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バスの発車までに汗で濡れたシャツを着替える間がなかったので、冷えて寒かった。第一このまま檜枝岐温泉の宿(中日抜きの連泊で予約)に戻っても、チェックインの時間には早すぎる。思案の末、公共の日帰り温泉に行くことにした。ゆっくり入浴休憩後、お蕎麦屋さんで旅館以外の蕎麦を味わったり(遅めの昼食)、桧枝岐歌舞伎の舞台を見学しながら一停留所歩けばちょうどいい時間になりそうだという目算。
お風呂は循環で桧枝岐温泉の泉質の良さが消えてしまっていて残念だが、宿泊している旅館には露天風呂がないため、ここでの河原を見下ろす露天風呂を堪能した。湯上りは休憩室のガラス戸の外のベンチで涼んだ。スノコのようなテラスの下からは、河原の涼しい風が吹き上げて、とても気持ちが良かった。改築間もないのか、洗面所もきれいだった。ボディーシャンプー有、シャンプー無。
玄関でお会いした登山スタイルの男性が話しかけてきた。参加した登山ツアーは日帰りで会津駒ヶ岳に登っているのだが、彼は悪天候と自分の体調を考えて一人で残ったのだそうだ。明日は日光男体山の予定だそうだ。そんな人でも燧の湯では一日中時間潰しも許される。ただし休憩室(というよりロビーだが)は板張りで椅子は少ない。
江戸中期より二百年以上にわたり引き継がれる農民芸能。国の重要有形民芸文化財。年2回の例祭のうちの1回は8月18日で、滞在中上演があったのだが尾瀬に宿泊していたので見る機会を逸した。
愛嬌がある顔のお婆さんの姿をした水神様の石仏。子供たちを水難から守ってくれる。また縁結びと縁切りの神様で、良縁を切りたくない人は錆びたハサミを、悪縁を切りたい人は良く切れるハサミを供えて祈るそうだ。頭にお椀をかぶせて祈ると、どんな願いでもきいてくれるとも。
お蕎麦屋さんはたくさんあるが、ガイドブックに掲載されている老舗ではなくとも、充分美味しかった。名物の「裁ちソバ」と一皿の「はっとう」を注文。有名な重要伝統芸能「檜枝岐歌舞伎」の舞台や「橋場のばんば」がある神社を見学し終えると、泊まっているかぎや旅館の斜め前だ。3時前なので早すぎるが、連泊ということで早めに部屋に入れてくださった。
木造2階建ての純和風旅館。浴室は総檜造りで、肌に心地よいアルカリ単純泉がなみなみと溢れている。ピカピカの廊下を歩くとギシギシ鳴るのがかえってうれしい感じ。部屋にトイレ洗面所がないが、トイレは近代的に改築されていていつも清潔。アルバイトの若い人たちの一生懸命な働きぶりも良い印象に一役買った。
特筆すべきはお料理の美味しさ。特産の蕎麦を使った伝統料理の数々…裁ち蕎麦(つなぎを使わないそば粉100%のお蕎麦)、蕎麦田楽、はっとう(あっさりと甘い蕎麦の餅のエゴマ和え)などなどすべて美味。そして手作り豆腐が絶品!
4日目 8月20日 / 晴ときどき曇り
帰京の朝、台風が過ぎ去った空は澄み渡り、強い風が山から雲を押し流している。そして道端のコスモスやソバ畑の白いソバの花を揺らしている。赤とんぼが群れ飛んで、バスを待つ間にも肩や頭にとまった。日陰では寒いくらいの涼しさに、空気が夏から秋へと入れ替わったのを感じた。会津に秋が訪れた日、名残を惜しみつつバスの乗客となった。
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