HOME > 山行一覧 > 山行一覧 2 > 蝶ヶ岳(1996年7月30日〜31日)

山旅日記1993-2000 このページのレポートは、HP開設(2000年8月)以前の1993年秋から2000年前半の山行記録です。登山道状況は変化します。実際に登山される場合は、最新の地図とガイドブック他の情報をお調べください。

WEBページ作成日 2002年7月11日




蝶ヶ岳

【余計な前書き】 北アルプス入門の初回は乗鞍岳と、新穂高ロープウェイを利用しての西穂高山荘まで(独標までではない)だった。3年目の夏を迎えても私達にはまだまだ入門コースが分相応。縦走なんて未だ先の夢と、蝶ヶ岳のみにチャレンジすることにした。幸せなことに日程は充分に取れるので、夜行電車は避ける、登山口に泊まる、山小屋泊、下山後にも宿泊するというこれ以上余裕を持った万全な計画はないのではという、贅沢ともいえる大名山行のプランになった(これは現在も確立している私達のスタイル)。横尾〜山頂のコースは登るのはキツそう、下るのは怖そうと避けて、徳沢からの往復(長塀山コース)に決定。



 1日目 7月29日 晴れ 晴れ、夕方 曇り 曇り 上高地徳沢まで

 東京の自宅を朝6時前に出発して上高地到着は12時。ターミナルにて昼食後出発。いつも賑わう河童橋だが、お祭りのような人出でびっくりした。しかし明神を過ぎれば行き交う人も少なく、明神岳を眺めながらのんびり歩き、午後3時前に徳沢に到着。早く着きすぎて暇。
 気持ちが良い木立の中のテントサイトが、色とりどりのテントでだんだん賑やかになってくるのを見ていたりして時間をつぶした。徳沢園にはお風呂もあり、個室にはテラスが付いていて旅館と変わらない。他に2段ベッド式の山小屋棟がある。

河童橋 '96
人の重みで落ちそう?な河童橋
明神岳
明神岳


 2日目 7月30日 晴れ 晴れ、午後から曇り 曇り、夕立。夕方は晴れ晴れ!



コースタイム(登り) 約4時間20分
徳沢7:30出発〜(休憩)〜9:05鞍部(広場)9:15〜(休憩)〜指導標10:50〜11:50長塀山(昼食)12:25〜妖精の池13:10〜蝶ヶ岳ヒュッテ13:55到着
<自己タイム 5時間25分>


 山頂まで標準タイムでも4時間以上の登りは初めての経験になる。登り始める前に意図してゆっくり登ろうと決めた。特に登り始めは一歩一歩を意識するくらいのゆっくりペース。後から抜かれても焦らずに自分のペースを守った。樹林帯の展望もない急登をひたすら登っていく。途中、初めて見るギンリョウソウを見つけてうれしくなった。

 励みはジグザグの登山道に標高を示すプレートだけ。「蝶へ1時間40分」とある指導標までの間が長かった。ようやく長塀山にたどり着いて、小屋で作ってもらったお弁当の昼食。樹林に囲まれて展望はない。(木の間越しに穂高連峰が見えるらしいが、曇り始めていて見えなかった。)

キヌガサソウ
キヌガサソウ
ベニバナイチゴ
ベニバナイチゴ

蝶ヶ岳 標高:2664m

山行日 1996/07/30-31
場所 北アルプス
交通 JR松本駅下車バス
バスストップ上高地バスターミナル
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キンポウゲの群落
ミヤマキンポウゲの花畑
 長塀山を過ぎると緩やかなアップダウンの道になり、樹林の下にキヌガサソウなどが咲いていたりして変化を楽しめるようになった。山腹の巻き道では展望も開ける。そしてミヤマキンポウゲやミヤマキンバイで黄色に染まる小道に、ここまでの疲れを忘れていた。

 キンポウゲの道に導かれて妖精の池に到着。池の周りはお花畑になっていて、ハクサンフウロ、コイワカガミ、クルマユリ、ハクサンチドリなどが咲き乱れていた。



稜線上の蝶ヶ岳ヒュッテ
稜線上の蝶ヶ岳ヒュッテ
 その後モミジカラマツソウとミヤマキンバイ、シナノキンバイが咲く道を少し登ったところで残雪が現れた。ハクサンイチゲの群生とミヤマクロユリにカメラを向けるのに夢中だったが、見上げればガスが切れやっと蝶ヶ岳の稜線が!

 ハイマツ帯を登りきれば稜線の上だ。雲間に穂高の存在感ある景観が大きい。槍ケ岳だ!と騒ぎながら蝶ヶ岳ヒュッテに到着した。




 小屋で割り当てられた寝場所は上段の一番端の窓際で、小窓からの眺めもいい。しかし屋根の傾斜そのままの天井が邪魔で、座っても頭がつかえてしまう。そこで夕食前の時間を小屋の玄関前で過ごしていた。その時大きな雷鳴がとどろいた。しばらくすると一人の中年女性が常念岳方面から、小走りでやってきた。どうも彼女の感じがおかしい。目が据わり「どうしよう、どうしよう…」とつぶやきながら、そして急いでいる風なのに歩き方がぎこちなかった。小屋の中の様子もただならぬ雰囲気になって、その人のご主人が稜線で雷に打たれ倒れたのだと知った。ヒュッテの女主人が無線でヘリコプターを手配したり、小屋の従業員と宿泊客の有志との救助隊を出したりと慌しくなった。幸い事故に遭った人は、ショックで倒れただけで無事だったそうである。

 夕食の主菜はハンバーグステーキだったが、着席した後テーブルの端から給仕された私のハンバーグは運悪く片面黒コゲで食べられるところがほんの僅か…少々哀しい夕食だった(笑) 

 夕食後にはすっかり雨も上がって、晴れた夕空に槍・穂高の展望が広がった。ヒュッテから瞑想の丘あたりまで宿泊者が立ち並び、大パノラマを堪能した。

左端に槍ヶ岳穂高連峰
穂高連峰 左端に槍ヶ岳
常念岳
常念岳


乗鞍岳
乗鞍岳
大キレットに夕日が沈む
大キレットに夕日が沈む


日暮れ前の輝き
 空が夕焼けに染まり、大キレットの向うに太陽が沈んで目の前の雄大な山脈が漆黒の壁に変化する様子を、感動しながら見守った。




 3日目 7月31日 晴れ 朝は晴、午後夕立


コースタイム(下り) 約6時間30分
蝶ヶ岳ヒュッテ6:45出発〜7:40蝶槍(大休憩)8:00〜8:45(山頂往復)ヒュッテ9:05出発〜妖精の池9:30〜9:55長塀山10:10〜10:50指導標10:55〜(昼食)〜12:35鞍部12:45〜14:15徳沢14:40〜15:45明神16:00〜上高地温泉ホテル17:30到着 <自己タイム 8時間15分>


モルゲンロード 穂高 モルゲンロード 槍ケ岳
モルゲンロード
 午前5時、寒さに震えながら夜明けを待った。満月が残る空の下、雲海の上に乗鞍岳と御嶽山が浮かんでいた。南には八ヶ岳、そして遠く富士山の姿も認められた。そして目の前の圧倒的な穂高が明けの色に染まっていった。



イワギキョウ
イワギキョウ
 お天気に恵まれて、出発もワクワクする。稜線の岩陰に咲くイワツメクサが可愛らしい。常念岳に向かう縦走路は思ったよりはアップダウンがあったが歩きやすい。左手に大展望、足元にお花畑と笑いが止まらない気分だった。

 かなり急な斜面の横尾への分岐を見送る。砂礫の斜面に這うハイマツの先を覗き込めば深い谷。少し緊張する北アルプスの稜線歩きが初めての私。やがて以前山頂とされていた2664mのピーク。そして大きな岩が積み重なった蝶槍の上に立った。




蝶槍からの素晴らしい眺望
蝶槍にて
蝶槍に立つ
 あらためて感動!スゴイ、スゴすぎるこの展望!幾分近づいた槍ヶ岳の頂を双眼鏡で覗けば、山頂に立つ登山者たちが見えた。蝶槍に憩う人たちは、皆最高の笑顔だった。



蝶ヶ岳ヒュッテと山頂
蝶ヶ岳ヒュッテ
 いつまでも見飽きない展望を惜しみつつ往路を戻った。蝶ヶ岳山頂は90年から変更になって南の小高いピークである。山頂で記念撮影後、徳沢へ下山を開始する。早くも雲がモクモクと湧きだし、遠くで雷鳴が鳴っていた。

槍ヶ岳の展望
槍ヶ岳とお別れ
 槍ケ岳の見える最後の展望地を過ぎると、樹林帯をひたすら下るだけである。急登は登るより下りがつらい。だんだんペースが遅くなる。蝶槍への往復に1.5倍の時間をかけてしまったので、夕立が来ないうちにと気持ちは焦るが、段差が深い階段状の箇所では足への負担も大きかった。女子大生の夏山合宿のパーティーとすれ違い、大きなザックに汗して登る姿に懐かしさを覚えた。

 徳沢に帰り着き、徳沢園の食堂で夫はビール、私はプリンで一息ついていると激しい夕立になった。ギリギリセーフだったのだ。此処までくればあとは平坦路、雨が止むか小降りになるまで休むことにした。かれこれ30分も停滞した後出発。明神では美味しそうなリンゴを売っていたので、またもやベンチで休憩してしまう。休みすぎのためか歩くのが億劫になり、足の疲れもつらくなってきた。上高地の散策路内で、夫がうっかり遠回りをしてしまったことさえ文句が出る始末。最後は足を引きずるようにして、ようやく宿泊するホテルに到着した。



 4日目 8月1日(木)大正池散策 晴れ 快晴

 温泉ホテルでゆっくり疲れをとった翌日、大正池を散策した後バスターミナルまで戻った。ターミナルの掲示板に張り出された「事故」のお知らせには、蝶ヶ岳稜線での落雷事故も含まれていた。事故に遭った方のお連れ合いの切羽詰った表情と、そして槍・穂の大パノラマは一生忘れられないだろう。