余計な前書き 今回の山旅プランは夫に丸投げ。ネット検索などで候補地を探していた夫が、知床でのスノーシューハイキングを推してきた。冬の北海道に行くならついでに流氷観光もしたい。知床では流氷が海岸に接岸して来るので、満席で予約が取れない観光砕氷船に乗らなくても見られるらしい。「北海道かぁ……吹雪などで飛行機が欠航したり、路線バスが運休したら面倒だなぁ」と思ったが、そのときは受け流していた。ところが夫は俄然その気で、数日後には行程計画を完成させた。いやいや、ちょっと待って。もしもの時のリスクが大きすぎるでしょ。冬の知床へ行くなら旅行会社のツアーに参加した方が賢明じゃない?と提案。夫も納得してツアー参加に切り替えた。

 冬の知床でのスノーシューハイキングは「フレペの滝コース」が定番である。また知床五湖は冬期は閉鎖しているが、2015年から地元の関連団体が「厳冬期の知床五湖エコツアー」を始め、ツアー(註:レポートで後述・「参考サイト」を参照)に参加すれば歩くことができるようになった。行程に「フレペの滝コース」と「厳冬期の知床五湖エコツアー」があるツアーが見つかり申し込みをした。

 ところでこの計画の際に、冬の知床でのアクティビティとして「流氷ウォーク」という体験ツアーがあることを初めて知った。ダイビング用のドライスーツを着て接岸した流氷の上を歩いたり、海に飛び込んでみたりする体験ツアーである。催行会社や体験者がネット上に写真や動画をUPしていて、Instagramにも「#流氷ウォーク」のタグでの投稿を見ることができる。若い人たちには人気があるツアーのようだ。そして参加を決めた旅行会社のツアーでも、この流氷ウォークが組まれていた。私たちが個人旅行で知床に行ったら、「流氷ウォーク」に参加する時間はなさそうだし、躊躇して参加しないだろう。ツアーによる旅にしたことで、想定外の体験をすることになりそう。

2019年2月14日

 ツアーは朝日旅行の「KIKI 知床ナチュラルリゾート3連泊 / 流氷迫る白い知床・ネイチャーガイドと大満喫」。国内旅行でアウトドア企画のツアーに参加するのは初めてである。スノーシューは旅行会社が現地ですでに手配してあるが、扱い慣れた自分のスノーシューを持って行くことにした。往復飛行機で道内の移動はチャーターした専用バスなので、スノーシューをスーツケースで運べるからだ。参加者は私たち夫婦を含め10人で、女性の添乗員さんと共に女満別空港へ。

天都山・オホーツク流氷館

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天都山・オホーツク流氷館
天都山・オホーツク流氷館

 女満別空港に到着後専用バスでウトロ温泉のホテルに向かうが、途中網走にある天都山・オホーツク流氷館を見学するスケジュールが組まれていた。網走・知床は1987年8月に北海道を一周する観光旅行で訪れているので、オホーツク流氷館は30年以上を経ての再訪だった。「流氷の天使」と呼ばれて人気のクリオネと、天都山展望台からの眺望が楽しみ。

クリオネ

クリオネ / オホーツク流氷館
クリオネ / オホーツク流氷館

 クリオネは今でこそ知る人が多いが、1987年当時はまだ今のように人気者にはなっていなかったかもしれない。写真も記憶にもないので、そもそも当時は飼育展示されていなかったかも。

 厳冬期のため館内の観光客が少なくて、クリオネの水槽前に行列ができているのでもなく、すんなり動画も撮影。

 オホーツク流氷館は展示コーナー、流氷体験室、流氷幻想シアター、プロジェクションマッピング、オホーツク海の生き物の飼育展示コーナー、そしてレストランとショップがある。館内は余り広くなく、流氷幻想シアター、プロジェクションマッピングでの各上映時間も短いが、3階展望テラスの「天都山展望台」が気になり映像の視聴はパスして展望台へ。

天都山展望台 展望デッキからの眺望

 展望デッキに出ると、オホーツク海を挟んだ知床半島がうっすらとだが一望できた。眼下の網走港には流氷が見られないが、斜里・ウトロから知床半島の先端にかけては、押し寄せた流氷が岸までびっしり。知床半島に接岸した流氷が俯瞰で見られて圧巻だ。

デッキからの眺望 / 天都山展望台
デッキからの眺望
知床半島を望む / 天都山展望台から
知床半島を望む
知床連山を望む / 天都山展望台から
知床連山を望む

 今季、網走では1月29日に流氷の接岸が確認されたが、流氷は強風が吹くと沖に戻ってしまったり別の場所に移動してしまうそうだ。流氷が海岸に打ち上げられて積み重なり、丘のようになっていくまで押し寄せなければ、一夜明ければ流氷がない海の風景に変わることはざらにあるとのこと。今年は暖冬で押し寄せる流氷の量がまだ少なく、不安定な状態らしいことが見て取れる。

海別岳を望む / 天都山展望台から
海別岳を望む
網走湖と奥に能取湖 / 天都山展望台から
網走湖と奥に能取湖

 知床半島の付け根の位置に裾野を引き、山頂の雪を輝かせ美しくそびえているのは海別岳。標高が1419mの山とは思えない存在感がある。登山道がないので積雪期しか登れない難しい山だとか。

 西側の展望台からは網走湖とその奥の能取湖を眺められた。

 ウトロに流氷が接岸していたのを目で見て確認したので、明日の流氷ウォークは実施できそうだ。移動用のマイクロバスに乗り込んでウトロへと出発。天気が多少下り坂だが、車窓から斜里岳のピラミダルな山容や白く荘厳な海別岳の眺めを楽しんだ。ウトロに近づくにつれ、国道下の海岸は流氷に埋め尽くされていった。ちなみに観光用砕氷船は沖に出て流氷を見るので、出航する網走港では流氷が接岸していない方が都合良く、流氷の接岸を観光資源として「流氷ウォーク」などをしている斜里町のウトロ・知床では接岸大歓迎……なのだそうだ。マイクロバスを運転する地元のハイヤー会社のドライバーさんの話である。


KIKI 知床ナチュラルリゾート

KIKI 知床ナチュラルリゾート
KIKI 知床ナチュラルリゾート

 知床北こぶしグループが経営するホテルのひとつ。高級ホテル感がある「北こぶし知床 ホテル&リゾート」とホステルタイプの「夕陽のあたる家 ONSEN HOSTE」、そして「KIKI 知床ナチュラルリゾート」はカジュアル感があるリゾートホテルという感じ。

 流氷観光シーズンのため平日でも宿泊客が多く、特に中国系のお客が多かった。2017年4月の立山黒部でそうだったように、多くは雪や流氷が珍しい台湾からのツーリストだろう。ダイニングでは人が多く、大浴場・露天風呂では撮影禁止ということで、館内の写真は撮影してきていない。

 ウトロ温泉は塩化物泉(含重曹食塩泉)で、よく温まり湯冷めしにくい。内湯の大浴場には温度差がある大きな浴槽が3つあり、循環濾過・放流方式。併設の露天風呂は源泉掛け流しである。女性用浴場にはサウナと別に岩盤浴コーナーがある。岩盤浴がある温泉ホテルに今まで幾つか宿泊したことがあるが、浴場とは別室で有料だったり予約制だったのでパスしていた。このホテルで岩盤浴を初体験(^^)
 女性用浴場には乳・幼児用のシャンプーやマット・風呂椅子、お風呂用おもちゃなどの入浴グッズが用意されていて、1階フロアにある広いキッズスペースと共に家族での宿泊者には喜ばれているようだ。

オホーツク海に沈む夕陽 / KIKI 知床ナチュラルリゾート客室から
茜の森客室からオホーツク海に沈む夕陽

 ツアーの添乗員さんの話では、登山関連企画のユーザーでも最近は「設備が良く料理がおいしい宿泊施設での連泊」を望む声が多いので、意見を汲んで自らが企画したツアーだそうだ。なので、KIKI 知床ナチュラルリゾートでは眺望が良い南ウイング「茜の森フロア 和洋室」での3連泊。客室の窓からはオホーツク海が望め、夕陽が海に沈む絶景が得られる。あいにく茜の森フロアの端に位置する客室だったので、水平線に夕陽が沈む瞬間は手前の林が邪魔をして残念だったが。ベッドは世界の一流ホテルに選ばれているシーリー社製で寝心地抜群。コンセントの数が多いことも評価したい。

 無料無線LANは全室対応。しかし館内の一部や、フロア端の客室では少し受信しにくかった。

 ダイニングルームは2018年4月のリニューアルの際に、ビュッフェスタイルのレストランになった。朝食も夕食もビュッフェスタイル、いわゆるバイキングである。3泊4日ずっとビュッフェスタイルでも料理に飽きてしまわないくらいに、料理の品揃えは多く日替わりメニューもあった。種類の数だけではなく、味や食材もなかなか上質。調理人がいて調理したてのメニューを提供するコーナーが何ヶ所かあり、特にオムレツ、ステーキ、ラクレットは順番待ちで並ぶほどの人気。観光地のホテルのバイキング料理というと「おいしい」というイメージはわかないが、このホテルは別格。食べたい料理を好きなだけチョイスして、苦手な料理を残すこともなく、毎日結構幸せな食事時間を過ごせた。

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