栗駒山
須川高原温泉から湯浜温泉へ
須川温泉 須川高原温泉
須川高原温泉は岩手・秋田の県境にある。湯治客のための自炊棟を持つ宿は規模が大きくて秘湯の雰囲気は余りない。しかし硫黄泉の湯はいかにも温泉らしく、広く開放的な露天風呂は気持ちが良かった。スッキリ晴れれば3階の部屋の窓から、鳥海山が望めるそうであるが、残念なことに見えずじまいだった。栗駒山への登山者の多くはここに宿泊するか、あるいは駐車場を利用しての往復登山の様である。
ここ数日大気が不安定で連日夕方に雷雨があり、私達が到着した日の7日の宿泊者によるとお昼前からカミナリと激しい雨で、登山コースの途中の沢が増水して渡渉できなくなり、水が引いてくるまで1〜2時間待ったそうだ。
→須川高原温泉
参考:山のいで湯1→「須川高原温泉」
標準コースタイム 約5時間
須川高原温泉8:10出発〜自然観察路分岐8:30〜9:15昭和湖9:30〜(休憩)〜10:30須川分岐10:45〜11:10栗駒山11:25〜11:45須川分岐(昼食)12:30〜13:30虚空蔵十字路13:45〜(休憩)〜湯浜道路分岐三叉路17:00〜湯浜温泉18:00到着
<自己タイム 約8時間?>
朝のうちは雲が多いものの晴れて暑くなった。始めのうちは須川高原温泉の散策路となっていて、名物の蒸し風呂の小屋の前を通る。木道の名残りガ原には咲いている花はもうない。前日には一時増水したという小沢を難なく渡り、涸れ沢の向こうに硫気が噴出して硫黄臭い場所を過ぎて昭和湖に着いた。エメラルドグリーンの火口湖で、広くて気持ちの良い場所である。
 名残りガ原 |
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 昭和湖 |
昭和湖から稜線に上がる途中、今年ナント92歳で毎年栗駒山登山をしているというお爺さんが、お孫さんのお嫁さんに付き添われて休憩中だった。「今年はここまでで止めるので、先に行った孫とひ孫に伝えてください」との伝言を頼まれた。しかしこのお爺さん、休み休みではあるが山頂を目指されて結局は山頂まで登られた。用意してこられた「92歳栗駒山登頂」のタスキをかけてカメラにおさまったことだろう。私たちが山頂から須川分岐に戻って昼食しているあいだ、そばで彼の孫である中年男性とひ孫の10歳位の女の子は、お爺さんが下山してくるのを待ちくたびれていた。山頂は360度の展望台なのだが、雲が湧いていて焼石岳(たぶん)ぐらいしかはっきり見えなかった。
 高層湿原 |
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コバイケイソウ |
湯浜コースは余り歩く人もいないようで、須川分岐からすぐの部分は草が覆っているし、雨でえぐれた急な所も、倒木もある。しかし整備され尽くした階段状の登山道よりはむしろいい。虚空蔵十字路から少し行くと木道の高層湿原だ。持っている1993年版のガイドブック(かなり古い!)によると、木道ならぬプラスチックのモクドウで滑りやすいとあるが、そんなことはなく本物の木道だった。ただ未修理のままの壊れている箇所が多い。キンコウカがたくさん咲いていた。
■ブヨ襲来〜顔を刺されまくられる!
樹林帯を下りる頃雨が降り出し、アッという間に土砂降りとなる。この頃すでに3時半で、標準タイムで歩いたならば湯浜温泉に到着している時間であった。ブナの森の中の緩い下りは雨さえ降らなければ、ブナの緑をめでながら快調に下りられるコースだった。しかし登山道は沢のように変わり、もともと湿地なのだろう、水芭蕉のいまやオバケのようになった株が脇に見られる場所では田んぼのようなぬかるみと化した。当然ペースは落ちていった。そしてたくさんのブヨがふたりに集まって来たのだった。
東北の山はアブやブヨが多い。特に私はアレルギー体質なので刺されると腫れたり化膿したりで大変なのだが、注意していても毎年夏山でひとつやふたつ刺されいてた。そこで今年は防虫ネットを持ってきたのだが、雨脚が強くて歩きつづけるしかなく、防虫ネットをかぶるのが遅くなってしまった。ブヨは今まで経験したことがないほどの数で、露出している唯一の部分、顔をめがけて寄ってくる。手で払っていても、鼻の穴、耳の穴にまで入ろうとするし、口を開ければ飛び込んで来そうなほど。夫のレインウェアのフードを見ると10数匹のブヨがたかっていた。防虫ネットの威力は充分で多少蒸し暑いが思ったより視界は充分。これならもっと早くかぶるのだった。既に靴の中も浸水、靴の中がグチュグチュ鳴っていた。雨が小降りになりやっとのことで湯浜(ゆばま)温泉に到着した。
咲き残っていた花/コバイケイソウ タテヤマリンドウ ウツボグサ ハクサンシャジンなど
今を盛りと咲いていた花/アキノキリンソウ キンコウカ
湯浜温泉 三浦旅館
早速入った温泉の気持ち良かったこと!じわじわと疲れた身体を癒してくれるやさしい湯であった。川べりに露天風呂あり(入湯せず…ブヨ怖い)
ランプの宿
 ランプの部屋 |
湯浜温泉はランプの宿で、21時までは自家発電で食堂、廊下、お風呂は電気の照明があるが、21時以降はランプになる。そして個室にはランプしかない。ランプの灯りの下、窓の外に見える月を眺めながら飲むビールは格別だった。
→湯浜温泉 三浦旅館
→地図

湯浜温泉 三浦旅館 |
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 三浦旅館 老犬メリーと |

湯浜温泉 三浦旅館
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【予定】 湯浜温泉〜白糸の滝〜分岐〜温湯温泉(花山村) 標準コースタイム/2時間50分
ご注意 湯浜温泉から温湯温泉への登山道は、昭文社2000年版の「山と高原地図」に載っていますが、現在荒れて廃道に近く、代わりに白糸の滝入り口まで国道を歩く(約2時間)ことになります。
■みちのくの人情
翌朝、私の顔はお岩さんになっていた。昨夜はかゆみなどなかったので気づかなかったが、左まぶたと右のこめかみ、右耳数箇所をブヨに刺されていて、左まぶたが腫れていた。湯浜温泉9時出発。国道を1時間歩いた頃、左まぶたは完全に開かなくなり右の耳下腺がズキズキ痛み出して歩くのがつらくなった。やむを得ずリタイアすることに決めた。しかしタクシーを呼びたくても携帯電話が通じない。困っていた時道路工事の下見をしているらしい2人の方がいらしたので、相談してみると私の顔をみて「そんなんじゃ温湯まで無理だな」と言い、車で送ってくださったのである。(お名前もわかりません。その節は本当にありがとうございました!)
温湯温泉 佐藤旅館
温湯(ぬるゆ)温泉で予約していた佐藤旅館では、10時半に到着した訳を話す私達を、宿から12キロ離れた花山村国民保険診療所まで連れて行ってくださった。夫も数箇所刺されたので、ふたりとも痛み止めの筋肉注射とアレルギーをとめる静脈注射を打たれ、抗生物質内服薬と軟膏をもらって宿に帰ってきた。山行にはいつも健康保険証を携帯しているが、使用したのは始めての経験だった。
旅館は大正〜昭和初期建築の旧館を残す木造の宿で、ノスタルジックな気分になって落ち着ける。
参考:山のいで湯1→「温湯温泉 佐藤旅館」
→地図
翌日栗駒駅へのバスで、地元の乗客であるおばさんが、運転手さんと他一人の乗客に買ってきたばかりのドリンク剤を配られて、私達にまでおすそ分け。おばさんいわく、「やっぱり冷テのはうんめ〜な」。東北の山は意外に蒸し暑くブヨも多いのだが、毎年みちのくの山に行くのは地元の方達とのふれあいと温泉が心を癒してくれるからだろう。
※紅葉の栗駒山山行のレポートもあります→栗駒山・紅葉(2007年10月10日山行)