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第10日目 12月1日 ポカラ(サランコット) →(国内便)→ カトマンズ(自由行動) カトマンズ泊
サランコットはフェワ湖の北側丘陵のなかの一番高いピークである。丘と言えども標高は1592mもあり、日本なら立派な「山」だが、幾つもの6000~8000m峰を有するネパールでは、標高2000~3000mの山は「丘」扱いのようだ(笑)。「○○コット」のコット(kot)は丘という意味である。サランコットは北側真正面にマチャプチャレがそびえ、遮る物ひとつないアンナプルナの展望が得られる絶景ポイントである。
夜が明けないうちの朝食前にホテルを出発して、例のインド製のチャーターバスに揺られて暗い山道を登った。舗装路だったので前日のような怖さはなかった。
本当はもう少し下の麓の村からハイキングすると良いのだが、このツアーでの「ポカラ旅行」はそもそも不慮の事態でのオマケなので、車で行かれる所まで行き最短で登るのである(笑)
麓の駐車場に到着したときはまだ薄暗くヘッドランプが欲しいくらいだったが、登り始めたら徐々に明るくなってきた。しかしまだアンナプルナに光は届かず、朝焼けまで余裕はある。石畳の階段状の山道には、土産物店、ロッジなどが立ち並んでいる。
ポカラに来る前夜、ちょっとした不注意で肋骨の左下部分を強打してしまっていた。その痛みがだんだん強くなってきていて、この登りでの呼吸がかなり辛かった。20分ほど登るとゲストハウスなどの建物が途切れ、北側の展望が開けた場所に出た。石畳の道が終わり、ゲストハウスや展望台がある山頂への急登の手前だ。ツアーメンバーの中には山頂を目指す人もいたが、添乗員さんを含むほとんどはこの場所で日の出を待つというので、私も頑張らないことにしてここで待機(^^ゞ
山々は刻一刻と色を変えていく。見つめたりカメラを構えたりで息つく暇もない。そしてクライマックスが始まった。
アンナプルナ南峰とアンナプルナ最高峰が見る間に赤く染まっていく。山の上に被さる雲が、巧い具合に日の光を反射して照らすからだ。雲も山の雪も、息をのむほどの茜色になって輝いた。
モルゲンロートが一段落したのでもう少し上に登り、フェワ湖側の眺めも楽しむ。空の茜色を投影して、湖面もほんのりと茜色だった。
アンナプルナに目を戻すと、マチャプチャレの岩肌が赤く染まり、陰影が濃くなって迫力が増していた。マチャプチャレ(Machhapuchhare)は「魚の尾」という意味だそうだが、どう見てもマッターホルンにそっくりである。
7時9分になるとすっかり日が昇り、空は澄んだ青色に、雲や雪は白色を取り戻した。そして谷間に流れるセティ川と集落も見えるようになった。
眺め続けたマチャプチャレの手前を、一番機らしい飛行機が通過していった。
およそ1時間の早朝のドラマが終わった。あっという間だったような、長かったような、そのどちらでもあるようなエキサイティングな時間だった。これから登っていく人とすれ違いながら、駐車場まで下りた。
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