写真のキャプションにアイコン がある場合は、画像をクリックすると拡大表示します。拡大画像の画面は、パソコンの場合は画像下のバーの < > で、モバイル端末ではスワイプで画像を順番に見ることができます。

小谷温泉 山田旅館

 5日の夜から雪が降りだした。地元にとっては待望の雪で、天気予報では大雪になっていくらしい。小谷温泉に移動して宿泊先の山田旅館の近辺をスノーシューで歩くつもりである。ところが大糸線の各駅停車の電車に乗車していると、日本海に近づくに従い雪が雨に変わっていった。小谷温泉へのバスは冬季は大凪下までしか運行しない。大凪下で山田旅館のご主人が待っていてくれた。かつての秘境の温泉も今は道路事情が良くなって、大凪下からは意外にもあっという間に到着した。

小谷温泉 山田旅館
小谷温泉 山田旅館

 部屋で落ち着くこともしないで、さっそくスノーシューを抱えて出発。登山やスキーに詳しいご主人にアドバイスを求めると、鎌池コースは初心者や夏道を歩いたことがない人には勧められないとのこと。積雪が半端なためかえって地形に惑わされ、迷いやすいそうである。

 そこで雨飾山登山口へと続く車道を登ることにしたのだが…。道路に出てみたら雪が積もっていなかった(笑)
 積雪がある辺りまで登って行ってもいいのだが、小雪がついに雨になってしまったので諦めて部屋に戻った。結局昼間の2時半頃から温泉三昧!

 本館にある浴室の入り口は観音開きで、なんとなく懐かしくなる感じ。浴室に入ると湯煙が満ちていて、写真(写真で見るよりは浴室は広めです)が満足に撮れなかった。浴槽に打たせ湯のようにして落ちているのは、宿の裏手で自然湧出している源泉である。47度とそのままでは熱い源泉を2mの高さから落とすことで冷ましているので、一切水でうめていない。

本館浴室の扉は観音開き / 小谷温泉 山田旅館
本館浴室の扉は観音開き
源泉掛け流しの湯
源泉掛け流しの湯

 浴槽の縁から溢れ出す「オーバーフロー」、つまり完璧な源泉掛け流しである。浴槽の周囲の滑り止め用タイルが湧出物で茶色くなっている。洗い場は2,3の水栓のみで、まさに温泉に浸かるための浴室なのだ。浴槽の一角は浅くなっていて木の枕が置いてあり、寝湯ができる。

別館の浴室 / 小谷温泉 山田旅館
別館の浴室は露天風呂付き

 最近建てられた別館には宿泊者のみ渡り廊下で行き来できるが、冬季は客室は休業。地下にある健康館(お風呂)と食事時の大広間だけ利用する。別館のお風呂の源泉は本館とは別(新小谷温泉)のものだが、成分はあまり違わないようだ。

 源泉掛け流しでもオーバーフローせず、接続している露天風呂に流し込んでいる。そのため内湯のお湯の方が新鮮なのだが、内湯は非常に熱いので露天風呂に入るしかなかった。晴れていれば展望が良いらしい。洗い場や脱衣所が近代的できれいな別館で身体を洗ったりシャンプーをして、ゆっくり本館のお風呂に浸かるというのがいい。

襖に陶製の部屋番号札
襖に陶製の部屋番号札

 客室の扉は襖で、暖房は電気コタツと石油ストーブ。レトロな雰囲気は良いのだが、トイレと洗面所は共同なので廊下に出るとものすごく寒い。古めかしい本館・新館のトイレは寒そうなのだが、宿泊した3階のトイレだけは最近増築したらしい場所にあり、新しい洋式トイレだったのでラッキーだった。

 何もすることがないので何度も温泉に浸かり、部屋に帰りコタツでぬくぬくするだけ(笑)

 部屋に置いてあった『小谷温泉讃歌~山田寛・雪の中の青春』という、旅館と宿の前の主人山田寛氏の歩みについて編纂された本を読んでいた。深田久弥と旅館との関わりなど、興味深かった。

“正統な”山宿の夕食膳
“正統な”山宿の夕食膳

 夕食はおかずの品数が多くて食べきれないくらい。焼物、天ぷら、茶碗蒸しにコゴミのお浸しなど山菜が並び、“正統な”山の宿の夕食である。

 翌日7日の朝食の時に、「今日は七草ですので七草粥です」と言って運んできた椀の蓋を取ったら、お粥ではなく大きな角餅が入ったお雑煮(鶏肉、大根、青菜などの澄まし汁)なのだ。不思議に思って尋ねたら、この辺りの風習らしい。

3階踊り場から本館を見る / 小谷温泉 山田旅館
3階踊り場から本館を見る
3階踊り場から / 小谷温泉 山田旅館
3階踊り場から

 トタン屋根に積もった雪が屋根の傾斜で自然に落ちる。建物の周囲にある掘割は落ちた雪を融かすためのものである。堀と古い建物がなんともいえない情緒をかもし出している山田旅館だが、屋根から雪が落ちるときは実はドシンと大きな音がして、おまけに建物まで揺れるのだ。これは安眠に差し支えるかな…。

 ところが夜半から再び降りだした雪はサラサラの雪で、屋根から滑り落ちずに静かに積もっていき、山宿の夜はしんしんと更けていった。

1月7日

 翌朝窓からの眺めは前日と一変し、本格的に雪化粧した山々と小谷温泉が目の前に広がっていた。赤いトタンが見えていた屋根もすっかり真っ白になって、雪景色が旅情を深める。

山田旅館雪景色

 玄関がある2階建てが江戸時代末期に建築された「本館」で、隣接する3階建ては大正時代の建築である「新館」。私たちはこの新館3階の客室に泊まった。江戸時代の建物を含む7棟は文化庁の登録有形文化財である。

手前から本館、新館、別館 / 小谷温泉 山田旅館
本館、新館、別館
建物の周囲に雪落としの堀 / 小谷温泉 山田旅館
雪落としの堀
2階廊下の窓から / 小谷温泉 山田旅館
2階廊下の窓から
看板に「内務省御選抜」「独逸萬国霊泉博覧会出泉」
「内務省御選抜」の看板
建物から谷を望む
建物から谷を望む
前日は雪がなかった道路に除雪車登場
前日は雪がなかった道路に除雪車登場

南小谷駅
南小谷駅
南小谷駅待合室のコタツ
南小谷駅待合室のコタツ

 スノーシューを諦めて旅館をチェックアウトし南小谷駅へ。徒歩15分の郷土資料館が休館と聞き、帰京の電車の出発時刻までの2時間以上を駅で待つしかなくなった。南小谷駅内待合所にはコタツがある一角があり、お年寄りや家族連れに人気があった。


拍手ボタンを押してくださると管理人の励みになります。

web拍手 by FC2


画像をクリック(タップ)しても山行記録のページが開きます。

PAGE TOP