余計な前書き 毎年恒例の晩夏の山行だが、今年はいつまでも最高気温35度前後の暑い日が続いているため、とにかく涼しいところに行きたいと切実に思った。で、計画のキーワードは「標高2000m」に。のんびり楽しめる標高2000m前後or以上の山で思い浮かんだのは、湯ノ丸山&烏帽子岳(湯の丸高原)、水ノ塔山・篭ノ登山(高峰高原)、四阿山(菅平高原)、美ヶ原高原、高ボッチ・鉢伏山(高ボッチ高原)など。偶然いずれも麓に高原がある山だ。高原が私を呼んでいる!高原のこの時期はマツムシソウやヤナギランの開花時期。マツムシソウにもしばらくご無沙汰だった。てなわけで行く先は高原に決定。

水ノ塔山・篭ノ登山の山行記録 »

 立山から帰ってきてからの計画なので、2週間前となってはどの候補地も宿泊予約が思うように取れない。高ボッチ・鉢伏山そして烏帽子岳以外は既に登っているが(湯ノ丸山は2回登頂)、美ヶ原高原は2006年冬にスノーシューイングで行ったが夏に訪れたことがない。美ヶ原に行くのなら、今度は是非絶景のホテルとして人気の王ヶ頭ホテルに泊ってみたかった。だがウェブサイトの空室状況を見ると8月25日頃まで全室満室だったので、結局美ヶ原は候補から外した。決められないまま日にちが経ち、この際週間天気予報が出た時点で宿泊の予約がとれる所でいいやという気分になり、夫などは登山ナシの温泉旅行にしようと言い出す始末。

 発表された週間天気予報では晴れマークが並び、やっぱり山にも登りたいよねぇと計画を練り直し。でもどんなプランをつくっても、宿泊と登山とのすり合わせが難航した。思いあぐねて何の気なしに美ヶ原王ヶ頭ホテルのウェブサイトにもう一度アクセスしてみたら、やったぁ!希望日22日に空室3室がある。どうやらキャンセルが出たらしい。

 王ヶ頭ホテルの無料送迎バスではホテル到着は15時半で、これでは行って泊って帰ってくるだけである。美ヶ原高原への路線バスは季節運行で、今シーズンは22日が最終運行日だった。一日2便で午前の便は松本駅8時30分発。東京からだと間に合わないのだ。結局王ヶ頭ホテルに手配してもらうと安くなるタクシー(松本駅~美ヶ原自然保護センターP)を利用するしかなかった。つまりこれで石切場、百曲り、三城荘のいずれかの登山口から、美ヶ原へ“登山”するという選択肢は消えた。高原をうろうろふらふらと逍遥し、マツムシソウを揺らす涼しい風に吹かれ、早朝の大展望をぼ~っと眺めてくるのも悪くないかも。ん?あっ、そうそう、春に買ったままで履き下ろしていない、新しいトレッキングシューズの“試し&履き慣らし”のまたとないチャンスじゃん!

美ヶ原高原逍遥 (1)

靴のはなし

 出発前夜夫が玄関で何かゴソゴソやっていると思ったら、下駄箱から古いローカット仕様のハイキングシューズを引っ張り出していた。それを履いていくと言う。山歩きを始めたばかりの15年前に買い低山ハイクで何度か履いたが、もう10年以上仕舞いっぱなしの靴だ。見た目は新品同様でも、接着剤やウレタンの経年劣化で、履いている最中に靴底が突然パカッと剥がれるかもしれない。忠告したけど、本人は今回履いたあと処分したいからとせっせと撥水スプレーをかけている。んじゃ、好きにしてください(笑)

 夫がローカットシューズで、私はハイカットのごついトレッキングシューズ。アンバランスは構わないけど、美ヶ原を下りて翌日の宿の扉温泉に行くときにも山靴というのは鬱陶しいな…。王ヶ頭ホテルのレストランがもし“浴衣とスリッパ禁止”という場合、食事の度に山靴じゃ面倒だし…。てなわけで普段履きにしているタウン用カジュアルシューズを、急遽手荷物のトートバッグに突っ込んだ。

 8月22日、東京は朝から暑い。自宅から駅までの途中には、スロープ形式の長い歩道橋がある。ここの登りでも下りでも新しい山靴の違和感はあまりなくて、「この靴で立山も大丈夫だったかも」とまで口に出していた。新宿から松本までの特急あずさ車内では、いつものようにぐっすり熟睡。

 私は足が小さくしかも甲が薄いので、トレッキングシューズの靴紐は町歩きであろうがしっかりきつめに結ぶクセがある。2時間もの間座ったままで足がむくみ、締め付けられた足首が新しくて硬い靴に圧迫されていた。目が覚めて痛みを感じ、慌てて靴紐をゆるめて松本駅に下りた。しかし痛みが出てしまったらもう手遅れだ。今まで履いてきた何足かのトレッキングシューズでは、履き下ろしのときの深刻なトラブルはなかった。ちょっと楽観的すぎたかも。大丈夫かなぁ…。

美ヶ原へのアクセス

 公共交通機関での美ヶ原へのアクセスは、JR松本駅からの 松本電鉄バス かJR上田駅からの 千曲バス である。麓の登山口へも同じ路線である。どちらの路線も美ヶ原高原美術館行きで期間限定運行になる。バスを利用しないかできない場合は、宿泊施設の送迎車かタクシーを利用することになる。

 また王ヶ頭ホテルでは山本小屋(ドライブイン)駐車場と美ヶ原高原(自然保護センター)駐車場の双方からホテルまでのシャトルバス(時間限定)を運行している。今回の私たちは王ヶ頭ホテルに手配してもらったタクシー(松本駅~美ヶ原自然保護センターP、通常9700円が7000円)を利用したが、ホテルまでのシャトルバスは運行外時間なので、美ヶ原自然保護センターでタクシーを降りて王ヶ頭ホテルまで歩いて登った。

写真のキャプションにアイコン がある場合は、画像をクリックすると拡大表示します。拡大画像の画面は、パソコンの場合は画像下のバーの < > で、モバイル端末ではスワイプで画像を順番に見ることができます。

 松本駅から約1時間で美ヶ原自然保護センターに到着。鉄塔・中継塔が林立する王ヶ頭が見えている。少し進むと「天狗ノ露地」の標識があり、この脇から王ヶ頭に直接登る歩道に入る。

美ヶ原自然保護センターから王ヶ頭ホテルへ
美ヶ原自然保護センターから王ヶ頭ホテルへ
歩道入口
歩道入口
天狗ノ露地から王ヶ頭への歩道
天狗ノ露地から王ヶ頭への歩道

 林道を行く人もいるが、もちろんハクサンフウロやマツムシソウが咲く山道の方が断然良い。

王ヶ頭ホテル売店側入口
王ヶ頭ホテル売店側入口

 足首の圧迫通を騙し騙し登って来て、およそ30分後の12時半に王ヶ頭ホテルに着いた。ホテル前に大勢の人が休んでいたが、外来用食堂もかなり混んでいて、食券を買ってもテーブルが空かない。いったん荷物を預けて来ることにして、宿泊利用者の特権を行使して連絡通路からホテル内へ。フロントスタッフが食事もホテルロビーのテーブルでどうぞとのこと。ラッキー♪

 この日の予定は昼食後に茶臼山を往復するつもりだった。しかしこの靴と痛みでは無理だろう。王ヶ頭から近い王ヶ鼻までの往復に変更した。

 林道を歩き王ヶ鼻へ向かった。靴紐の締め具合を何度も調整しながら歩いた。しかし右足の方は、靴紐を甲の部分だけ結んでいても、歩くと我慢ができない痛みを感じるようになっていた。時々靴から痛む足を抜いたりしながら歩くものだから、先を行く夫に置いて行かれる(笑)

王ヶ鼻

 林道とはいえマツムシソウやヤマホタルブクロなどの花を楽しみながら歩ける。鉄塔が建つ林道終点手前から登山道に入り、玄武岩の岩屑が散らばる王ヶ鼻に到着。数体の石仏と賽銭箱が、修験の山の雰囲気を漂わせていた。後の王ヶ頭と王ヶ鼻脇のアンテナ林立がそぐわないが仕方ない。南側の展望は富士山どころか八ヶ岳も霞んでよく見えず、かろうじて蓼科山がうっすらとわかる程度だった。北方面は雲が多くて更に展望に恵まれず、北アルプスは翌朝までお預けになった。

王ヶ鼻 標高2008m
王ヶ鼻 標高2008m
石仏群
石仏群
眼下に松本平の眺め
眼下に松本平の眺め

 本当なら翌朝に来て、眼下の松本平の向こうに北アルプスが展開する広々とした風景に息をのむ…はずだったが残念。感動は次回のウィンターシーズンにとっておこう。

※ ウィンターシーズンの絶景の展望写真があります。

王ヶ鼻のパノラマ / 美ヶ原高原(2014年1月22-23日) »

足元から切れ落ちている
足元から切れ落ちている
崖に咲くマツムシソウ
崖に咲くマツムシソウ

 王ヶ鼻は美ヶ原溶岩台地の西の突端で、足元から切れ落ちた崖上にある。特に南側はもろい玄武岩なので崖の端に近づくのは怖い。そんな岩場にもマツムシソウが張り付くようにして精一杯に咲いていた。

 王ヶ鼻から石切場への登山道を少し下った箇所から東へ(左に)、この崖の少し下をへつるようにして王ヶ頭へ向かう細い登山道があるはずだ。「二人ノ小道」と名付けられている。「二人ノ小道」とはロマンチックで、しかも私たち“ふたりの山歩き”にぴったりではないか(^^)

王ヶ頭と王ヶ鼻を結ぶ林道
王ヶ頭と王ヶ鼻を結ぶ林道

 しかし手持ちの一番新しい資料では、「二人ノ小道」は廃道になっている。それに名前のわりには雰囲気は特にロマンチックではないらしい。ネット上にはこの「二人ノ小道」を最近歩いてみた人の記録が散見されたが、荒れて崩れている箇所もあり廃道となっているのは間違いないと思う。靴のトラブルを抱える身としては温和しく林道を下りて戻ることにした。

 林道の途中にある営業していない王ガ山荘の向かい側から、王ヶ頭への自然歩道が伸びている。手持ちの登山地図やガイドブックには載っていないが、道標もあり踏み跡もしっかりしていた。歩道は王ヶ頭下南側の緩慢な斜面に、ほぼ水平に付けられている。溶岩台地の絶壁の迫力ある展望を見ながら行く。足元は色とりどりに咲く花で賑やかだった。

王ヶ頭への歩道
王ヶ頭への歩道
ヤマハハコとタカネナデシコ
ヤマハハコとタカネナデシコ
ハンゴンソウ
ハンゴンソウ

 夏の終わりに咲いていたのは、マツムシソウ、ウメバチソウ、オヤマリンドウ、ノアザミ、ハンゴンソウ、タカネナデシコ、ヤマハハコ、ウスユキソウ、ハクサンフウロなど。初夏のお花畑も見てみたい。

ウメバチソウ

ウメバチソウ
ウメバチソウ
ウメバチソウ
ウメバチソウ
ウメバチソウ
ウメバチソウ

 ウメバチソウは白玉のような蕾が可愛らしいので好きな花。たくさん撮影したのに蕾の写真は失敗作ばかり。また宿題ができた(笑)

分岐の標識
分岐の標識
溶岩台地の一端を望む
溶岩台地の一端を望む

 花の小道を満喫しながらしばらく行くと、三城登山口から登ってくる道と出合った。分岐標識からは短いが階段上の急登。更に斜面をジグザクに登ると、王ヶ頭ホテル南館の下に出た。ホテルを13時半に出発して、ちょうど2時間の散策だった。


登山データ

王ヶ頭 標高:2034m

場所 長野県


アクセス

JR松本駅から松本電鉄バス、JR上田駅から千曲バス
いずれも美ヶ原高原美術館行きで期間限定運行。あるいは宿泊施設の送迎車利用


山行日 2010/08/22-23

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