ツンドラの紅葉・北極圏ハイキング (3) 第4日目 8月25日

イーグルプレインズ →(北極線ポイントとハイキング)→ イーグルプレインズ / イーグルプレインズホテル泊

GPSログデータでみるコース概要

《場所》 北緯66度37分付近(北極圏内)リチャードソン山地(Richardson Mountains)の一角
《標高》 登り始め:およそ700m 尾根上:およそ850m
《歩いた距離》 およそ1.45㎞
《移動時間》 およそ1時間30分+(20分*)注:ハイキングスタートの時間帯にGPSアプリでのGPSログ取得が行われていない不具合があり、歩き出してから20分後からのデータになっています。

 ハイキング中のGPSログをグーグルマップに重ねたルートマップです。ポイントのマーカーをクリックまたはタップすると、写真や説明が見られます。この日のドライブルートは地図のスクロールや縮小・拡大で見てください。右端の拡大アイコンで別画面で大きな地図が開きます。

写真のキャプションにアイコン がある場合は、画像をクリックすると拡大表示します。拡大画像の画面は、パソコンの場合は画像下のバーの < > で、モバイル端末ではスワイプで画像を順番に見ることができます。

北極圏ハイキングでツンドラを体感

岩屑の山を登る
岩屑の山を登る

 どうやら岩屑の山の可愛らしいピーク2つを縦走(笑)して戻るらしい。岩屑の山はガレて歩きにくいかと思ったら、案外そうでもなかった。何故こんな岩屑の小山があちこちに多いのだろう? ツアーリーダーに質問したところ、氷河期にできたモレーン(氷河が削り取った岩屑や砂が堆積したもの)の名残ではないか…というのが彼の推察だった。

岩屑の山を登る
岩屑の山を登る
岩屑の山からの眺め
岩屑の山からの眺め
岩屑の山から
岩屑の山から

 標高が低い小さな丘だがなかなかの眺めだ。眼下にはツアー専用車が駐車しているのが見えて、歩いたコースをつかむことができた。

ウラシマツツジと北極樺(アークティックバーチ)

 地面に張り付いて生えているため、紅葉したその鮮やかな赤が、ツンドラに赤い絨毯を敷き詰めたように見せるウラシマツツジ。日本の高山でも結構お馴染みである。

紅葉したウラシマツツジ
紅葉したウラシマツツジ
奥のオレンジ色がアークティックバーチ(北極樺)
奥のオレンジ色が北極樺
黄葉した低木類
黄葉した低木類

 調べてみるとウラシマツツジ(学名:Arctous alpina var. japonica)はアジアに生育する変種で、ヨーロッパ、北アメリカの寒帯に分布するのは基本種である「アカミノウラシマツツジ」だとのこと。

Arctous alpina (L.) Niedenzu - ウラシマツツジの基本種で、ウラシマツツジより葉はやや小さく、葉裏の網目模様はさほど目立たない。ヨーロッパ、北アメリカの寒帯に分布する。

ウラシマツツジ属(うらしまつつじぞく、学名:Arctous Niedenzu)はツツジ科の属の一つ。北半球の寒帯、高山に3種ある。日本では Arctous alpina の変種であるウラシマツツジとアカミノウラシマツツジが知られている。 ウラシマツツジ属は、ときにクマコケモモ属(くまこけももぞく、学名:Arctostaphylos Adanson)と同一として扱われる場合がある。

引用 - Wikipedia


※「クマコケモモ」はベアベリー(Bearberry)=キニキニック(Kinnikinnick)のこと。紅葉していない結実時期のマウンテン・クランベリーとの区別でも悩んだが(参照 »)、またしても同定が難しいことに…(笑)。ウラシマツツジのつもりで撮った写真全てを拡大した結果、葉の薄さ、葉脈、周囲のギザギザなどから記事中は「ウラシマツツジ」にしておきます(汗)

 くすんだ赤色かオレンジ色、茶褐色に紅葉している小低木は、アークティック・バーチ(北極樺)。北極圏では膝下より低かった。「アークティック・バーチ」訳せば「北極樺」とツアーリーダーから教わった。詳しく知りたくなり帰国後調べると、「Dwarf arctic birch」あるいは「Betula Nana」が正式な名前のようだ。北海道の高山で見られるカバノキ属ヒメカンバ類の仲間らしい。

参照 Wikipedia / 英語版 »

 日本の「草紅葉」は低木だけではなく、キンコウカなど草の葉の紅葉も混じっている。地面が低木の紅葉だけで覆われている光景は、日本ではあまり見ることはできない。ユーコンに来てこそ、そして紅葉の見頃に出会えた幸運に恵まれてこその風景だった。

赤いミズゴケ(Red sphagnum closeup)
赤いミズゴケ
(Red sphagnum closeup)

 岩屑の山を下りると再びブッシュの中を歩く。低木のすき間にコケ類や地衣類が絡み合い、あまりにふかふかなので、足場が不安定なほどである。赤くこんもりとした植物はかがみ込んで押してみると、ジュワジュワッと水がしみ出した。まるでスポンジだ。「スパグナム・モス(Sphagnum Moss)」と名前を教わってメモ。帰国して調べると、Sphagnum Moss とはミズゴケのこと。思ったのは「なぁんだミズゴケなのか」と「あの水の含み方なら、なるほど」。

ヒメイソツツジ / Labrador Tea
ヒメイソツツジ
(Labrador Tea)

 ツンドラにはハーブもいろいろ生育している。ツアーリーダーさんに先住民由来のハーブティー「ラブラドールティー(Labrador Tea)の葉」だと教わったのは、調べるとイソツツジの仲間「ヒメイソツツジ」だった。イソツツジより低木化して葉が細い。寒冷地に生育し、北海道の高山の一部には見られるらしい。

〔15:25〕ハイキング終了:歩いた正味時間は2時間に満たないが、ツンドラを体感することができた。

私たちの最北点

さらにデンプスター・ハイウェイを北上
さらにデンプスター・ハイウェイを北上

 車に乗り込むとツアーリーダーは「もう少し北へ行ってみましょう」と言い、さらに北へ向けて発車した。こうなるとデンプスター・ハイウェイの終着点イヌビック(Inuvik)まで行ってみたくなる。全長736kmのデンプスター・ハイウェイで、イーグルプレインズが大体中間点なので、もちろんイヌビックは遠い。北極圏を目指すツアーだから、参加メンバーは皆大なり小なり「最果て」が好きな人間だ。冗談半分で「このままイヌビックまで行きましょう!」と盛り上がった。

 ツアーリーダー自身も「行きたいですよね」と応じ、イヌビックまで行くツアープランの可能性を考えたことがあるそうだ。イヌビックには空港があるので帰路に飛行機を利用することができるが、イヌビックまで乗ってきた車をどうするか、という問題が未解決とか(笑)

 「最果ての地」とか道路や鉄道の「終着点」という言葉やそれらが持つイメージには、特に旅好きにとっては抗いがたい魅力がある。ここに来るまでの私にとって、「北極圏」は二の次の目的だった。しかし来てみれば、忘れていた「最果て志向」の血が騒ぎ出した。そう、独身時代には最果ての地への旅に憧れていたのだ。宗谷岬まで行く暇とお金はないので、晩秋に竜飛岬へひとり旅をしたっけ(笑)

私たちの最北点 北緯66度48分
私たちの最北点
私たちの最北点 北緯66度48分
北緯66度48分

 30分くらい車を走らせると、ハイウェイが大きくアップダウンしている箇所に出た。道の両脇に生えるアスペンの黄葉が鮮やかである。ここが「ユーコン縦走の旅」の引き返し地点になった。取得したGPSログデータをGoogle Earthで表示させると、北緯66度48分(66°48'28.73"N / 136°20'29.87"W)だった。

フォックステール / Foxtail Barley
フォックステール / Foxtail Barley

 フォックステール(Foxtail Barley)がまるでススキの原のように群生している。穂が紫色を帯び、風が吹いてなびくときれいだが、実は繁殖力が強くて厄介な植物らしい。日本にも観葉植物として持込まれ、生態系を脅かすと危惧される外来帰化植物のひとつだとか。

北極圏の河原の黄葉
北極圏の河原の黄葉

 引き返し地点を後にし、途中のアスペンの黄葉がひときわ美しい河原で写真撮影をし、再び北極線を越えて、17時イーグルプレインズに戻った。


夕食には地元ビール
夕食には地元ビール

 イーグルプレインズホテルの少々大衆食堂のような雰囲気のダイニングルーム(…いや、食堂と言う方がぴったり)にも馴染み、ビュッフェの「お総菜」風料理も美味しくいただいた。ビールはなるべくカナディアンビールをチョイス。Alexander Keith's(アレキサンダー キーツ)はノヴァスコシア州のビールで、ユーコン・ビールはユーコン準州の地元産。

 夕食後に空模様をチェックしたが、ほぼ曇り空だった。念のためオーロラを見に出られるようカメラの準備をしておき、午前2時にアラームをセットして就寝した。で、深夜アラームが鳴ったが、ベッドから出たくない(笑)。夫が寝間着の上に服を着て防寒着を羽織り、夜空の状況確認に行って帰ってきた。雲の切れ間に星が見えるが、ほとんど雲に覆われていたとのこと。残念なような、良かったような…と思ったのもつかの間、すぐに眠りに落ちていた。

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