余計な前書き 「日本秘湯を守る会スタンプラリー(参照 »)」の4冊目のスタンプ帳に10個のスタンプを集め終わり、ご招待宿泊の特典を受けられることになった。今回の特典を利用できる期間は8月下旬からの半年間。そして夫が定年退職し非常勤勤務になったことで、今まで出かけられなかった体育の日の祝日連休にも山に行かれるようになった。で、この体育の日連休の山旅に優待宿泊を利用することにした。となると、「山選び」が「宿選び」次第になってしまい悩ましいとこともあるのだが、タダで泊まれる特典を逃す手はありえない。もう一度泊まりたい宿と言うだけではなく、日程との兼ね合いや当日の天気が良くなかった場合まで考慮に入れた末に申し込んだのが、上高地の坂巻温泉旅館だった。

 登山をする人が誰しも憧れ、そして絶賛するのが穂高岳涸沢(涸沢カール)の紅葉だ。今や紅葉した涸沢は登山者のメッカになった。紅葉時期の登山道やテントサイト・山小屋の混雑も半端ではない。だから行くなら、夫が完全退職してから平日山行でと決めている。なので今回はあくまで上高地を散策するだけの山旅となる。しかも上高地が秋色に色づくのは、カラマツの黄葉がピークとなる10月中旬過ぎ頃なのだ。う~ん、それじゃやっぱり物足りない…。で、例年10月10日前後に山腹の紅葉が盛りとなる乗鞍岳をプラスすることにした。乗鞍では降雪がなくて天気が良ければ乗鞍岳主峰剣ヶ峰に登頂しても良いし、紅葉が見頃なら位ヶ原山荘から冷泉小屋辺りを紅葉見物山歩き、天気が良くなければ乗鞍高原散策…という具合に状況次第。うん、我ながらなかなか良いプランだわん。

 出発日が近づくとネットでの紅葉状況情報を日々追って、乗鞍岳中腹の紅葉に期待も高まってきた。そのうえ天気予報もかなり期待を持てる。ところが夫が1週間くらい前から風邪を引いてしまい、診療所で貰った薬を飲んでもなかなか快復しない様子なのだ。そして出発日前日のこと、嫌な予感的中。夫が発熱したと言って勤務先から帰宅した。といっても体温計の数字を見れば、幾ら平熱が低いからと言ってもぜ~んぜん大した熱じゃない、微熱も微熱。夫は後半の乗鞍高原での宿泊をキャンセルして日程を短くしたいようだが、結局「とにかく行ってみよう」という私の提案を受け入れた。

 実は訳あって、この先しばらくは山歩きも旅行もできなくなる。今のところ次の山、次の温泉、次の旅にいつまた行かれるようになるのかはわからない。この山旅を特別に楽しみにしていたのは、夫も同様なのだった。

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上高地ハイキング (1)

 前日10月7日は坂巻温泉旅館にチェックインするだけなので、お昼前に松本に着いた。バスターミナルビルの中にあるお蕎麦やさんに行くと、新蕎麦キャンペーンでざる蕎麦食べ放題サービス中。1枚で普通に満腹の量なのに、夫は2枚と私が残した半分を平らげた。それだけ食欲があれば大丈夫じゃん(笑)

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坂巻温泉旅館の露天風呂
坂巻温泉旅館の露天風呂

 上高地に早めの寒波がやってきていて、坂巻温泉でバスを降りたら結構寒い。旅館の客室には暖房が入っていた。夜になって更に冷え込み、風邪引きの夫に対し長湯し過ぎないように、湯冷めしないように、朝風呂は入らない方がいいんじゃないの…と気を遣いまくり。処方して貰った咳止めと痰切りと鼻炎の薬をずっと内服中の夫は、薬の副作用なのか少々ぼんやりとしている。それでも夕食でのお酒は控えめにし、殊勝に早めに就寝。

10月8日 天候 快晴

 冷え込みが厳しかったお陰で、翌朝はスッキリとした快晴になった。沢渡駐車場から来た朝8時過ぎのバスに乗り込むと、既にほぼ満席で補助席に座った。年の初めに訪れたとき20~30分かけて歩いた釜トンネルを、バスはあっという間に通り抜け、窓の外に大正池が見えて来た。池の周囲の草むらに霜が降りていて真っ白だった。カラマツ林も霧氷で黄色味を帯びた白色。そしてそびえる焼岳。バスは楽ちんだが、この美しい風景がほんの一瞬しか見られずに残念。大正池で下車したい誘惑に駆られたが、今回は徳沢まで往復したいので終点バスターミナルまで乗っていく。

コース概要

《往復》上高地バスターミナル -- 河童橋 --1時間-- 明神池(--明神池周遊--)-- 明神館 --1時間-- 徳沢

《往復》上高地バスターミナル -- 中の瀬園地 -- 田代池

〔8:40〕出発:8時20分上高地バスターミナル着。バスターミナルは夏山シーズンくらいの賑わいだが、まだこの時間では観光客は少なかった。帰りのバスの乗車券を購入していたら、他のお客さんと窓口係との会話が耳に入った。今朝の冷え込みは氷点下3度で、現在もまだ氷点下ですとのこと。ベンチにザックを下ろして売店に買い物に行ったり装備を整えての準備。夫がザックを下ろしたときにギックリ腰になりかけたらしい。ちょっと先行き不安な出発。

梓川越しに穂高連峰
梓川越しに穂高連峰

 梓川沿いの遊歩道に出ると期待通りの景色が迎えてくれた。秋色の穂高の山並みがくっきり! 川岸の草むらはまだ緑なのに、急激な冷え込みの霜の名残でかすかに白い。何枚も写真を撮るが、山が明るく川面が暗いのでオートでは限界。河童橋の上にいる人が増えてきているようなので、先を急いだ。

 河童橋のたもとの岸辺、穂高連峰の眺めの手前に河童橋が配置された絶好のビューポイントでは、今朝も眺めに見入る人、カメラを構える人、そして腰を据えて絵筆を取る人でいっぱい。逆光なので撮影技術ゼロの私は、ここでの撮影はテキトーに終え河童橋に上がった。

河童橋から

 素晴らしい眺め! 河童橋の上から穂高岳、焼岳を眺めるのは数回目だが、今まででいちばん美しかった。焼岳、穂高岳には前日と今朝と降雪があったとのことだが、遠くから見るぶんでは山肌はまだ秋色だ。1年を通して最も雪が少ない穂高・焼岳だろう。しかし山襞の陰影がくっきりと見えているため、山の深さ、荒々しさが強調されている。来て良かった、と心から思った。

河童橋から穂高連峰
穂高連峰
河童橋から焼岳
焼岳
河童橋から穂高連峰(ズームイン)
穂高連峰(ズームイン)

 橋の上はだんだんごった返してきた。五千尺ホテル前も人が溢れていた。橋を渡らず「梓川左岸道」で徳沢へと歩き出した。

 河童橋から奥への道を歩くのは、燕岳からパノラマ銀座コースを縦走して蝶ヶ岳から下山した2002年7月以来になる。それ以前夫婦での山歩きを始めたばかりの頃、北アルプスデビューとして選んだ乗鞍岳登山の前日には、横尾まで往復して足慣らしをした。久しぶりに歩く道にわくわくしていた。おまけに今回は、「徳沢辺りまで行ってみようかな…」くらいの、特に目的地も決めず、歩くこと自体を楽しむことにしている。

乗鞍岳登山の山行記録 »

パノラマ銀座縦走の山行記録 »

小梨平
小梨平

 寒いのでジャケットを着て出発したが、歩いて身体が温まってきてジャケットを脱いだ。樹林のなかの小梨平を抜ければ、陽差しいっぱいの梓川河岸を行くようになる。暑くもなく寒くもなく快適なウォーキングだ。ここ上高地は、重そうなザックを背負って涸沢に向かう登山者と、軽装の観光ハイカーが混じって歩いている。頭から足元まで登山装備だが、今回は山に登らない中途半端な私たちである。

明神岳
明神岳
明神橋を渡る
明神橋を渡る

 明神岳が雲ひとつない青空にそびえ、岩肌の荒々しさが間近だ。明神橋を渡って、久しぶりに明神池に行くことにした。

明神池

〔10:00~10:50〕明神池:明神池は明神岳の土砂が湧水をせき止めてできた池で、一之池と二之池からなる。穂高神社の神域なので、拝観料を納めて見物する。この日10月8日は穂高神社の奥宮例祭で、例祭の後に行われる「日本アルプス山岳遭難者慰霊祭」の準備が進行していた。一之池の畔に出ると桟橋に例祭の御船神事に使われる舟が係留されていた。桟橋は浮いているだけのようで、人が歩くとかなり揺れ、カメラを構えていると酔いそうになる。

明神池 一之池

明神池 一之池
明神池 一之池
明神池 一之池
明神池 一之池
明神岳 一之池
明神岳 一之池

 一之池畔の木立は、まだ色づき始めてきたばかり。2週間くらい先だともっと美しい景色になりそう。池の底に描かれる、透明度が高い湧水の水紋がキラキラ輝いていた。

明神池 二之池

明神池 二之池
明神池 二之池
明神池 二之池
明神池 二之池

 二之池には幾つかの浮島があり、一之池とは違う趣がある。浮島のドウダンツツジらしき紅葉が水面に映って、なかなかの見応えだった。これで人が少なければ満点なのだが(笑)

 歩道(木道)が更に奥へと続くので、進んでみることにした。岩がゴロゴロしていたり、木道がない箇所はぬかるみだったりして、かなり歩きにくい道である。それでもスニーカーの人もゾロゾロと歩いて行く。更に良い景色があるのでは?と思うのかも(笑)

二之池の奥へ
二之池の奥へ
明神池奥の渓流
明神池奥の渓流

 二之池からの湧水が渓流となり、行き止まりまで来ると別のせせらぎと合流していた。格段大した景色ではなかった(笑)

 「熊出没注意」の立て札があり、確かにいかにも出没しそうな雰囲気。まあ、これだけ人間がわさわさ出入りしている今日は、熊も敬遠して出てこないだろう。熊には端迷惑な秋の三連休なのかも知れない。

 二之池に戻ると人がいっそう増えていた。身動きが取れないくらいの場所もあった。皆池の畔で動かない。待機している人たちは、例祭の御船神事の始まりを待っていたようだ。歩くことしか考えていなかったので、「日本アルプス山岳遭難者慰霊祭」の参列者が集まりだした穂高神社を後にした。せっかくだから御船神事を拝観したら良かったのだが、御船神事の事は後日知ったので、まさに「後の祭り」なのだった(笑)

穂高神社 奥宮 »


登山データ

場所 長野県


山行日 2011/10/08

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