ドーソン・シティからホワイトホースへ (2) 第7日目 8月28日

ドーソン・シティ → ホワイトホース / ホワイトホース泊
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ホワイトホース / Whitehorse

 ホワイトホースの宿泊ホテルに16時15分に到着。こんなに早い時間のチェックインは、この旅でこの日が初めてだ。ホテルはユーコン初日に宿泊した同じホテル、ウエストマーク・ホワイトホース・ホテルである。ドーソン・シティで利用したホテルと同じウエストマーク系列のホテルで、ユーコン最大のホテルだそうだ。で、チェックインの際にカードキーと共に無料Wi-Fiサービス用ID・パスワードのメモを貰えるのも、ウエストマーク・イン・ドーソン・シティと同じ。ところが前回宿泊した際にログイン画面に入力してもログインできなかったのだが、今回も同様にログインできない。それほどネット接続が必要ではないので、早々に諦めた。

Westmark Whitehorse Hotel »

ホワイトホースのメインストリート
ホワイトホースのメインストリート

 夕食時間まで時間があるので、お土産のショッピングに出かけた。土産物店があるホワイトホースのメインストリートへは、ホテルから歩いてすぐだった。ちょうど退社時間だったので、通りには結構人が多かった。

 ホワイトホースはユーコン準州の人口約3万6000人のうちの約8割、約2万7000人が住んでいる。州都なのでメインストリートにもビジネス街の趣があり、路線バスのバス停には退社した人たちが並んでいた。メインストリートには土産物店、レストラン、カフェの他、アウトドアレジャーの地らしく、アウトドア用品の専門店がある。またアートギャラリーやブックショップが洗練されていて、文化都市の雰囲気も漂っていた。

 見渡す限り建築物がないツンドラ原野や映画村のようなドーソン・シティからやってくると、その都会っぽさが新鮮だった。

ユーコン準州でのお土産について

 カナダのお土産の定番と言えばメープルシロップとその関連商品だが、せっかくユーコンに来たのだからユーコン準州での生産品“ローカルプロダクツ”を買っていきたいところ。ユーコン準州ならでは、という商品は先住民のハンドクラフトかそれを模したデザインのグッズ(キーホルダーや携帯ストラップ)、ジャム、ハーブティーなど。ハーブを使ったハンドメイド石けん、ハンドクリーム・リップクリームもお土産に最適かも知れない。ハンドクリーム・リップクリームは、お店によってはテスターが置いてあるので、香りや使い心地を確かめられる。

 幾つかの土産物店を巡った結果、お土産に最適な品揃えが豊富な「パラダイス・アレー(Paradise Alley)」でお買い物。

アントワネット / Antoinette's

 カナダ・ユーコンの旅最後の晩の夕食になった。ドーソン・シティでの夕食と同様このホワイトホースでも、ツアーリーダーは配慮が行き届いたセッティング。最近評判のレストランを予約してくれたのだ。昨年までの同じツアーにおいて別のレストランを利用していたが、今回初めて利用してみたとのこと。その「Antoinette's(アントワネットの店)」は、地元テレビ局のグルメ番組で取材されたこともある、とても美味しいと評判のレストラン。帰国してから検索してみると、確かに旅行専門サイトで評価が高かった。

 メニューの中から、珍しいので「バイソン(=バッファロー)の肉のハンバーガー」をチョイス。赤身の挽肉は臭味が全くなく、柔らかくジューシーで牛肉より美味しかった。スープやデザートも美味しくて、この旅でのフィナーレを飾るにふさわしいレストランだった。別のお料理を注文した人たちも満足した様子。

アントワネットのレストラン
アントワネットのレストラン
バイソン肉のハンバーガー
バイソン肉のハンバーガー

 食事を終えた頃にオーナーシェフであるアントワネットさんが、私たちのテーブルへ挨拶に来てくれた。カリブ海のトリニダード・トバゴ出身のアフリカ系の女性である。明るくて気さくな感じの女性で、ひとりひとりに小袋入りの美しい岩塩をプレゼントしてくれた。袋にはパソコンでの日本語で「繁栄」と書かれたシールが貼ってあった。ツアーリーダーの推測は「日本人の友だちに手伝って貰い、一生懸命作ってくれたのでは」…そんな心遣いのサービスも、また人気の要因なのだろう。もし近くにあれば、また行きたいと思わせるレストランだった。

Antoinette's Restaurant in Whitehorse » (フェイスブックページ)

 夜9時半頃にホテルに戻った。預けていたスーツケースを受け取って、移動中に使っていたダッフルバッグから荷物を詰め替えなくてはならない。ダッフルバッグは持参せずに旅行社からレンタル(有料)したので、翌朝出発前に返却する事になっている。ゆっくりする暇はない。スーツケースはホワイトホースの空港で預けると、そのまま成田まで受け取れないため、中身を吟味してパッキング。で、日付が変わってから就寝。

 翌日は早朝5時55分発のエア・カナダのバンクーバー行きに搭乗するので、ホテルの出発は午前4時である。これじゃオーロラを見に行くわけでもないのに仮眠である。

最終日(帰国) 第8日目 8月29日-30日

ホワイトホース → バンクーバー → 成田

 ホテルから空港まで車で10分。エリック・ニールセン・ホワイトホース国際空港は日本の中小都市にあるローカル空港くらいの規模である。搭乗手続きが済むと、お世話になったツアーリーダーとはお別れである。ツアーリーダーはお住まいがあるアルバータ州キャンモアまでの、長いドライブが控えているそうだ。

ホワイトホース国際空港を離陸直前
ホワイトホース国際空港を離陸直前

 搭乗開始の知らせがあり搭乗ゲートを出たものの、早朝はボーディング・ブリッジは使わないらしい。連絡のバスもない小さな空港なので、寒くて暗い飛行場に出されて「飛行機はどこ?」状態。案内の人が指さした飛行機に向かうとき、オーロラが出ていないか空を見上げた。薄明にはまだ間があるけれど、オーロラは出ていなかったようだった。


おわりに ---  “Yukon, Larger than Life”

 この旅を終えて思ったことなど。

オーロラの魔力

イーグルプレインズでのオーロラ

 「オーロラ?うん、見たいことは見たいけど、どうしてもって程じゃない」だった、正直なところ。実際に見るまでは。

 年を重ねてきたからか滅多なことでは興奮しない私も、オーロラだけは別格の衝撃的な感動だった。オーロラは皆既日食のように起きる予定が決まっている現象ではない、天気さえ良ければ見られるというものでもない。2時間近く待っても現れてくれず、部屋に帰ったら現れる…ように翻弄されることもある。なんとなく天使か魔女かという魅力がある。そしてやっぱりこの世のものとは思えないくらい美しかった。「虜」になる人がいるのも頷ける。また、多少は“お勉強”した結果、曲がりなりでも撮影に成功した喜びも加わり、得られたものは大きかった。

 こうやって記録を作り撮影写真を何度も見ていると、もっと貪欲にフリータイムの夜もオーロラハンティングに行けば良かった…と激しく後悔している。 「また見においで、撮りにおいでー」とオーロラに囁かれている気がするが、必死に無視している今日この頃である(笑)

ユーコン川

ファイブ・フィンガー・ラピッド

 「ユーコン」は先住民族の言葉で「偉大なる河」「大河」を意味するそうで、そういう知識がなくても大地を蕩々と流れる大河というイメージを持っていた。ところがホワイトホースとドーソン・シティのように明らかに流域にある場合を別にして、見えているのはユーコン川ではない事が多い。ユーコン川はベーリング海へと注ぐので、州の北部にはユーコン川は流れていない。

 実際にはユーコン準州のほぼ全域を、様々な河川が網の目のように流れている。つまり、まとまらないが「ユーコンすなわちユーコン川」ではなく「ユーコンはツンドラとタイガと、その中に張り巡らされた大小様々な川」という印象を持った。地球温暖化がツンドラに及ぶ影響はたいへんな脅威だそうだ(生態系の破壊、二酸化炭素の放出なと)が、この網の目の河川を見るだけでも、ツンドラが溶けてしまえばたいへんなことになると想像できた。

意外に豊かだったツンドラ

ツンドラに実ったブルーベリー

 ツンドラ=永久凍土なので荒涼としたイメージがあったが、実は永久凍土の上には厳しい環境に堪えて様々な植物が生育していた。夏の間溶け出した水は豊かで、まず地衣類が繁茂し、そしてコケ類、草木、灌木が生育していく。秋の実りの季節を迎えてベリー類はたくさんの実を付け、ブルーベリーは栽培ものと遜色ない甘さ。夏には高山植物が咲き乱れることもうかがえた。その様子を実際に目にして、イメージが変わった。

 この旅では熊以外の大型野生生物を間近に見るチャンスがなかったが、ムース(ヘラジカ)やカリブーの群れに出会うこともあるそうだ。ツンドラは原野に生きる植物や動物を養っている。荒涼の地ではなく、極寒の地での“母なる大地”だった。

手つかずの自然 そして "Yukon,Larger than Life"

北極線案内板周辺のツンドラ風景
北極線案内板周辺のツンドラ風景
イーグル平原
イーグル平原

  一番心に残ったのは、北極圏の手つかずの原野だった。北極圏のツンドラ帯はもちろん、北極圏に近いツンドラの平原「イーグル平原」も、見渡す限り人工物がない“手つかず”の自然が広がっていて、その壮大さ、圧倒感に言葉も出なかった。

 2006年のカナディアン・ロッキーの山旅の記録の後書き(参照 »)に、スイスアルプスと比較して「人工物はほとんどない、原始に近い自然があることがカナディアンロッキーのハイキングの大きな魅力」と書いた。だが、ユーコンの“原始に近い自然”はより原始に近く、そして桁外れに大きかった。

 ネパールのヒマラヤの山も桁外れに大きかった。山や谷のスケールの大きさに圧倒され、「ヒマラヤ山脈の成り立ちを含め遙か古代からの時間の流れと自然の大きさを思うと、人間の小ささ…自分をも含め、つまらない事で悩んだり諍ったりしているのが愚かしい」(参照 »)と思ったものだが、ユーコンの原野の大きさを前に、忘れかけていたその思いが再びよみがえってきた。

 "Yukon,Larger than Life" 「ユーコンは人生より大きい」…この言葉はユーコン準州のキャッチコピーである。ツンドラを体感してその言葉に頷いた。


 地球温暖化や天然資源開発が進むなか、私たち小さな人間たちはツンドラを守りきれるのだろうか……。

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