余計な前書き 1996年7月に蝶ヶ岳に登ったとき、ヒュッテの部屋で隣り合わせた中年女性2人組から「常念岳からの下りがキツかった」と聞いていた。そのときは「ふ~ん、将来縦走するときには逆コースにしよう」と思ったのだが、"北アルプス三大急登"のひとつといわれる燕岳の合戦尾根を登ってみたかった。それに合戦小屋の名物スイカを食べるなら、やっぱり「登り」の途中でしょ!

中房温泉から燕岳へ (1)

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1日目 7月29日 中房温泉へ

中房温泉

 1998年8月上旬に燕岳に往復登山で登るはずだった。ところが出発の前日に夫が風邪で38度の発熱という事態になり、予約していた中房温泉旅館を電話でキャンセルし、暑い中電車の指定席のキャンセルに出かけて私は大いにがっかりしていた。しかし山行予定日は大荒れの大雨になり、おまけに上高地周辺での地震発生。山行中止は正解だったのだ。しばらくして予約していた中房温泉から予約金が、宿泊前日のキャンセルだったにもかかわらず、「お越しをお待ちしています」という丁寧な手紙とともに返送されてきた。この気持ちがいい対応に感激して、いずれ必ず中房温泉へ、そして燕岳へという思いをずっと持ち続けていたのだった。中房温泉に泊まることはこの山旅の目的のひとつでもある。

 穂高駅から中房温泉までの路線バスは廃線になり、一時は足はタクシーしかなかったが、現在はタクシー会社代行のマイクロバス路線がある。乗客の列の最後尾につくと、乗り込むマイクロバスは小さくて私たちの前で定員になってしまった。後からやってきた乗客(男性2人組と女性単独行さん)を含めて5人は、マイクロバスの代行車としてのタクシーに詰め込まれた。暑さのためか皆無言でちょっと居心地が悪い。国民宿舎有明荘で女性が降りてしばらく乗ると、終点中房温泉の手前駐車場兼バス停に着いた。中房温泉旅館のハッピを着た人がタクシーに近づいて来て、名前を尋ねた。予約確認らしい。ところが相乗りの男性2人組さんの名前がない。どうやら予約した国民宿舎が中房温泉にあるものと勘違いしたらしい。中房温泉の従業員がタクシーをマイクロバスの代行車ではなく、タクシーの相乗りと勘違いして、運転手に旅館玄関前まで上がっていくように指示した。気が良い人らしい運転手さんは国民宿舎組にその場で待ってもらうように頼んでから、代行バス運賃では本来バス停までなのに私たちを旅館まで送ってくださった。感謝。

中房温泉
中房温泉
中房温泉
中房温泉

 中房温泉は湯治客の自炊棟と登山客用相部屋で構成された本館と、トイレつきの客室がある別館から成る。各館に創業以来?の古い内湯や新しく作られた内湯、露天風呂が幾つもあるうえ、敷地内に外湯と称する浴室小屋や混浴の露天風呂もたくさんあり、宿泊客は浴衣がけでお風呂めぐりを楽しめる。しかし1泊ではとても入りきれるものではない。

 古い内湯は約90℃の源泉がそのまま落とされていて、水道で埋めても入れない熱さで諦めた。数箇所を巡ってみて、本館における新設の内湯「不老泉の湯」が一番良かった。内湯でも寄せ作りの高い天井と壁の一角が大きく開け放たれているので開放的。男女別の時間設定。偶然独り占めできたので最高の気分を味わった。また鍵を借りて入る外湯の「大滝の湯」には夫婦で入浴。敷地内の裏庭にはオオウバユリが咲いていた。

 旅館内の売店ではガスカートリッジ他登山用品も販売している。

2日目 7月30日 / 晴れのち曇り

標準コースタイム 約4時間10分+55分

中房温泉登山口 --3時間-- 合戦小屋 --1時間10分-- 燕山荘 --30分-- 燕岳 --25分-- 燕山荘

 歩いたルートを地理院地図に重ねた地図です(GPSログによる足跡ではありません)。ボタンやマウスでの拡大・縮小や表示範囲の移動ができます。モバイル端末ではスワイプやピンチで操作してください。

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中房温泉登山口
中房温泉登山口

〔5:30〕中房温泉登山口:宿での朝食時間(7時半)は早くしてもらえるが、涼しいうちに登りたいので朝食は前日にお弁当にしてもらって5時過ぎ出発。最近はこのスタイルが定着してきた。登山口には平日にもかかわらず、多くの登山者が出発前の準備をしていた。登山届に記入しポストに投函して、いざ出発。

ブヨ対策 私は虫刺されアレルギー(特にブヨ)のため、刺されると無残に腫れあがってしまう。毎夏性懲りもなく、そしてなぜか毎度右目周辺を刺されている。ブヨ対策としては、虫除けスプレー(強力タイプ)、蚊取り線香、最終手段の防虫ネット。刺されたらポイズンリムーバー(吸引器)。そして今回加えたのがふたつ。ブヨが嫌うという噂のエアーサロンパス。新兵器のもうひとつは天然ユーカリ油のシールタイプ虫除けで「天然虫よけパッチ」。帽子に貼る。ザックや衣服にエアーサロンパスをスプレーして、帽子に虫よけパッチを貼るとあら不思議、ブヨが接近しても至近してこない。

合戦尾根

合戦尾根第1ベンチ
合戦尾根第1ベンチ
合戦尾根第2ベンチ
合戦尾根第2ベンチ

〔6:15~6:25〕第1ベンチ:「アルプス三大急登」も思ったほど急坂には感じないまま、程なくして第1ベンチに到着。もちろん休憩。

〔7:00~7:20〕第2ベンチ:すぐに第2ベンチ。宿を出発する前の4時過ぎにお握りをひとつ口にしただけなので空腹を覚え、レトルトスープ(冷たいポタージュなのでそのまま)と水羊羹でエネルギー補給。

行動食 暑い時期は特に、おにぎりやお弁当などのご飯ものが喉を通らない私は、食べたいものを食べたい時(休憩の度)に小まめに摂るようにしている。エネルギー補給目的の"飲むゼリー"に厭きた今は、前記のレトルトスープと水羊羹がお気に入りで、山行日数分持参した。
合戦尾根第3ベンチ
合戦尾根第3ベンチ
合戦尾根富士見ベンチ
合戦尾根富士見ベンチ

〔8:10~8:25〕第3ベンチ:第2ベンチを過ぎると徐々に急坂となってくる。第3ベンチでは今度は夫が軽食タイム。気が揃わずに効率が悪い夫婦である。

〔9:20~9:30〕富士見ベンチ:富士見ベンチまではキツイ登りが続く。軽い休憩後、さぁスイカが待っているぞと合戦小屋へ向け登る。

合戦小屋

 「合戦小屋へあと7分」(確か…)の標識の辺りですれ違った下山してきた女性2人組が、「スイカは売り切れでーす。11時に荷揚げされるそうでーす。」

合戦小屋
合戦小屋

 「えー!そ、そんなー!」

 先にうどんを食べたりして待とうか。わざわざ歩を緩めて歩くが、、もう目の前に小屋の屋根が見えた。しかしスイカはその時既に到着し、水槽にドボンドボンと入れられている最中だった。

合戦小屋名物のスイカ売り
合戦小屋名物のスイカ売り
うま~い!
うま~い!

〔10:20~11:15〕合戦小屋:ぬるくても構わないと、先ずお決まりのスイカにかぶりつく。うま~い!8分の1カットでお腹いっぱいになり、一杯の味噌煮込みうどんを夫婦で半分ずつにした。


登山データ

標高 燕岳:2763m / 常念岳:2446m / 蝶ヶ岳:2664m

場所 北アルプス

アクセス

JR大糸線穂高駅から代行マイクロバス40分中房温泉下車


山行日 2002/07/30-08/02

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