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「日本秘湯を守る会」の案内書には、家族的な雰囲気の宿とあったのに、ずいぶん洗練された瀟洒な宿だった。民芸調に設計されて雰囲気が良い。平瀬温泉の大通りから奥まった場所にあるうえ、団体客が入らないため館内がたいへん静か。夕立が上がった後、カナカナ…と鳴くヒグラシの音が静寂を盛り上げる。なんとも贅沢なひととき。客室の次の間には囲炉裏がしつらえてある。
内湯の脱衣所で「こんな宿もいいわねぇ。山に行ってたから」と話しかけてきた人があった。札幌から来て東京の山友達との数人のグループで白山に登り、平瀬道、白水湖へと下山してきたそうである。あの「お花松原」のミヤマクロユリの大群生も見てこられたとか。ここまで来て、またしても「お花松原」の存在が気になってしまうのだった。
温泉良し、料理良し、サービス良しで落ち着ける雰囲気のこの宿は、やはりリピーターが多いようだ。チェックアウトの時にもグループの幹事さんが、「じゃ、また来年」と挨拶していた。白川郷までは地元タクシーを利用。普通車タイプは2台しかないとかで、予約した時間に大幅に遅れて迎えに来た。
高速バスの発着所、白川郷観光センターがある広場でおろしてもらう。運転手さんに白川郷を観光するのに効率的なコースを教えてもらった。観光センターのコインロッカーにザックを預け、同じタクシー会社が運行しているシャトルバスでまず「展望台」へ。
絵ハガキやポスターで使われている俯瞰写真は、ここから撮影されている。やはり重要文化財の「和田家」が目立つ。道路を入れないアングルが難しい。目が覚めるような冴え冴えとした田の緑と合掌造りとの取り合わせは、これは確かに「日本の遺産、世界の遺産」だと納得できる美しさだった。
展望台から歩いて集落に下りて散策。良い位置でカメラを構えても電線が入ったり、軒下のトラックが写ってしまったり…。こういうときはスケッチができればいいなと思う。
開放して公開している「和田家」「神田家」などを見学。建物は一階から三階まで吹き抜けになっている。集落の全ての合掌造りの建物は、強い風と風雪を考えて同じ南北方向に建てられ、朝日と夕日を取り込むために東西に窓がある。
周囲には消雪と防火のために水路がめぐらされている。写真で有名な「秋の一斉放水」でも使われる防火栓があちらこちらに設置されている。
帰路は白川郷からバスで高山へ。高山駅には登山の格好、装備の中高年が溢れていた。ただし彼らの思い出は、私たちのように白山ではなく、乗鞍・西穂高なのだろう。
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