パノラマ銀座縦走 常念岳
4日目 8月1日 晴れ 常念小屋から常念岳、蝶ヶ岳ヒュッテへ |
標準コースタイム 約 5時間
常念小屋5:00出発〜(休憩)〜7:30常念岳8:10〜(休憩・昼食休憩5回)〜15:05蝶槍下15:15〜蝶ヶ岳ヒュッテ16:30到着 <自己タイム
9時間35分>
午前3時半には目覚めてしまい、そぉっと布団をたたんで階下に下りた。軽く食事(持参のパン)して支度を終え4時半には出発可能だった。しかし売店が開かない。訊けば朝食準備が落ち着く5時過ぎ開店とのこと、前夜の確認が間違っていたのだった。私は山行中の水分補給はスポーツドリンクでなければダメなので、待つことにした。外に出ればヘッドランプの明かりが登っていく。時々明かりが左右に大きく揺れるのは、展望を見ているのだろうか。開店準備のため従業員が開けようとした売店のブラインドが引っかかったので、さりげなく手を貸してその機を逃さずすかさず飲み物を売ってもらうようお願いして成功。予定通り5時に出発できた。

小屋を振り返る |
夜明け色に染まった槍・穂を期待していたが、今朝の槍穂は雲のベールをまとったままだった。目の上がチクチク痒い。ブヨ対策を忘れていて刺されてしまったらしい。夫にポイズンリムーバーを頼むと、ザックの底ですぐには出せないなんて言う。呆れた!キンカンを目に沁みないように少し塗り、アレルギー用のステロイド軟膏も塗っておいた。
砂利状のザレた登山道がだんだん岩ゴロゴロの道となっていく。マークにしたがって登ればコースはうまくジグザグになっていて、思ったより登りやすかった。しかし小屋から見えていたピークに立つと、山頂までの行程がわかり暗澹たる思いになった。鞍部まで下りてから小さなピークを越え、その先に大きく立ちはだかる常念の頂が遠いこと!

だんだん岩ゴロに |

マーキングを見て登る |

本当の山頂はまだ見えない |
鞍部で中年夫婦がかがみこんで何かしていた。ご主人のトレッキングシューズの底がカカトから剥がれたのだった。通りすがりの人から貰ったポリ紐でくくりつけようとしていた。見れば靴は新品同様。訊けば5年前に購入したが、履くのは1年に一度とか。典型的な接着剤劣化によるソールの破損だ。情報もご存知ないらしい。ポリ紐では岩場ですぐに切れてしまいお困りだろうと思い、私の予備の靴紐1組を進呈した(細引きも持っていたのだがあとで気付いた)。捻挫の応急処置用のテーピングテープも出そうとしたりすると「なんでも持って歩かなくてはいけないんですねー」と感心している。この日は徳沢まで行く予定だというこのご夫婦のザックは遠足リュック。
標準タイムの2倍以上かかって頂上に立つ。狭い山頂は足場も悪く記念撮影もたいへんである。あいにく槍穂の上部の雲が取れなくて残念。先の靴底が剥がれた御主人から、あの裾野の大きい山は何ですかと訊かれた。う〜ん、何かって槍と穂高でしょー!
お腹もペコペコ。山頂下でお弁当を食べて、さぁ、これからがウワサの恐怖の岩ゴロの下りだ。
 ガレ場が続く |
始めのうちは「どこが恐怖なの?」。しかし恐怖の岩ゴロが目の下の鞍部で終わりかと思えば甘かった。累々と積み重なる岩の下りは果てしなく続き、浮き岩を一歩一歩確かめつつのスローペースになった。平日の山行でなければ、きっと大渋滞を引き起こしていただろう。岩陰に雷鳥の幼鳥を見ても下るのに必死。

遥かに先に蝶槍が |
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常念岳を振り返る |
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穂高連峰が近くなる |
やっと岩ゴロを突破!樹林帯を抜けて最低鞍部に下るとお花畑だった。この頃から右目のまぶたにこわばりを感じ、鏡を見るとブヨに刺された痕が腫れ始めていた。視界がだんだん狭くなり、歩きにくい。一休みして蝶槍への登りにかかる。
前回に蝶槍のトップに立っていることだし、穂高の上部ににまとわりついた雲も切れないため、穂高側に蝶槍を巻く。二重山稜が交わった天辺に蝶ヶ岳ヒュッテが見えてきたが遠い。軽いアップダウンの登山道なのだが、片目での歩行は下りの場合の段差の距離感が掴めずに怖い。夫のストックも借り、ダブルストックでなければ歩けなくなった。
時間が夕刻に近づくが幸いなことに真っ青な空に雷雲の兆候もなかった。この幸運に助けられた一日だった。
山小屋診療所受診体験
 蝶ヶ岳ヒュッテ |
山小屋の幾つかにある、大学医学部によるボランティア診療所(夏期のみ)だが、蝶ヶ岳ヒュッテには「名古屋市立大学医学部」の診療班が常駐していた。翌日の下山を案じて、到着後すぐに診療室のドアをノックした。幼顔の医学生(たぶん)から、「健康保険は利かないこと、一律千円の診療費を払うこと」と説明され、問診を受ける。一般の問診との違いは、「入山して何日目か」「睡眠は充分か」「水分は充分摂取したか」「頭痛・吐き気はあるか」などの質問。体温、血圧、体内酸素濃度(ひとさし指をクリップ型の測定器で挟む)をチェック。全て異常なし。「あなたは高山病ではありません」との診断(^^)
そして先生の登場。白衣の先生は25,6歳の若い男性。やりとりの後、私のかかりつけの皮膚科で処方してもらっているステロイド内服薬は置いていないとのことで、代わりにステロイドの点滴を受けることになった。ステロイドの効能、副作用もきっちり説明され、安心と信頼の診療だった。下山後に送る「経過観察表」のハガキを貰って診療終了。
補足…健保が利かず自由診療なのは同じだが、「一律千円」の診療代は診療所により「実費」であったり違うらしい。
蝶ヶ岳ヒュッテ
96年に蝶ヶ岳ヒュッテを利用したときには、確か個室はなかったものと思う。食堂、洗面所は改築されていて2階部分が増築されたようだ。そこに新しい部屋と5〜6室の個室が出来たようだった。個室は燕山荘のようにテーブル、鍵はないが、新しい寝具で気持ちが良かった。この日はひどく混んでいるわけでもなかったが、やはり個室は快適だ。ブヨの腫れのせいで、歩いている途中で多くの方やグループに訳を言って先を譲ったりしたので、食堂などでいろいろな方に「大丈夫ですか?」と声をかけていただきうれしいやら、恥ずかしいやら(笑)