足を踏み入れた遊歩道の左右には、思いもかけずたくさんの花が咲いていた。室堂平の他の場所や登山道とは植生も微妙に違うので、ここではこの2日間で見たのと違う花も見ることができた。
いちばんうれしかったのは、白花のタテヤマリンドウに出会えたこと。これまでタテヤマリンドウでも薄いブルーの花はよく見ていたが、白や薄紫の花には今まで出会えなかった。ここには白花のタテヤマリンドウがたくさん咲いていて、その気品がある美しさに見惚れた。特に紫色の蕾の、なんと魅力的なことか!
タテヤマリンドウ
地獄谷へ向かうコースとの分岐まで進んだが、ここから急な階段を下り、天狗平への遊歩道はその先は舗装路になる。咲いている花も少なそうだし天狗平へ行ってどうするという目的もないし、時間までこの辺りでのんびりとしていることにした。少し入っただけでターミナル周辺の人混みも無縁な、“静かな室堂平”をゆっくりと満喫した。
縦走登山の醍醐味は捨てがたいが、年齢的にこれからは体力気力、判断力が落ちる一方なので、今回のような山小屋(あるいはテントサイト)をベース基地にしての日帰り登山というのも悪くないなと思った。
葛温泉 温宿 かじか

温宿かじかのエントランス |
前回の立山山行の仕上げに宿泊してすっかり気に入ってしまい、今回も旅の最後に宿泊して山歩きの疲れを癒すことにした。前回の宿泊では館内や浴室の写真撮影はあまりしなかったうえ、浴室・露天風呂の撮影は全て失敗していてサイトで紹介できなかった。そこで今度こそは写真撮影に力を注ごうと意気込んでいたのだが、宿にいる間何故だか撮影する気持ちが湧かない。ネットで紹介するだとかいうようなある意味下世話な気持ちが、きれいサッパリ消滅してしまったのだ。ただただこの宿の静けさ(客室はたった6室なので、お風呂や食堂、廊下など常に静かだ)と、温泉の気持ちよさ、とりわけ外湯(半露天風呂)でのヒーリングに浸っていたくなったのかもしれない。
外湯(半露天風呂)の前に見えるのは普通の林(自然林で案外わりと手入れされているのでは、と思うが)であり、大展望だとか渓谷だとか豪快な滝が見えるとかの絶景でもない。2004年の宿泊時、初めてこの外湯に出たとき林の緑の美しさにハッと胸を突かれたのだが、知っていて泊る今回でさえ、初めて入る時に同じようにハッとしたのだ。夜間に入ったときに控えめなライトアップのため林の奥の暗闇が少し怖くなったのも同じ。あの外湯と周囲の自然林には、何か「精霊」のようなものが宿っているのではとさえ思う。外湯や露天風呂を林の中に配して「森林浴+温泉浴」を謳う温泉を他にも知っているが、温宿かじかのこの外湯ほど、癒されるお風呂は知らない。理由はわからないが、林の樹林の種類やお風呂との距離感、お風呂の規模などからくるものなのかも知れない。とにかくこの外湯の静謐と柔らかな湯に身を浸していると、心も体も鎮まっていくのを感じる。
参考→前回の「温宿かじか」のレポート
→温宿かじか