余計な前書き 北アルプスは公共交通機関でのアプローチのしやすさや、標高が高い場所にある登山口までロープウェイやゴンドラで運んでくれる山もあるので、どうしても夏山の対象として目が行きがち。しかし南アルプスを忘れている訳ではなかった。「南アルプスの女王」と称され花の山として名高い仙丈ヶ岳は、いつも気になっていた。バスで行く登山口の北沢峠が既に標高2000mなので、登りの標高差1000mちょっと。健脚なら日帰り登山対象の山であり、北アルプスの比較的手頃な山を登る場合の標高差と比較しても楽な方だ。さらに「馬ノ背ヒュッテ」と「仙丈小屋」(※山頂直下の仙丈小屋はかつて避難小屋だったが、2000年伊那市が新たに営業小屋として建設)と二つの営業小屋があり、小屋泊まりにすればゆっくり写真撮影をしながら歩ける。南アルプスデビューに打ってつけだ。

 そしてもうひとつ気になっていたのは、白根三山の麓にある奈良田温泉の日本秘湯の会会員宿「白根館」だった。高アルカリ泉の良質な源泉を持ち、旅館としても評判が良くて人気が高い。今まで3度ほど予約の電話を入れてみたのだが、休前日はいつも満室で宿泊するチャンスに恵まれなかった。夫の夏期休暇のスケジュールが平年より遅めに決まったため、今年の夏山計画は遅かった。一応仙丈ヶ岳を念頭に置き日本秘湯の会ウェブサイトで白根館の空室案内をチェックしてみると、なんと予約が取れそうではないか。速攻で予約申請をしてから気がついた。登山客の場合は電話で予約して欲しいとの注意書きがある。すぐさま電話で予約し直し、早速仙丈ヶ岳の山行プランを練った。

 山小屋の方はいったん馬ノ背ヒュッテに予約を入れた後で、仙丈小屋の方が良かったかなと迷っていた。ところが7月半ばに関東甲信地方の梅雨明け宣言が出たのに、戻り梅雨が長引いておかしな天気が続いていた。週間天気予報が発表されたが、どうやら好天を期待できそうにない。仮に雨天の場合に入山するとしたら、馬ノ背ヒュッテまでのほうが楽だし下山もしやすい…ということで、1日目は馬ノ背ヒュッテまでにした。後から思えば、始めから登頂には消極的な山行プランだった(笑)

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7月26日 晴れ後曇り

ダムを望む奈良田
ダムを望む奈良田

 晴れマークが見当たらない天気予報に、雨中登山を覚悟して旅立ち。出発日の東京は晴れていたが、特急電車で甲府に向かうほど空はどんよりしてきて、南アルプスは見えなかった。

 翌日の天気予報では午前中は降らずに持ちそうな感じなので、翌朝は奈良田5時30分発の一番バスで出発することにした。旅館の朝食(8時から)はお弁当(おにぎり)に替えて貰える。下山した日も宿泊するので、余計な荷物を預かって頂くお願いもしておいた。

携帯電話の通信について》奈良田温泉では携帯電話(DoCoMo/FOMA)の通信は問題なく良好だったが、バスが発車して間もなく圏外になった。この先山中でも全くの圏外。仙丈ヶ岳馬ノ背ヒュッテのサイトにも、小屋で繋がるのはドコモのmovaのみとあるが、麓でもFOMAは圏外である。夫の携帯電話(DoCoMo/FOMA)は、しばらくの間切り替えればmovaも使えるデュアルネットワークサービスの契約をしていたのだが、北アルプスなどほとんどのエリアでFOMAの通信が可能になっているので、契約を切ってしまっていた。

 ただしあとで馬ノ背ヒュッテのスタッフから聞いた話に拠れば、既に広河原にFOMAアンテナが建造されていて、8月15日から通信開始とのこと。山中ではどの程度繋がるか推測できないが、南アルプス広河原エリアでドコモFOMAもある程度繋がるようになるらしい。

7月27日 小雨だったり本降りだったり、登山中はずっと雨。夕方夜間はときおり強風

 前夜に渡して貰っていたおにぎりのお弁当の一つを、夫婦2人で分け合って食べてから宿を出た。外に出るまでは曇りだと思っていたが、玄関を出てみたら…あぁ、もう降ってるじゃん(泣)

 白根館に宿泊していた登山客は私たちの他にもう一組のご夫婦がいて、彼らも同じバスだった。ザックの大きさやテント泊用装備から見るところ、おそらく広河原で下りて北岳に登る(あるいは白根三山縦走)のだろう。耳に入った話では九州から来ているらしい。この天気、相当無念なことだろう。

仙丈ヶ岳 (1)

標準コースタイム 馬ノ背ヒュッテまでの登り 約3時間

北沢峠登山口 --10分-- 大平山荘 --2時間30分~3時間-- 馬ノ背ヒュッテ
奈良田バス発着所
奈良田バス発着所
広河原駐車場&バス発着所
広河原駐車場&バス発着所

〔6:20~6:50〕広河原は広い駐車場があり、移動式トイレも設置されている。バスの待合のためにテントが張られていて、中にはベンチもある。北沢峠行バスの発車まで30分あったので、レインウェアとスパッツなどの雨中登山の準備を整えた。

〔8:00〕出発:バスが北沢峠へと進むと、車窓から見る樹林が南アルプスらしくなってくる。7時15分北沢峠着。北沢峠にもバス待合所用テントが設置されている。空腹だった夫が2度目の朝食(笑) きれいで立派なトイレ棟あり。長衛荘で飲み物を買ってから出発した。

クリンソウ
クリンソウ

 トイレ棟の脇に登山口標識があるが、これは小仙丈尾根へ向かう登山道で、藪沢コースの登山口は大平山荘の脇にある。まず長野県側に向かって林道を行くのだが、この林道脇にさりげなくクリンソウが咲いていたのでまずパチリ。

〔8:20~8:30〕大平山荘:登山道はいったん下る。山荘に着くと救急車が停まっていた。病人あるいは怪我人を乗せたばかりのところらしい。藪沢新道で事故があったのだろうかと不安になり外にいた小屋の人に訊いてみたが、詳細は語らず「藪沢新道は大丈夫ですよ」とのこと。

藪沢コースへの大平山荘入り口
藪沢コースへの大平山荘入り口
藪沢新道入り口
藪沢新道入り口

 Tシャツ、長袖シャツ、レインウェアと着込んでいた夫が長袖シャツを脱ぐというので、小屋の軒を借り10分ほど休憩。夏の雨の日の登山は、寒かったり蒸し暑かったりで重ね着の調整が難しい。

南アルプスの雰囲気濃厚な登山道
南アルプスの雰囲気濃厚な登山道
雨の中を登る
雨の中を登る
気持ちが良い登山道
気持ちが良い登山道

 倒木や岩が苔むしていて、いかにも南アルプスの樹林帯らしい雰囲気になってきた。降り方がそれほど強くないうえ、樹林のお陰で雨が落ちてこないので、合羽を着ていなくても良いくらい。むしろ蒸し暑さが堪える。

藪沢を渡る
藪沢を渡る
タカネグンナイフウロ
タカネグンナイフウロ

〔10:30〕藪沢との出合:藪沢に出合い丸太の橋で対岸に渡り、藪沢を下に眺めながら登る。この辺りからゴゼンタチバナ、ヤマハハコ、マイヅルソウ、ツバメオモト、キバナノコマノツメなどの花が見られてくる。特に目立つのが青紫色のグンナイフウロ。

雪渓が残る藪沢
雪渓が残る藪沢

 しかしこの頃から本降りになってきて、カメラが濡れるため撮影もままならなくなった。藪沢を覆っていた雪渓は、この時期にしては今年はかなり残っているほうかもしれない。しかし渡渉には全く問題なかった。


登山データ

仙丈ヶ岳 標高:3033m

場所 山梨・長野県境


アクセス

東京からはJR中央線甲府駅またはJR身延線身延駅からバス北沢峠


山行日 2009/07/27-28

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