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余計な前書き《「三度目の正直」になるか、あるいは「二度あることは三度ある」になるか?》
双六岳方面への計画はこれで3度目である。8年前に折立から入山して雲ノ平、黒部源流、双六岳、鏡平と歩き新穂高温泉へ下山する縦走を予定していた。しかし夫の体調不良のために、新穂高温泉からの弓折岳往復だけに変更(→参照 1)。そのときから花が多いという双六岳が憧れになった。そして昨年、双六岳リベンジの計画が台風襲来で直前に中止(→参照 2)。
こうなると意地でも行きたくなるもので、懲りずに今年の夏山も双六岳に決めた。
やったあ、事前の週間天気予報は日程通してバッチリだ。台風が発生したが、日本への上陸はなさそう。…ところが。直前になると予報が変わった。余り良くない。梅雨明けしているのに高気圧が張り出してこない。日程の前半は不安定で雷雨が発生しやすいという予報だった。あの小池新道の登りが8年前と同じくレインウェアを着たり脱いだりで蒸し暑く、またもやバテバテになりそうな予感…。
参照 1 弓折岳の山行記録【余計な前書き】 »
参照 2 西穂丸山の山行記録【余計な前書き】 »
7月27日 / 曇り午後雷雨
松本からの新穂高温泉行き特急バスを利用。坂巻温泉辺りから雨がポツポツ降り出してきて、新平湯温泉を通過する頃は豪雨になった。猛烈な吹き降りの雨がバスの窓を打ち、雷鳴がとどろき稲光が光る。バスに乗っていても生きた心地がしなかった。新穂高温泉バスターミナルでバスを降り傘を差して案内所の建物まで走ったが、ほんの少しの距離なのに衣服が濡れた。今夜の宿はホテル穂高(温泉レポートはこの山行記録最終ページで)。坂を5分くらい登るだけなのだが、激しい吹き降りと雷のなかを歩きたくないのでしばらく雨宿り。ヒマな時間を利用して、登山指導所に登山届けを書いて提出。
8年前の弓折岳登山のときにもホテル穂高に泊まった。8時に出発して同じコースで登ったが、暑くて完全にバテてしまい、鏡平山荘に到着したのが大幅に遅れた。その教訓を活かし、今回は宿の朝食は取らずに5時半に出発することにした。わさび平小屋に泊まれば良いのだが(昨年の計画ではわさび平小屋泊)、山小屋には荷物を数日間預かってほしいとお願いしにくいのだ。最終日の着替えなど、登山に必要がないものまで担ぎ上げたくない。それで今回も、入山前日と下山後にホテル穂高を利用することにした。
1日目 / 7月28日 曇り→雷雨→雨(降ったり止んだり)→曇り
標準コースタイム 約5時間10分
双六岳 標高:2860m
三俣蓮華岳 標高:2841m
場所 北アルプス
山行日 2008/07/28-31
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歩いたルートを地理院地図に重ねた地図です(GPSログによる足跡ではありません)。ボタンやマウスでの拡大・縮小や表示範囲の移動ができます。モバイル端末ではスワイプやピンチで操作してください。
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〔5:45〕ゲート(登山口):バスターミナルまで戻らなくてもホテル穂高の駐車場からの近道があるのだが、砂防工事の関係で臨時の橋になっていて入り口がよくわからず、しばらくウロウロ。結局バスターミナルまで戻り蒲田川の橋を渡った。
ゲートをくぐりゆるい登りの林道歩き。時折風穴からの冷たい風がサッと吹き渡るのが気持ちが良い。
ところが雲行きが怪しい。やがてポツポツと降り出してきた。ずっと遠くで雷が鳴っている。雨が本降りになりそうな気配なので、レインウェアを着た。
〔7:15~8:15〕わさび平小屋:わさび平小屋に着いたときは、まだ土砂降りではなかった。10分ほど休憩するつもりで庇の下のベンチにいたら、見る間に雨が激しくなり雷鳴も近くなってきた。雨の降り方の激しさは、昨夕と同じようにまさにバケツをひっくり返したよう。なかなか止みそうにない。小屋のなかでコーヒーを飲んでいたら、秩父沢から引き返してきたと言って女性が帰って来た。今夜また泊まる手続きをしている。夫がわさび平小屋に泊まって登山を一日遅らせるという提案をする。悩む…。う~ん、どうしよう。
悩みながら待っていること1時間。だんだん雷が遠くなり、雨も小降りになった。行けるだけ行ってみようと腰を上げ、再び左俣林道を歩き出す。
蒲田川の河原に下り、いよいよ小池新道の登りになる。岩がゴロゴロしてる箇所が多い登山道だが、段差が大きくなく浮き石もほとんどないので登りやすい。マーキングもしっかり付いている。
雨や蒸し暑さは諦めがつくのだが、我慢ならないのはブヨである。天気のためか非常にブヨが多い。やはり途中で雨に降られた8年前のときにはブヨの記憶がないので、残雪が多い今年は特に発生が多いのかも知れない。顔に寄ってくるうるさいブヨを、始終払い除けながら歩く。雨と湿気のため虫除けスプレー、ユーカリ油を染みこませた「虫除けシール」があまり効かない。今回は手首に巻けるアウトドア用の小型電池式電動蚊取りを持ってきたので使ってみた。全く効果なしだが、気休めに付けたままにしておこう(笑)
私同様ブヨアレルギーがある夫が、額や耳など数カ所を刺された。ところが不思議なことに、今回私は全く刺されない。休憩中に私の虫除けネットを夫に貸したが、蒸し暑くてさすがにネットをしたままは歩けないみたいで、歩きながらまた刺されたと騒いでいる。ブヨ同様こちらもウルサイ(笑)
〔10:20〕秩父沢:雷鳴は鳴らなくなり、雨も気になるほどの降り方ではなくなった。もう引き返すような状況にはならないだろうと、橋が架かる秩父沢を渡った。あれほどの雨が降ったのに、秩父沢が増水していなくて良かった。
しかし雨は止んだかと思うとまた降ってくるので、蒸し暑くてもレインウェアを脱げない。
こういう天気ではゆっくり食事(昼食)が出来ないので、途中途中で空腹を感じたとき、雨が止んでいるときに、臨機応変に軽食をとる。持参したのはあんパン数個と、自分用にはレトルトの冷製ポタージュスープと水羊羹(アルミ缶詰)である。
灌木帯のなかの、岩がゴロゴロした登りが続く。チボ岩を過ぎてからシシウドが原へと登るのだが、この間の記憶がない。雨のため展望もなく、ただひたすらに足下を見てブヨを振り払いながら歩いていたからだろう。
シシウドが原を通過したのは13時10分。秩父沢からシシウドが原までは、水分補給の休憩と昼食のための少し長めの休憩時間を含めて2時間50分。8年前と違ってバテバテにはならなかったが、やはりこの間はキツくて標準タイムでは歩けなかった。8年前に暑さでダウンして、少し昼寝をした場所を探しながら歩いた。しかし登山道の幅は狭くて岩場が多く、そのような場所はついに見当たらなかったのだが…(笑)
シシウドが原から先も、ただただ足下を見つめブヨを払いながら登った。変化がないので余計に長く感じてしまう。8年前の記憶では、木道がある小広い場所が現れれば鏡平へはもうじきだった。その場所「熊のおどり場」がやっと見えてきてホッとした。「熊のおどり場」と書かれた木道の先は再び登りになる。
雪渓を渡ると、池を経て鏡平山荘へと導いてくれる木道が現れた。木道を見た瞬間に「着いた」という安堵感を感じたのは、8年前と同じであった。池の向こうには何も見えなくて、鏡池の前の展望テラスには上がらずまっすぐ小屋に向かったのも8年前と同じ。「あと5分」の標識から15分後の14時45分、鏡平山荘に到着。久しぶりの標高差1100メートルの登りは長かった。しかし8年前よりはキツくはなかった。
レインウェアの乾し場、乾燥室共に既に満艦飾状態だったが、更衣室(倉庫兼用)があり、着替えて濡れた衣類を乾かせるのは有難い。トイレも簡易水洗に変わっていて快適。晴れていれば大きな窓から槍穂が望める食堂での夕食も、8年前と同様美味しかった。夕方4時過ぎには完全に雨が上がり、徐々に槍ヶ岳が姿を見せ始めてくれた。
与えられた寝場所が槍穂が望める窓際2階だったため、外に出なくてもガスが切れて姿を見せ始める槍穂を眺めていられた。ようやくガスの切れ間に覗いた槍ヶ岳の穂先をキャッチ。小槍が見えるこの鏡平からの槍ヶ岳展望は、やはり素晴らしい。ほぼ全貌を現した槍穂がほんのり赤く染まり、日が落ちていった。
混んではいても布団は1人1組。夫が時々イビキをかき始めるので目が覚めてしまう。周りの人に迷惑をかけてはいけないと、イビキの暴走を止めるべく夫を軽く叩いてイビキを止める。そんなことを何度か繰り返していたので熟睡できなかった。夫も、私にパタパタ叩かれて眠れなかったそうである(笑)
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双六岳 標高:2860m
三俣蓮華岳 標高:2841m
場所 北アルプス
山行日 2008/07/28-31