モレーンレイク&ジョンストン渓谷 (1) / Moraine Lake & Johnstone Canyon

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第5日目 8月3日

 この日のコースを一番楽しみにしていた。ラーチバレーからセンチネルパスまでのトレイルはテンピークスを間近に眺めフラワーウォッチングも楽しめる、カナディアンロッキーの人気コースである。1997年に行ったスイストレッキングツアーの計画の時には、実はカナディアンロッキーも候補地のひとつだった。そのとき集めたツアーのパンフレットでラーチバレーコースを知り、強い関心を持った。

 エメラルドレイクロッジをチェックアウトして車で移動。懐かしいモレーンレイクに到着したのは9時半過ぎだった。曇り空ながらもテンピークスが良く見えていた。もう少し日が差せば湖の青さが際立つのだが…。遊歩道の Mountain fireweed がきれいに咲いている。

モレーンレイクロッジ
モレーンレイクロッジ
Mountain fireweed
Mountain fireweed

Moraine Lake Lodge »

熊が開けられない仕組みのゴミ箱
熊が開けられない仕組みのゴミ箱

 観光スポットであるためゴミ箱が目立つ。このゴミ箱は熊にはフタを開けることは絶対に不可能で、人間には簡単に開けられる仕組みになっている。国立公園内のゴミ箱は全てこのタイプ。

 カナディアンロッキーにはブラックベア(クロクマ)とグリズリーベア(ハイイロクマ)が生息している。これまで3日間のハイキング中、ガイドさんからはクマと出会わないよう、また不幸にもクマと出会ってしまった場合の対処についての注意を受けた。ガイドさんがクマと遭遇したときの体験談も聞いた。ガイドさんは常にベアーススプレー(トウガラシ入り熊撃退スプレー)を腰につけて携帯している。ハイキングの合間にスプレーの使い方を教わった。万が一ガイドさんが襲われた場合、代わりに使えるようにするためである。ただし熊スプレーは4mの至近距離からでないと役に立たない。Larch Valley、つまりカラマツが生える谷ラーチバレーはカナディアンロッキーのハイキングコース屈指のクマの生息地帯である。スプレーを使うなんてことにならなければ良いのだが。

コース概要

モレーンレイク---(2.4km)--- エッフェルレイク分岐 ---(2.1km)--- ミニスティマレイク ---(4.5km)--- モレーンレイク ---(1.3km)--- センチネルパス(センチネル峠) ---(5.8km)--- モレーンレイク
エリア バンフ国立公園
歩行距離 9.0km(センチネルパスまで往復は11.6km)
標高差 520m(センチネルパスまでは720m)
最高地点 2405m(センチネルパスは2605m)
コースタイム 約4時間(センチネルパスまで往復は6時間)

 ハイキングスタート地点と途中のポイントをマーカーで示した地図です。ポイント地点の写真も見られます。GPSログを取得していないので、ポイントの位置はアバウトです。右端の拡大アイコンで別画面で大きな地図が開きます。

 ラーチバレーコースは単独での入山はできない。必ず6名以上のグループで入山することが義務付けられている。入山口にはそのルールを示した注意勧告とグループでの歩き方の指南図を描いた立て看板が置かれている。グループひと塊で歩くことで、クマに自分より大きな動物だと錯覚させる意図がある。だからグループのなかでも個人個人バラバラに歩いてはいけない。

入山口の注意勧告
入山口の注意勧告
グループでの歩き方の指南図
グループでの歩き方の指南図
クマ出没情報の資料
クマ出没情報の資料

 入山口には違反者が出ないようにパークレンジャーが立ってチェックしている。ちなみにバンフ国立公園のレンジャーは「パークワーデン」という。

入山口の掲示板
入山口の掲示板
同行者を求める張り紙
同行者を求める張り紙

 では単独ハイカーや6人に満たないグループはどうするのか?入山口で待っていて他のグループに入れてもらうか、少数グループ同士で6人グループが作れるまで待つのである。入山口の掲示板に同行者を募る張り紙があり、記入してもよい。

 “健脚組”のコースはSentinel Pass(センチネルパス)までの往復。“ゆっくり組”はLarch Valley(ラーチバレー)を過ぎてMinnestimma Lakes(ミニスティマレイク)辺りの展望が良いMeadow(メドウ=草原)までの往復となった。もちろんセンチネルパスまで行きたかったが、途中までの“ゆっくり組”に参加することにした。仮に私たちが“健脚組”に参加すると、“ゆっくり組”はガイドさんを含めても5人になってしまうからではない。ハイキングはもう1日あるので大事をとったのである。

 入山口のパークレンジャーからクマに対する注意を聞いたグループは、皆一様に時々大きな奇声を上げたり、歌を歌いながら登っていくのが可笑しい。ちなみにザックにつけた熊鈴程度ではクマを避ける効果がないので、お喋りしながら登るか、ダブルストック使用者なら時々ストックを打ち鳴らすのが良いそうだ。カナダ人のハイカーで熊鈴を付けている人は少数派だが、他のハイキングコースでは何人か見かけた。単独行や2人組のハイカーだった。

 歩きやすいトレイルをスイッチバックで登っていく。初めは遊歩道のような広い道である。

 30分ほど登ったところで下山してきたグループがあった。そのグループと一緒に下山してきたパークレンジャーが、私たちのガイドさんに話しかけてきた。真剣な顔つきなのと単語の端々で、トレイル上にクマが出没したようだと理解した。案の定ラーチバレーに入る手前での目撃情報があったのだとか。今回はトレイルは閉鎖されないようだが、レンジャーからはラーチバレーには行かないように勧められたのだった。

 このようにトレイル閉鎖にまでは至らない場合でも、クマの自由な行動を尊重して優先させるという暗黙の了解がある。つまり一帯はクマの領分であり、ハイカーはクマがいないときに限りお邪魔させていただくわけである。残念でならなかったが仕方がない。とりあえず木立の間からモレーンレイクが眺められる地点まで登ることになった。

コバルトブルーのモレーンレイク
モレーンレイク
木立の間にテンピークス
木立の間にテンピークス
Mt. Fay(3235m)
Mt. Fay(3235m)
この先には行かれず残念無念
この先には行かれず残念無念

 登っていくと私たちのすぐ前に入山した陽気なグループも下山してきた。そして展望場所まで登ると、先に出発した“健脚組”の仲間達がちょうど下山してきたところだった。やはりレンジャーの勧告を受けての撤退だった。

 この先いくらも登っていないとのこと。センチネルパスまで登る“健脚組”に参加しなかったのを悔やんでいたので、彼らがもっと早い時間にクマ出没箇所を通過していて登れていたなら、悔やんでも悔やみきれなかったところだ。こういうときに限って天気が良くなってくるものなのだ。雲が切れて差し込んだ太陽光線に照らされ、湖の色は輝くようなコバルトブルーになっていた。本当に残念無念!

パークワーデンと国際交流
パークワーデンと国際交流

 どうやら下山するグループは私たちが最後のようだった。トレイルは閉鎖されなかったが、しばらくは入山していくグループもいない。誰にも会わない静かなトレイルだった。戻ったらパークワーデン=レンジャーさん(左の女性)が暇そうにしていたので、しばし国際交流(笑)

ロックパイルへ
ロックパイルへ

 モレーンレイクロッジに戻り、湖を見下ろすRockpile=ロックパイル(湖岸にある岩が積み重なった小ピーク)で各自ランチタイムをとり、再びモレーンレイクロッジ前に集合して午後の行動を決めることになった。

「波の化石」の解説板
「波の化石」の解説板
波の化石
波の化石

 ロックパイルに登る途中「波の化石」なるものがあった。海の波打ち際の砂浜が化石になったもの。かつて海だった証拠のひとつである。


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