余計な前書き 最近はインターネットで予約できる公共の宿やペンション、民宿も多くなってきて便利になったものだ。また昨年に比べてスノーシューのレンタルやパックツアーも増えてきて、スノーシューを持っていない私たちにはうれしい。その中でもホームページの露天風呂の写真が目を引き、スノーシューパックの宿泊料金も予算に見合う湯の小屋温泉(群馬県水上)の宿に予約を入れた。

 当日は朝から快晴で、東京は気温も高めで春の気配。上越新幹線上毛高原駅からのバスは、水上駅から乗り込んだスキーやスノーボードをしに来たお客を、各スキー場前で少しずつ降ろしながら上っていく。水上高原にある大きなスキー場で残りのお客が降りると、バスは私たち夫婦の貸切状態になった。湯の小屋温泉には9年前の同じ時期に、夫の腰痛の湯治のつもりで来ている。その年の積雪は水上高原への車道両脇に雪の壁が出来ていたほど多かったと記憶しているが、今年はそれ程でもない。湯の小屋温泉のバス停終点で下車しても全く寒くなく、準備してきた防寒着や厚手の手袋が恨めしい。スノーシューツアー出発時間に合わせたバスがないので、民宿たむらではチェックイン前にお部屋に入れていただき有難かった。

 出発前にガイドの斎藤さんと打ち合わせ。ツアーといっても参加者は私たち夫婦だけなので、こちらの希望、体力に合わせたコースをアレンジしてもらうことになった。これだけの晴天に展望が期待されるコースに行かないのはもったいないので、少々登りがあるコースを選んだ。民宿のご主人に車でコース取り付き場所まで送っていただき、ガイドさんからコースの説明を受け、スノーシューを履いた。1年ぶりなので何かぎこちない。小柄な私にはサイズが少し大きくて扱いにくいかな…。

こんな斜面を登る
こんな斜面を登る

 車道から山の斜面に取り付き急な斜面をジグザグに登っていく。山といってもここは本来登山道もないブナ林の斜面である。積雪があってスノーシューなればこそのスノーハイキングである。ガイドさんはラッセルしながら上手につづれ折りの道を作りながら進む。おかげでかなり急でふかふかの雪の斜面も、ラクチン!

 実は2時間のコースでこんな急登を登ることになると考えていなかった。昨年のスノーシュー初体験では殆ど平坦な雪の原を歩いたので、スノーシューでの登り初体験である。クランポンの効かせ方も徐々に会得して楽しくなってきた。

 ヤドリギ、カモシカの足跡、コゲラの巣穴、そしてブナの幹の熊の爪痕をガイドさんに教えてもらいながら歩く楽しさも格別だ。何より手付かずのブナの林を縫って歩く気持ち良さ。奈良俣ダムの上、水源林の森の自然を私たち3人だけで占領し、思わず「シアワセ!」と口をついてでる。淡路島出身のガイドさんは、ここのブナ林が一番好きだとおっしゃる。

 稜線まで上がると尾根の向こうに真白い峰が見えた。笠ガ岳だ。あと少し尾根沿いに登れば、ガイドさんが見つけた取って置きの展望場所があると聞き、「休まずに行きましょう」と待ちきれない私たちだった。目の前の樹林が開けたその展望場所に到着。素晴らしい眺望に歓声をあげた。

至仏山と笠ガ岳
至仏山と笠ガ岳
中央奥に、武尊山
中央奥に、武尊山
白く輝く至仏山を見ながら休憩中
白く輝く至仏山を見ながら休憩中
写真撮影:ガイド斉藤さん / 提供:清流の宿たむら

 斜面をスノーシューで圧雪し休憩場所を作った。もぐってしまう場合はストックを並べて置き、その上に座れば良いと教えてもらった。な~るほどいい具合。ガイドさんが用意してくれた熱くて甘めのコーヒーが美味しかった。目前の景色に目を奪われて、私が用意してきたお菓子も出せずじまいのままになってしまった。

 下りのコースは本来は行く手の急斜面を下りることになっているのだが、かなりの急斜面と聞き、比較的緩やかな下りに変更してもらうことにした。来た道のトレースはたどらず深雪の斜面を下りる。うっかりすると腰まで沈んでしまう私に比べて、ガイドさんはまるでウサギのように飛び跳ねて見せたり駆け下りたりでさすが。夫も一度も転ばずに下りるのに、私は2、3回雪まみれ。これも童心に返って楽しめるのがスノーシューのいいところである。いざとなればお尻で滑り降りれば良いというのも、このコースの良いところ。

ガイドさんと夫
ガイドさんと夫

 ガイドの斎藤さんは気さくで優しい青年で、緩んだスノーシューのストラップを直してくれるなどガイドの職務以上の親身な心遣いがうれしかった。スノーシューハイクはその日の天気や雪の状態で苦しくもなり楽にもなる。安全で無理のない斜面を選ぶ目を持たない私たち初心者には、頼もしく有難いガイドさんだった。

 短いコースながら幸運に恵まれた晴天での展望を堪能し、スノーシューでの斜面の登り下りの面白さを知った充実したツアーだった。


清流の宿たむら

 スノーハイクの後の温泉は最高!広い露天風呂は貸切風呂になっていて、時間を申告し「入浴中」の札をかければ、独占してゆったり(^^)。内湯にもよく温まる温泉が溢れている。山の幸を使ったお料理も美味しく、特にご飯とお味噌汁が美味しくておかわりする人が多かった。リピーターに支持されているらしいのも頷ける。スノーシューパックのリーズナブルな料金設定も良心的なオススメの宿である。


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