上高地でスノーシューイング
| 余計な前書き スノーシューエリアとしての上高地は初心者向きなのだが、釜トンネルから上高地の遊歩道に至るまでの車道歩きが長いことと、その林道では雪崩が起きやすいとのことで今まで敬遠していた。しかし厳冬期の上高地を歩いてみたいし、見慣れた焼岳穂高の冬の姿を見てみたい。釜トンネル入口(中の湯バス停)への送迎サービスがある坂巻温泉に宿を取り、行動日の好天を期待しつつ新年を迎えた。 |
1月5日 曇のち小雪

釜トンネル入口に到着 |
〔8:40〕
登山口出発:前日の1月4日夕方に坂巻温泉に投宿。予報通り天気は前日午後から下り坂で、朝から本格的な曇りである。送迎車の時間は<7時半・8時半・9時半>の三択なので8時半でお願いした。数分後には釜トンネル入口に到着。「中の湯温泉連絡所」前の登山届ポストに登山届を投函して、いざ出発。
冬期の車両通行閉鎖中はトンネル内の照明は点灯されていないため、ヘッドライトを装着して入る。雪が吹き込んだ入口付近を過ぎると、道路は積雪も凍結もしていない。風が吹き込んでこないので寒くない代わりに、時々通る工事関係車両の排気ガスがこもるので、その点だけを我慢さえすれば歩きやすい“車道歩き”である。ただ薄ぐらいだけに緩い登りがだらだら続くのが結構堪えた。防寒のため着込んでいるので汗ばんできた。が、まだ中間地点。100m刻みにある「出口まで○m」の電光標識の数字を励みに登り、前方に出口の明かりが見えて喜んだ。新釜トンネルは全長1310mあり、高低差145m、勾配10.9%である。歩行時間は20〜30分くらい。

釜トンネル入口 |
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釜トンネル出口 |

県道を行く |
釜トンネル出口付近は雪崩多発ポイントのひとつ。斜面を注視したがまだそれほど積雪はなく、あいにくの曇天で気温が弛んでいないので危険はなさそう。この先の県道歩きは急斜面の下を通過する雪崩多発エリアということなので、時々斜面を見上げながら歩いた。除雪はしていないが工事関係車両と入山登山者で圧雪されていて、まだスノシューは必要なかった。曇天に白い冬姿の焼岳が見えてきた。

大正池ホテル脇の冬期用トイレ |
〔10:05〜10:20〕
大正池ホテル:見えてきた大正池も曇り空のため無彩色の湖面だ。前日3日まで年末年始の営業をしていた大正池ホテルに着いた。ホテル手前に冬期用の公衆トイレがある。県道上高地公園線を離れ、ホテルの脇から自然研究路に入るのでスノーシューを履いた。
大正池に下りると雪雲が焼岳の山頂部を隠しつつあった。行く手の穂高方面はしっかり雪雲の中で何も見えなかった。モノクロームの景色でもアマチュアカメラマン達が三脚を立てていた。スノーシューのツアーや個人のスノーシューヤーも来ていて、思っていたより賑やかだ。
それでも観光客や登山者で賑わう夏の上高地に比べたら静かである。蝶ヶ岳やパノラマ銀座縦走でのついでに何度か来た大正池は、今は「観光地」ではない自然のありのままの風景だった。
湿原地に入ると桟道の下にカメラマンが集結していたので、便乗しての写真撮影。雪が積もった枝ぶりが水面に映り込んでいて面白い風景。マガモは多数のギャラリーにお構いなく食事に余念がない。
しばらく手摺がある桟道の上を行くので、積雪は適度に踏み固められていて、スノーシューなしのほうが歩きやすそうだ。スノーシューをつけないハイカーも見かけた。雪に埋もれた木道の上にもしっかりしたトレースがある。湿原地ではたとえ積雪があっても湿原の上は歩いてはいけないことになっていて(※所々にワイヤーの柵も設置してある)、スノーシューで気ままに歩き回ることはできない。
樹林帯に入りようやくトレースを外した場所も歩くことをしてみた。さらさらのパウダースノーなのでスノーシューにくっつかない。軽く沈み込むパフパフ感が楽しい。田代湿原に入ったが、雪が降り始めてますます景色がどんよりしてきてしまった。夏は観光客の感動の声があがる、あの湿原越しの穂高の展望もない。

田代池 |
〔11:15〕
田代池:田代池も撮影の絶好ポイント。背景の山並みと手前のシラカバやカラマツの木立ち、そして池の水面に映る雪の岸辺、そして透き通る水。絵のような風景がそこにある。晴れていればもっと感動できたろう。
屋根があるバスターミナルで昼食をして河童橋までの散策という心積もりだったが、思ったより時間がかかっているので先を急いだ。自然研究路が「梓川コース」と「林間コース」とに分岐している。記憶では林間コースには地面より高所にある木道があったような気もするので、安全な梓川コースを行くことにした。梓川を見ながら樹林の中を歩く快適な散策なのだが、スノーシューの歩行ではやはり時間がかかる。夏道での標準コースタイムは全く参考にならない。田代橋に着いたのが12時になっていた。
〔12:05〜12:55〕中の瀬園地:バスターミナルまでは行けそうにないと判断して昼食休憩できる場所を探していたら、中の瀬園地にあずま屋があるのが見えた。雪が降っているときは屋根とベンチがありがたい。ところが梓川側から冷たい風が吹き付けてくるので、歩いているときより寒いのだ。キーホルダータイプの小さな寒暖計を見ると氷点下2℃だった。カップめんや熱いお茶で体が温まるが、梓川に背を向けていないと顔が凍る。展望もないうえ雪がやみそうにないので、河童橋も目指さず戻ることにした。
傍には中の瀬園地冬季用トイレがあるが、ここは個室がひとつのみである。
大正池ホテルから前後して歩いていたスノーシューツアーの人たちは、バスターミナルに向かったようだ。帰路は誰にも会わなくなった。誰もいないときは、大正池の岸辺からホテルに戻る箇所は見失いやすそうだ。まだ道標が雪に埋もれておらず、トレースも残っていたのでわかったが、道標が雪に埋もれて新雪が積もればどうなるのかと思った。
〔14:10〜14:25〕大正池ホテル:大正池ホテルに戻りスノーシューを外した。マグ型テルモスのまだ熱いお茶がうれしい。

県道を歩く |
あとは県道をスタスタあるいて釜トンネルに向かうだけである。釜トンネルと大正池ホテルの間の県道歩きは、途中で標高が高くなる地点を境にした軽い登り下りであるので、往きも帰りも所要時間は同じ45分だった。
釜トンネルの帰路は緩やかな下り一方なので楽ちんである。工事関係車両も日が暮れる前に終業するためか、行きより通行する車が多くなった。壁脇の歩道を歩くようにした。
ここでLEDライトのヘッドライトの違いを発見。夫の大ライト1&小ライト2のヘッドライトは強い光がまっすぐ伸びるが周囲は照らせない。私の小4個ライトの4灯タイプは光度は夫のものより乏しいが、広範囲にトンネルの幅いっぱい照らしている。どちらが良いのかはわからない(笑)
〔15:30〕中の湯バス停到着:行きの半分の時間でトンネルを抜けた。タクシーが数台停まっていて、運転手さんが「お客ではないか」という目をこちらに向けた。話しかけてきた運転手氏と少し会話し、携帯電話で坂巻温泉旅館に出迎えをお願いした。
旅館での夕食の時に隣のテーブルになったご夫妻は、毎年冬の上高地を訪れているそうで、厳冬期の旧釜トンネルの歩行通行が大変だったというお話を伺った。「新」釜トンネルの通行が楽になったことで、スノーシューヤーがどんどん増えるのかもしれない。しかし冬の上高地は、やはり静かな聖地のままであってほしい気もする。
参照→上高地ハイキング 2011年10月8日

坂巻温泉 坂巻温泉旅館

坂巻温泉旅館 |
上高地ではかつて上高地温泉ホテルと中の湯温泉旅館を利用してきたが、坂巻温泉旅館は初めて利用した。山宿の雰囲気を残しつつも、近代的な設備は整っていて快適であった。廊下でスリッパは使用しないようになっているが、廊下も部屋も掃除が行き届いている。
→坂巻温泉旅館
→
〔温泉詳細データ〕
坂巻温泉の内風呂と露天風呂

岩魚や鯉の料理が並ぶ夕食 |
浴室はそれほど広くはないが、お風呂の縁から温泉が常にあふれているオーバーフローの完全かけ流しがうれしい。源泉が高温なので湧水で加水し温度調整してあるが、硫化物らしい湯の花がたくさん舞っているいかにも効果がありそうな温泉だ。無色透明だったが、日によっては白濁することもあるとか。
沢を望む露天風呂は、底に玉砂利が敷き詰められているのが特徴だ。雪が降っていなかった到着日に、独り占めで雪見風呂の醍醐味を味わった。
→同年10月に宿泊したときのレポートも、合わせてお読みください。