余計な前書き 今月下旬に海外の山旅(トレッキングはお気楽レベル)を予定しているので、この夏の「夏山山行」は本格登山ではなくハイキング程度にすることにした。正直な話、海外トレッキング行きがなくても、現在の体力レベルでは日本アルプス登山はかなりキツイという理由もあるが(汗)

 とはいえ猛暑の都会からしばし脱出して涼しさを満喫できるのは、標高が高い日本アルプスだ。そしてせめて1年に一度は、高山植物のお花畑を愛でたい。そこで思いついたのが、ゴンドラやリフトで楽ちんに標高1800mへとアクセスできる八方尾根である。かつて唐松岳・五竜岳の縦走コースを考えていた頃もあったが、今の私には現実味に乏しくなった。しかし八方尾根といえば文句なく浮かぶ、あの白馬三山を水面に映した八方池の景色を見ないままなのは惜しい。八方池までのトレッキングだけでも充分北アルプス気分を楽しめそうだ。

 その気になって調べると、八方尾根は高山植物の宝庫だと知った。八方池付近まで蛇紋岩で形成されているため、標高1800mから既に森林限界を超え、標高2500mあたりに咲くはずの高山植物が生育している。しかもその種類が多いとのこと。蛇紋岩の山といえば尾瀬の至仏山、岩手の早池峰山だが、私はそのどちらにもまだ登っていない。特に至仏山に多く咲く花「ミヤマアズマギク」には前から関心があるが、イタリア・アルプスでのトレッキング中に見たものの、肝心の日本では見たことがない。さらにはヨーロッパアルプスで良く目にした「ワスレナグサ」に似ている「ミヤマムラサキ」が、八方池辺りに咲いているらしい。この夏は北アルプスでも残雪が多いとの情報で、8月に入ってしまったがお花畑は大いに期待できそうだった。

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 ところが順調に梅雨明けしたというのに、その後の太平洋高気圧の張り出し方が弱いのか、北アルプス全般でも不安定な天気が続いているようだ。ぎりぎりまで天気予報をチェックして、4日の快晴マークを見定め宿泊を手配。だが、あららら予報はくるくる変わり、出発まで天気予報に翻弄されることになった。実は6月初頭にミヤマキリシマの見頃を狙い、くじゅう大船山に登るはずだった。しかし直近の天気予報が連日「雨」になり、キャンセル料発生直前に計画を由布院温泉旅行(天気次第では由布岳か鶴見岳登山)に変更。結局その旅では登山できなかったので、今回の八方尾根行きは昨年11月からの久々の「山歩き」になる。何とか晴れてほしいものだが…。

八方池山荘へ 2014年8月3日

 新宿から大糸線南小谷まで直通運転する特急あずさは、手配が遅かったため既に満席だった。この年7月9日に長野県南木曾付近で発生した土石流災害で、JR東海中央線は一部区間が不通となっていた(8月6日復旧)。そのため松本駅からの大糸線は、各駅停車の電車に乗り込んだ。ちなみにこの10日くらい前には南木曾の富貴畑温泉に出かけていて、JR東海中央線では「特急しなの」が運転休止中なので、各駅停車の電車に乗った。各駅停車の電車旅も良いものである。特に大糸線は穂高駅の前後では北アルプスが望め、車窓に釘付けになる。しかし今回は空模様が冴えず、北アルプスの稜線は見えなかった。

 お昼過ぎにJR白馬駅に到着。路線バス利用だと、八方バスターミナルからゴンドラ乗り場である八方駅まで距離があるため、タクシーでゴンドラ乗り場「八方駅」まで行くことに。ところが駅前タクシー乗り場にはタクシーは見当たらず、待てども車はやってこない。先に並んでいる登山装備のグループが、タクシー会社に電話中。こちらは彼が電話している先ではない別会社に電話。タクシー会社の話では全車出払っているとのこと。日曜日の午後、そろそろ下山してくるお客を目当てに、ほとんどの空車が八方駅で待機中というのが、駅にタクシーが居ない真相だったらしい(笑)

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 八方駅からはゴンドラ、チェアリフト2つを順調に乗り継いで、八方池山荘が建つ終点まで行けた。アルペンクワッドリフト、グラートクワッドリフトはグリーシーズン仕様にされ地面からの高さが1.5mと低いので、恐怖感を感じない。足元にはお花畑が広がる。シモツケソウが真っ盛りだ。

アルペンクワッドリフトで黒菱平へ
アルペンクワッドリフトで黒菱平へ
黒菱平 鎌池湿原
黒菱平 鎌池湿原

 途中黒菱平にある小さな鎌池湿原には、ニッコウキスゲが咲いていた。リフト乗車中の雷雨を心配していたが、時折弱い霧雨が降りすぐに止むという程度で助かった。グラートクワッドリフトからは展望が開けるのに、山の山頂部は雲の中だったのが残念だった。

 夫は八方尾根は初めてだが、私はこの八方池山荘までは来たことがあった。20年も前の1994年7月、夫の長期海外研修旅行の間を利用し、八方尾根ハイキングツアーに母を誘い共に参加。東京からの交通渋滞で到着が遅くなり、あいにく第2ケルンまでのハイキングはカットされてしまったが、翌日に栂池自然園を歩いた。このハイキングツアーは結婚以来母と二人での旅行というだけでなく、特別な思い出もあった。出発のツアーバスに乗り込んだとき、ビックリ仰天。なんと車両前列のシートに叔母(母の弟の妻)が座っていた。叔母は偶然同じツアーに、お友達と参加していたのだ。私の叔父、つまり母の弟は若い頃は多少山歩きもしていて、その影響からか叔母も軽いハイキングなどしていたらしい。八方池山荘にもかつて泊まったことがあるそうだ。

1994年7月26日八方池山荘前にて母と
1994年7月26日
八方池山荘前にて母と
八方池山荘前のクガイソウとシモツケソウの花畑
八方池山荘前の花畑
クガイソウとシモツケソウ
2014年8月3日

 その叔母からそのときの旅のこの場所で、高山植物の花の名前を教わった記憶がある。特にこの周辺に多く咲いているシモツケソウは印象深く、「シモツケソウ」という名前を教えてくれたのはこの叔母だった。思えばこれが高山植物の花に関心を持つ原点だったかもしれない。ちなみにそのときに、おそらく八方池山荘売店で購入した花図鑑『白馬岳・八方尾根 花の旅』は、現在でも手元に置き結構重宝している。20年後の夏のこの日も、八方池山荘前の斜面には、シモツケソウがたくさん咲いていた。

八方池山荘

 村営八方池山荘は下水設備が整った環境にあるので、トイレは水洗で浴室もある。しかし特に個室は設けていなくて、全室相部屋での利用になる。ただし子供連れの三世代家族は1階の部屋を個室利用していた。私たちが入室したのは定員8名の和室相部屋だった。同部屋に配されたのは、同年代の中高年夫婦2組。廊下を挟んだカイコ棚形式の洋室には、単独者や男女混合グループが入室していた模様なので、話題が合うような利用者同士を同部屋にするなどの配慮がうかがえた。

 山小屋で相部屋とはいえ掃除が行き届き、新しくしたばかりという寝具はとても清潔で、枕カバーは使い捨ての不織布が用意されている。寝具が一般サイズのため寝返りも打ちやすい。完全予約制のため、オンシーズンの最中でもギュウ詰め状態にはならない。かつて利用した山小屋の中ではダントツの快適さだった。

八方池山荘 / 定員8名和室相部屋
八方池山荘 / 定員8名和室相部屋
八方池山荘 / カイコ棚形式相部屋
八方池山荘 / カイコ棚形式相部屋
八方池山荘 / ビュッフェ形式夕食
八方池山荘 / ビュッフェ形式夕食

 食事は夕食・朝食共にビュッフェ形式である。ご飯と味噌汁、サラダはおかわりができる。浴室は同時には数人が限度という感じだが、午後2時にはチェックインしたので、3時からの一番風呂を使わせてもらった。

 また宿泊者に限り登山に必要がない荷物は預かってくれ、専用のロッカー(鍵なし)がある。

 この晩は全館満室だったのだが、同室となるはずの1組2名が直前キャンセルだとかで、3組夫婦6人となり部屋に余裕が生まれラッキーだった。同室の人たちとの会話も弾んだ。部屋の窓下にあるグラートクワッドリフト乗り場が運転を終了して静かになった夕方、ひとしきり激しい雨が降った。そして雨が止んだ後は蒸し暑くなった。標高およそ1800mにある山小屋だが、通年営業なので2重窓。窓を閉めてしまうと冷え込みも感じない。むしろ暑いくらいで、同室の皆口々に「こりゃ熱帯夜だな、寝苦しいなあ」…とこぼしつつ就寝(笑)

登山データ

標高 八方池 2080m

山行日 2014/08/04


アクセス

JR大糸線白馬駅からバスまたはタクシーで八方アルペンライン八方駅

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