武川岳
--- 落ち葉を踏んで晩秋ハイキング ---
| 【余計な前書き】 山歩きを始めたばかりの頃、奥武蔵の竹寺・子の権現へ行った。途中の小殿バス停で下車する、ジーンズにセーター・デイパックの私達と、終点名郷まで行く人たちは装備・いでたちが明らかに違っていた。その時私は、彼らは武川岳に登るんだろうな、いつか私も登りたいなと思ったのだった。何故か機会がなく、それから7年近くの歳月を経ての実現になった。9月から毎週のように、日曜日は雨か曇りという天気であった。やっと冬型高気圧がやって来て、待ちに待った晴天のハイキング日和の日曜日となった。 |
コースタイム 標準タイム 5時間05分
名郷バス停9:40出発〜(休憩)〜11:10〜天狗岩(岩場の登り)〜11:40〜12:30前武川岳(昼食)13:20〜13:35武川岳13:50〜旧国道299号出合14:50〜15:25正丸峠(茶屋にて休憩)15:40〜正丸駅16:30到着 〔自己タイム 約5時間25分〕
飯能駅で出遅れたらバス停は既に人の列だった。最後尾に並んだのでもちろん座れない。東飯能でさらに大勢のハイカーが乗車してきたため、バスは通勤ラッシュ並みの込みようである。久し振りの上天気の日曜日を話題にしている人もいる。途中ハイキングコースがあるバス停で、「19人下りま〜す!」の声と共に東飯能からの団体さんが下車。その後棒ノ折山へのハイカーが下車したが、バスは相変わらず満員だった。こんなに大勢の方々と武川岳にご一緒?と複雑な思いだったが、終点名郷で下りたほぼ全員が蕨山に向かってしまった。バス停近くのトイレもやはり人の列、奥ゆかしい夫は最後尾に並んだので、出発時間が15分間の出遅れ。トイレを利用した夫によると、男女別ではなく、個室は電気もなく真っ暗とか。
すぐに妻坂峠への道と分かれ、民宿西山荘の角を左に登って行く。角で立ち話をなさっていた奥さんが、「行ってらっしゃい。帰りにお風呂に入りに寄ってください。」と声をかけてくれた。ガイドブックにも載っているこの民宿の奥さんらしい。妻坂峠からのコースの長い舗装路の歩きが厭でこの天狗岩経由のコースを取ったのに、何時までも舗装路の登りが続いた。山道に入ったと思ってもすぐまた舗装の林道、ただのショートカットだった。勾配もそこそこあり既に暑くなってきた。次の標識で本格的な登山道となる。植林のなか結構きつい登りが続いて息があがる私に対し、夏からジムの週末会員となりトレーニングしている夫は絶好調のようだ。
モミジの紅葉はまだ三分から五分だが、下の葉から緑 黄 オレンジ 赤とグラデーションの彩りがきれいだった。静けさを破って、尾根の向こうの方角からパーンと猟銃?の音と犬の鳴き声がした。割合遠く離れた所からなので心配はないと思うが、いい気はしない。その後も何度かテッポーの音を聞いた。このあたりも狩猟解禁地区なのだろうか?
 天狗岩に登る |
露岩が現れるようになって来た。白い石灰岩の上に散った赤や黄色の落ち葉が美しい。天狗岩は石灰岩の露岩が積み重なった岩場で、左手には岩場ではない巻き道「女坂」が分かれている。取り付いてみると手がかりや足場の岩や立ち木があって、思ったより登りやすかった。下が見えるわけでもないので恐怖感も余り感じないが、もちろん慎重に三点確保で登らなければ危ない。天狗岩のテッペンに登った夫がアッと声をあげた。岩の上で羽を休めていた大型の鳥が、突然の闖入者に驚いて飛び立ったらしい。巻き道の女坂を見ると、まっ逆さまに落ちていくような急坂のようで、こちらの方を下りる方が怖いような気がした。
苦手な岩場を越えて安心したら急登が待っていた。既に正午を廻りお腹が空いてチカラが出ないのを飴を舐めてごまかしながら登っている。ここで今日初めて、下りてくる人と出会ったので、思わず「後どのくらいですか?」と尋ねてしまった。登り切った所が前武川岳だった。山頂というより尾根の途中という感じである。行く手には武川岳が目の前だ。10分位の距離だと知りながらも、疲れて空腹だとほんのひと登りの距離も30分以上かかりそうに見えてしまう。
 おじやを作る |
ペコペコのお腹はこれ以上歩く事を許してくれないので、ここのベンチで昼食にする事にした。今日の昼食は熱々のおじや。用意してきたのは出し汁で茹でて来た野菜…大根、人参、さつま芋(or里芋)に油揚げなど、長葱の小口切り、出し汁。そして冷御飯。全部合わせて煮たら、塩と醤油少々で味付け。あっという間に出来上がる。山でのあったかい食事が幸せに思う季節になったものだと思う。
鞍部に下りてから最後の急登をつめる。例によって夫は、多少予定時間が遅れているのを気にして、下山コースを変更して名郷に戻ろうと言い出した。念のため、下山してくる方に名郷のバスの時間を尋ねて教えていただいた。
山頂には妻坂峠から登ってきたグループなどが休憩中だった。奥多摩方面が開け、尾根の向こうに特徴のある大岳山が見えたが、午後になっていたのでスッキリとした展望は得られなかった。
 落ち葉の絨毯の道を下る |
東に延びている、落ち葉が敷き詰められた防火帯の尾根が正丸方面への道である。みんな名郷に下山する様子で、こちらに向かう人は誰もいない。結局、大好きな気持ちがいい尾根歩きを選び、計画通り正丸駅へ下りることにした。落ち葉の絨毯をサクサク踏んで、足に優しいふわふわの山道を歩く。これが秋・冬の陽だまりハイキングの魅力のひとつである。もうひとつの魅力、「くっきり展望」はいまひとつだったが、落ち葉の山道は充分堪能できた。
展望台分岐から右に折れ尾根をどんどん下りると、菖蒲ヶ入林道に出る。そのうち県道にあたり、少し行くと旧国道出合。ガイドブックではここから正丸峠へ車道を登るのだが、手前に伊豆ヶ岳へ続く登山道入り口があった。こちらから大蔵山の尾根を行った方が良かったかもしれない。旧国道は緩やかながらも登りで、案外疲れる。夫のストックを借りてダブルストックで漕いでいくと楽だった。正丸峠にある茶店に到着。過去2回伊豆ヶ岳に来ているので懐かしい。98年に来た時に、94年に来た時と全く同じに、茶店がボリュームいっぱいで「テネシーワルツ」を流していたのが可笑しかったのだが、今日は別の曲が控えめに流れていた。3回目にして初めてお店に入って、コーヒーと味噌おでん(変な取り合わせ)で休憩した。日暮れも近い。後はかつて歩いた沢沿いの道を、想い出を辿りながらグングン下りて正丸駅へ急いだ。