えていたら、なんと新宮駅前には土産物店がなかった。駅の売店で買うしかなかった。売店の売り子さん曰く「以前は土産物屋さん、あったわねぇ」。新宮にも熊野古道が通じていて観光客も来ているはずだが。特急電車の本数は減り駅前は寂れ、公共交通機関利用の旅人にはどんどん不便になっていく…。


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