余計な前書き 今年2018年の梅雨は空梅雨気味で、6月の関東甲信地方は晴天の日が多かった。スマートフォンアプリ「Instagram」を見ていると、残雪がほぼ消えてまるで夏山かと思うような写真が次から次へと投稿されていた。昨年天気が悪くて行かなかった東北の某山の計画を練り直し、日程を決めるだけにして天候の様子見。ところが関東甲信地方は7月初旬にも梅雨が明けそうな雰囲気になってきた。ターゲットを東北から南北アルプスに変更した方が良いのでは?

 日本アルプスの登山はたとえ山小屋利用でも背負う荷物が重くなる。何ヶ月も登山をしていない今の私は尻込みしてしまう。登山口に宿舎があって、日帰りで登れる山はないかなあ…? そうそう、木曽駒ヶ岳! ロープウェイ千畳敷駅からの往復コースは、アルプス登山初心者の入門コースでもある。しかも千畳敷は、私たち夫婦が山歩きを始めたきっかけとなった場所のひとつでもあった(註1)。東京から電車でのアクセスだと、木曽駒ヶ岳は「ホテル千畳敷」に泊まることを前提としなければならない(註2)。以前に何度かプランを立てたのだが、ホテル千畳敷の予約が至難の業。夏山シーズンと紅葉シーズンは2,3ヶ月も前から満室になってしまうからだ。で、いつしか木曽駒ヶ岳は候補のリストから外されていた。

 駄目元と思いつつサイトの空室状況をチェックすると、9月中旬まで×印で埋め尽された空室カレンダーに、なんと7月15日と16日だけに「残り僅かな空室あり」のマーク。あれ、連休の日なのになんで? キャンセルでもあったのだろうか? これは奇跡だ、ビッグチャンスだ。「木曽駒ヶ岳に行くべし」という天命なのだ(笑)

 そして6月29日、関東甲信地方が記録的に早い梅雨明けという発表。直近の天気予報も悪くない。ここ数年の夏山は、毎年天気が悪すぎて予約をキャンセルしてばかりだったので、久しぶりの夏山山行になる。

註1:ふたりが山歩きを始めたきっかけ

註2:今回下山後に山麓の早太郎温泉に宿泊したところ、そのホテルでは駒ヶ岳ロープウェイの始発に接続するバスに間に合う時間(早朝4時30分)に出発する、送迎サービスを期間限定で行っていることを知った。これを利用しても木曽駒ヶ岳日帰り登山は可能になる。

千畳敷へ

7月15日 / 晴れ

 猛暑が続いていて、電車での旅では乗り換えるとき暑さにげんなり。岡谷駅から乗車した中央線の各駅停車飯田行きはワンマンカー。そして駒ヶ根駅で電車を降りると、電車の車掌が追いかけてきて切符を回収。駒ヶ根駅はそれなりの規模の駅なのに、駅員がいない簡易委託駅になってしまっていた。連休中なのに駅前は閑散としていて、15時発車の駒ヶ根ロープウェイ接続バスに乗り込んだのは私たちだけだった。確かにこの時間から千畳敷に上がろうという人は滅多にいないが、人がいない理由はそれだけではなさそう。

 バスの運転手から、現時点でのロープウェイの乗車は1時間半待ちだと知らされた。それを納得の上乗車してくださいということだろう。私たちはホテル千畳敷で宿泊するので問題ないが、この時間でさえ待ち時間があるとはさすが連休中。途中の停留所で乗り込む人にも待ち時間の念押しをしていたが、運転手には逐一情報が入るらしく、待ち時間は徐々に短くなりその都度アナウンスがあった。一般車乗り入れ規制のための駐車場がある菅の台バスセンターで更に乗客が増え、反対にロープウェイ待ち時間は50分に短縮。菅の台バスセンターは観光客向けのお店もあり、駅とは違い賑わっていた。車窓に美しい樹林を見ながら急カーブが多い道を走行し、しらび平に着く前には「待ち時間なし」とのアナウンスがあった。

駒ヶ岳ロープウェイ

 駒ヶ岳ロープウェイは日本で最も標高が高い場所にある索道で、高低差も日本最高で950mある。予定通り16時の便に乗車できたが、雲が増えてきて展望は期待できなかった。

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駒ヶ岳ロープウェイ
駒ヶ岳ロープウェイ
駒ヶ岳ロープウェイから日暮の滝
駒ヶ岳ロープウェイから日暮の滝
駒ヶ岳ロープウェイから連滝の眺め
駒ヶ岳ロープウェイから連滝の眺め
駒ヶ岳ロープウェイから伊那前岳の眺め
駒ヶ岳ロープウェイから伊那前岳の眺め
駒ヶ岳ロープウェイ千畳敷駅
駒ヶ岳ロープウェイ千畳敷駅

 「日暮の滝」の上を通過中との乗務員のアナウンスで慌ててカメラを構えるが、ゴンドラの窓ガラスが曇っていて撮影にも気が入らない。それでも険しい谷を上がっていくと、次から次へと滝が見えてきてあっという間の7分半だった。

ホテル千畳敷

 ホテル千畳敷はロープウェイ駅舎と同じ建物なので、外に出ることなくチェックイン。部屋に案内して貰うと、しらび平側の南東向きの客室だった。大きな窓からの展望が良いが、南アルプスが見えるはずの遠望は気温が高く靄ってしまっていた。カーテン代わりの障子を一日中開けていたらしく、部屋の中は堪えきれない暑さになっていた。窓ガラスには「虫が入るので開けないでください」との張り紙があり、網戸は入っていなかった。厳冬期に網戸が劣化してしまうのかもしれない。標高2,612mなので当然部屋にエアコンはなく、館内全体も冷房などしていない。今年の猛暑は例外的なのだと思うが、標高2,612mまで来て暑いだなんて思ってもいなかった(笑)

 客室の設備としては洗面台、冷蔵庫、テレビ、金庫があり、トイレは共同トイレ利用となる(特別室はバス・トイレ付き)。共同トイレの個室がひどく狭いのが難点だが、洗浄式便座で水洗なのはうれしい。布団を敷くのはセルフサービスだが、シーツとカバーが既に掛けられて畳んで座敷に置かれ、広げればよいだけになっていた。

 入浴時間は16時30分から21時までで、ボディシャンプー、シャンプーあり。日帰り入浴客は受け付けていない。

夕食 / ホテル千畳敷
夕食 / ホテル千畳敷
夕食 / ホテル千畳敷
夕食(2日目)/ ホテル千畳敷

 食事は1階の食堂に行くが、浴衣・スリッパでも構わない。料理もそこそこ旅館に匹敵するメニューだった。連泊すると2日目の夕食メニューが変わり、朝食時にコーヒーの無料サービスがつく。

 自動車では来られない標高2,612mにある山岳ホテルということになるが、印象としてはレベルが高い山小屋という感じもして、ヨーロッパアルプスなどの山岳リゾートホテルには及ばない感じは否めない。そして、なにしろ「標高2,612m、日本一高い場所に建つホテル」なのであるから、宿泊料金も高めの設定である。それでもこの立地と快適なホテル環境で身体を休めることができるのは、私のような少しでも体力温存をしたい“へなちょこ登山者”には有難い。

 ホテルのIDとパスワードで接続する無料Wi-Fiのサービスあり。標高2,612mの館内どこでも高速通信は快適だった。

ホテル千畳敷 »


 部屋はロープウェイ発着所に近く、発着所の屋根に設置してあるスピーカーが窓の間近。ちょうど下りロープウェイの混雑ピークだったので、スピーカーからは「整理券番号の何番から何番は乗り場にお越し下さい」だの「ただ今の乗車の待ち時間は…」と案内放送がのべつ幕なしに流されていた。暑いうえにうるさいので、外に涼みに行くことにした。

千畳敷から宝剣岳
千畳敷から宝剣岳(7月17日撮影)
千畳敷からサギダルの頭と宝剣岳
千畳敷からサギダルの頭と宝剣岳(7月17日撮影)

 千畳敷には1993年に来ているとはいえ、25年も前なので記憶は断片的である。天気があまり良くなくて宝剣岳などの峰々は見えていなかったと思い込んでいたが、当時の写真を見ると宝剣岳を含めカールを囲む山々がちゃんと写っている。紅葉した千畳敷の遊歩道を散策しているようだが、歩いた記憶はきれいさっぱり忘れていた(笑)

駒ヶ岳神社
駒ヶ岳神社(7月16日撮影)

 外に出ると山の方が少し薄暗く、雷雨がありそうな気配だった。建物前にはロープウェイ乗車待ちの人たちが大勢いて、夕方の山の静かな雰囲気とはほど遠い。駒ヶ岳神社の小さな社ににお参りしようと進むと、顔の周りに羽虫が寄ってくる。「早い梅雨明けの後大雨が降り残雪が一気に溶けたことから、高山植物の花が一斉開花。ただし羽虫も一斉に羽化して今年は虫が多い」との情報が載った、駒ヶ岳ロープウェイのスタッフブログを読んでいたので、虫除けグッズはいろいろ揃えて持ってきたのだ。

 しかしまさかホテルのすぐ外にもこんなに飛んでいるとは思わず、対策もせず出てきてしまった。お賽銭を上げて翌日の安全登山を祈願してから部屋に戻ったが、なんだか左の眉あたりをブヨか何かに刺されたみたいな…。入浴後に鏡を見ると、左眉尻にブヨの咬み跡らしき傷があり、まぶたが少し腫れてきていた。うぁ、これはまずい状況かも…。


登山データ

標高 木曽駒ヶ岳:2,956m

場所 長野県


アクセス

JR駒ヶ根駅→(伊那バス50分)しらび平→(駒ヶ岳ロープウェイ7分半)千畳敷駅


山行日 2018/07/16

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