入笠山
| 余計な前書き マツムシソウの開花期に合わせ8月の下旬に根子岳登山を計画していたのだが、天気予報とこちらの都合とが噛合わないまま、ずるずると9月の毎週末が過ぎていった。秋の天気は変わりやすい。予報があまり良くないので先延ばしを決めると、実際に週末になると天気が良かったりするのでウラメシイ。電車とバスで出かけるので根子岳の場合は前夜泊することになり、行くか行かないかの決定は前日というわけにはいかないのだ。
台風が去った後に比較的天気が安定した9月最後の週末に賭けた。根子岳はマツムシソウは咲き終えてしまっただろうが、展望が楽しめる山だし幸い宿泊の方も3日前の時点で予約できそう。ところが、である。ネットで下調べ中に、当日にトレラン大会が開催される事を知った。コースも私たちが登る登山道の一部に被っている。大勢のランナーたちと一緒になって歩きたくないなぁ。
ということで急遽行き先の変更。スズランが咲く山として知られる入笠山は、夏から晩夏もいろいろな花が楽しめる。そして単独峰である山頂からの展望は、文字通り360度で素晴らしい。1996年7月に登っているのだが、そのときは初夏なので空がモヤってさほどの展望は得られなかった。実を言うと私は高校山岳部時代にも登っている。遠い記憶だがそのときも展望には恵まれなかった。今度こそは大展望を見られるかも。
|
標準コースタイム 約3時間
沢入登山口--60分--入笠湿原--30分--御所平峠--20分--入笠山--20分--御所平峠--30分--入笠湿原--20分--富士見パノラマリゾート山頂駅
沢入登山口の最寄り駅である富士見駅に降り自動販売機で飲み物を買っている間に、駅前で客待ちしていたタクシーが出払ってしまった。駅前にタクシー営業所はないが、アルピコ交通のタクシー待機所があり、特急電車の到着時間に合わせて2,3台のタクシーが待機しているらしい。駅前には富士見パノラマリゾートの10時発無料送迎バスが駐車している。乗車してしまおうか。ゴンドラで上がってしまえばお昼前に山頂に立てるので、空が霞む前のパノラマが見られるだろう。いやいやそれでは安直登山過ぎる。この頃は「山歩き」はしても山のてっぺんに登ることが少なくなった。今回は「登ること・頂上に立つこと」を第一義にし、あえて沢入登山口から登ることにしたはず…。送迎バスに乗るのを思いとどまり、電話で車を呼んだ。タクシーは約束の10分もしないでやってきた。

沢入登山口 |
〔10:25〕
出発:タクシーはうねうねとした舗装路をかなり上がって沢入の登山口に着いた。舗装されていないがちゃんとした駐車場があり、立派な公衆トイレも建っていた。1996年の登山でも沢入から登ったのだが、未舗装の林道のただの中間地点だったような気がする。思えば40年前の登山では、あおやぎ駅から登ったのだ。スキー場と併設施設ができたことで、ずいぶん開発が進んだものだと思う。
カラマツの樹林帯のなか、土止めの丸太で階段になった登山道を登っていく。始めは緩やかだが、だんだん傾斜を増してくる。久しぶりの山登りで身体が付いていかない感じがある。登山道は傾斜がない巻き道以外はほとんど階段状に整備されていて、少し急な崖沿いには滑落防止用なのだろうか柵まで設置されている。ここまで整備する必要があるのかと思うほど。15年前はもう少し自然のままのの山道だったような気がするが、ハイカーが増えたことを受けての整備なら、事故防止と土砂流失防止の観点から仕方がないことなのかもしれない。

広葉樹も多い |
登るにつれカラマツに変わって広葉樹が多くなる。山腹を巻くなだらかな道になり広葉樹林の木漏れ日を楽しみながら行くと、広葉樹に混じってコンクリートの木?…いや電柱が出現(笑)。ほどなくして広い林道に上がり、ニホンジカが入り込まないようにネットと鉄扉で囲まれた入笠湿原に着いた。
〔11:40〕
入笠湿原:出入りするのに無粋な扉を開けたり閉めたりしなければならなかったり、ネットが張り巡らされている風景は悲しい。しかし前回訪れたときは本当なら花の季節真っ盛りであったのに、入笠湿原、大阿原湿原でもあまり花が見られなかった。当時は鹿避け対策はなく、マイカー規制実施も後年で、湿原は乾燥地化しつつあったように見えた。昔の自然な風景を取り戻すための保護は受け入れるしかない。

林道下の遊歩道 |
入笠湿原から御所平峠へは以前は林道を行ったのだが、いつの間にか林の中を行く遊歩道が造られていた。沢沿いの気持ちが良い歩道だ。赤い木の実やトリカブトの花に、秋を感じながらのんびり歩いた。
遊歩道を抜けると大阿原湿原へと続く林道に突き当たる。再び鹿避けネットのゲートがある。その前に立っている人から連絡バスの案内を受けた。ふ〜ん、連絡バスが運行されるようになっていたのか。1996年夏は「沢入から登り、首切清水側に下りて大阿原湿原を巡ってゴンドラで下山」というメジャールートを歩いたが、大阿原湿原からは山頂を巻く林道を歩いて戻った。この林道区間に連絡バスが運行されている。今回は花の時期でないため大阿原湿原には行かず山頂を往復するつもりだが、念のため連絡バスの時刻表を得るため、「マイカー規制のご案内」のチラシを頂いた。9時から16時の間1時間に1本か2本の間隔で運行し、途中での乗り降りは自由とのこと。また運行は期間限定で、ゴールデンウィーク時、6月初めから7月初めのスズラン開花期、7月中旬からお盆まで、秋のハイキングシーズンなどである。(※その年によって変わることもあると思うので、詳細は富士見町の公式サイトなどで確認してください)
〔11:55〜12:05〕
御所平峠:またまた鹿避けネットのゲートを抜けて、立派なトイレの前に出ると御所平峠。マナスル山荘前のベンチで一息いれた。実は夫は以前マナスル山荘に仕事で毎夏宿泊していた事があり、立派な天体ドームがあるきれいな別館に驚いたりしていた。1996年にふたりで訪れた時にはご主人がまだ顔を覚えていてくれて、ビールを注文したら特別に漬物を出してくださった思い出も懐かしい。
御所平峠から山頂へ登るにも、先ずは鹿避けネットの玄関から(笑)。やっと登山道らしくなった道を登っていく。しばらくはダケカンバが混じる広葉樹の林が気持ちが良い道を行く。登って行く人、下ってきた人、だんだんハイカーが増えて来た。
あれ?以前に分岐なんてあったっけ?何しろ以前登ったのは15年前。で、御所平峠からすぐ岩場の直登だと思い込んでいたくらいなので、この分岐の記憶は全くない。ルートの絵地図を見ると岩場迂回コースは首切清水から山頂に至るルートに巻いて繋がるようだ。岩場と言っても大したことがないのを知っているので、迂回せずに岩場コースを選択。

入笠湿原出口 |
岩場と言うより岩混じりの登山道と言うのが正しい感じ。多少段差が大きい箇所もあるが、滑りやすい岩には補助の鎖が設置してあった。難しいコースではないので、小さな子供連れのファミリーハイカーも多い。ただ例によって日頃の不摂生+寝不足で身体が重い私は、だんだんヘロヘロになってきた。そんなとき、なんと5歳くらいの幼児の集団が元気いっぱいに下りてきた。道を譲って待っていると、子供たちに「もうすぐです」「頑張ってください」など口々に励まされてしまい苦笑。引率者に訊けば保育園での集団登山とのこと。引率者が登山経験豊富そうな中高年から若い人まで何人もいるし、子供たちは急な岩場での下りに臆することもなく結構上手に下りている。何回も来ているのかもしれない。皆元気に山を楽しんでいる様子が好ましかった。