HOME > 山行一覧 > 秋田駒ヶ岳(2008年7月2日)その3





コース
八合目登山口出発(シャクナゲコースで)…焼森…横岳…大焼砂…(火口原に下り)駒池…男岳分岐…阿弥陀池…(片倉岳コースで)…片倉岳展望台…八合目登山口到着
《標準タイム 約4時間》
八合目登山口八合目登山口(→120分)横岳(→30分)大焼砂(→20分)駒池(→20分)男岳分岐-阿弥陀池(→45分)八合目登山口

ムーミン谷

 正しい由来は知らないが、秋田駒ヶ岳の火口原で男岳、女岳、小岳に挟まれた谷は、一部の登山者たちにムーミン谷と呼ばれている。6月中旬から7月中旬には、ヒナザクラ、チングルマ、イワカガミなどが群生する。広大なお花畑と火口跡の駒池、荒々しくそびえ立つ男岳の岩峰の眺めとが醸し出す雰囲気はこの世の風景とは思えない、まるで別世界のようだから「ムーミン谷」と呼ばれるようになったのだろうか。

 秋田駒ヶ岳は昔から高山植物の宝庫である。しかし少なくとも私が登った11年前は、登山ガイドブックに花の見所として紹介されているのは、タカネスミレとコマクサの大焼砂付近と他種類の花が咲く阿弥陀池付近が中心だった。当時発行のガイドブックには火口原のお花畑についての記述はあっさりしたもので、登山地図やガイドブックには「馬場ノ小路」の記載もない。だから11年前の山行のときは、コース取りの中に組み入れていなかった。ちなみにそのときは旧道で下山しようとして、阿弥陀池小屋裏手の湿原地帯のチングルマ群生に感激した記憶がある。

 以前はこの火口原のチングルマの大規模群落は、地元の登山者など一部の人たちの知る人ぞ知る場所であったのかもしれない。私自身が「ムーミン谷」を知ったのも、2000年にメル友になったBUNさん(山形在住で秋田在住の山友達と秋田駒ヶ岳に登っている)に教えてもらったからだ。

 それが近年有名になってきたのは、おそらくNHKで番組として取り上げたことから田中澄江の『花の百名山』に再びスポットが当たり、「花の百名山」をテーマにした登山ガイドブックも発行されたことも一因だと思う。『花の百名山登山ガイド 上巻』(山と渓谷社・2002年初版版)の秋田駒ヶ岳の項目には、「火口原を埋めつくすチングルマ」のムーミン谷の写真が掲載されていて、火口原を縦断する道が「馬場ノ小路」として紹介されている。このようにしてムーミン谷にスポットライトが当たるようになってきて、ここを歩く登山者が増えてきた。登山者の増加はふつう高山植物群落の衰退に繋がっていく。以前は登山者は群落を縫うようにして歩いていたので道が複線状になり、踏み荒らしによる被害が出ていたそうである。それが現在は木道に置き換えられて、踏み荒らしは食い止められたように見える。皆に知られて訪れる人が増えることにも、メリットがないわけでもないようである。





ムーミン谷へ
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〔9:35〜10:50〕ムーミン谷:大焼砂から下りて来てここに下り立ったときの驚きは、言葉で表せない。タカネスミレの群落にもコマクサのピンクの帯にも「ひゃ〜」と驚いたが、ムーミン谷のチングルマの場合は、花が密集していることに加え谷の雰囲気もプラスされ、まさしく別世界にいるような気分になった。しかもその大群落の中を歩けるのである。木道を行く人々の顔は皆笑みがこぼれている。私たちも笑いが止まらない。

ムーミン谷

ムーミン谷を埋めつくすチングルマ
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(BUNさん撮影)
三人ムスメ
三人ムスメ
(BUNさん撮影)
馬場ノ小路
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秋田駒ヶ岳
最高峰 男女(おなめ)
標高:1637m
(今回は登頂せず)

山行日 2008/07/02
場所 秋田・岩手県
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MAP 秋田駒ヶ岳「花の山行コース」マップ サブウィンドウを開きます
山行コース
参考 秋田駒ヶ岳情報 - 仙北市
《画像について》
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ムーミン谷を行く
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 興奮気味にたくさんの写真を撮りながらゆっくり歩き、中程で昼食?休憩をした。三人ムスメ登山隊山行で楽しいのは、ランチのときに、それぞれが持ち寄ったものを食べられること。BUNさんのバナナと熱いコーヒー、Y子さんの手作りの漬け物、電車利用の私はたくさんは持参できないのでハウスみかんを。これが定番。チングルマに囲まれてのランチは贅沢な時間だった。

←写真撮影に余念がない二人の隊員を残し、先をスタスタ歩く私を、BUNさんに激写されていた(笑)



ヒナザクラとチングルマの蕾
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ショウジョウバカマ
ショウジョウバカマ
 駒池より先では、まだ開花していないチングルマの群落もあった。かわりにヒナザクラがたくさん咲き、ショウジョウバカマも咲いていた。



男岳へ
男岳へ
 馬場ノ小路の奥まで来ると、男岳への急な登り坂が待ち受けている。見上げるような急登だ。実はここ、11年前の山行のときは阿弥陀池から男岳分岐へと登り、あまりに急な下りだったのでエスケープしたのだった。BUNさんからここはシラネアオイが多いので、花を眺めながらゆっくり登れば辛くないよと聞いていた。なるほど登り口まで来るとシラネアオイが咲いていて、しかもずっと上まで咲き乱れている。登り口の左手斜面には、ミネザクラムラサキヤシオツツジも咲いていた。

シラネアオイ
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シラネアオイの群生
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火口原と小岳
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 花々に励まされるようにしてキツイ急登を登った。振り返ると小岳にカタツムリのような渦巻きがあり面白い。雲の中に隠れていた鳥海山が、残雪も清々しい山頂部を雲の上に覗かせていた。花と火口原の俯瞰と鳥海山の遠望を楽しんでいるうち、いつの間にか男岳との分岐まで登り切っていた。

〔11:40〜11:50〕男岳分岐:今回の私たちの山行は、男岳山頂も男女岳山頂もパス。だからここからは下りのみである。男岳分岐で休憩。乾いた喉にみかんが美味しい。男岳の頂上にいる登山者を眺めながら、11年前も時間が足りずに男岳には登頂していないことを思いだしていた。下りるのも登るのも時間が足りずに、結局横岳への稜線通しの道を進んだのだったが、これが岩稜帯の急登だったりヤセ尾根だったりで、初心者には結構苦労だったのだ。そんな思い出に浸りながら、今度来るときには男岳には登ろうと思っていた。

阿弥陀池と浄土平を見下ろして
阿弥陀池と浄土平を見下ろしてサブウィンドウを開きます
 阿弥陀池と浄土平を見下ろして下る。登って来る人に、どういうコースで歩いているのかを尋ねられる。「スゴイですねえ」と言われる。ちっともすごくはないのだけど…。阿弥陀池に下りると、夫婦が「花が多いと聞いてきたけど、それほどではないね」と話している。八合目から片倉岳コースで登って来ただけではそうかも知れない。しかしそれでは秋田駒ヶ岳を知ったことにはならない。花の名山秋田駒ヶ岳を味わい尽くすのには、歩く場所と時期を調べて選ぶことが大事だ。

 秋田駒ヶ岳が初めてのY子隊員は、トイレ利用がてら一人で阿弥陀池を一周。その間他の隊員はベンチでお喋り。私もエゾツツジを探し求めて一周すべきだったかと、後で後悔(^^;


〔12:30〜13:25〕片倉岳コース:片倉岳コースは登山装備をしていない軽装ハイカーでも登りやすいように整備されている。だが、決して花が少ないわけではない。11年前の7月下旬には、男岳の斜面に広がるニッコウキスゲの群生に目を見張った。今回はニッコウキスゲはまだ全く咲いていない時期だが、ハクサンチドリ、ミヤマダイコンソウ、イワカガミもそこかしこに咲き、黄スミレのキバナノコマノツメがたくさん咲いていた。シャクナゲコースには及ばないがハクサンシャクナゲも見かけたし、エゾニュウやトウゲブキは花芽を付けて、夏の開花を待っていた。

ハクサンチドリサブウィンドウを開きます
ハクサンチドリ ハクサンチドリ ハクサンチドリ


田沢湖の眺め
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荒涼とした岩壁
荒涼とした岩壁サブウィンドウを開きます
 田沢湖を眺めながら快適に下り、片倉岳展望台で最後の一休み。硫黄ガスの噴出で草木が生えず、むき出しの岩肌をさらした岩壁の箇所まで来れば、八合目登山口はもうすぐそこだ。

 マイカー規制時間前に駐車場に入った車は、下山の折りには下りのバスの後ろに付いていくことになっている。13時30分発のバスに付いて下りるのは見送って、次のバスまで駐車場でのんびりした。容赦なく照りつける太陽は、梅雨のさなかとは思えないほどで、暑い暑い。ということで、温泉、温泉!


田沢湖高原温泉 アルパこまくさ

アルパこまくさ
 駒ヶ岳線バスの発着所でもある日帰り入浴施設「アルパこまくさ」へ。温泉は白濁した硫黄泉の源泉掛け流し。露天風呂は前方の展望が開けていて気持ちがよい。洗い場は広々としていて清潔で、シャンプー、ボディシャンプーあり。和室休憩室も広めで、時間があるときはゆっくりできそうだ。

 BUNさんより一足遅れてアルパこまくさを出たら、BUNさんと一緒に待ち受けていたのはBUNさんの山友達で秋田にお住まいのKさん。BUNさんからの紹介で、ずっと以前から時々メールのやり取りもしていた方である。秋田駒ヶ岳や森吉山の情報をメールで頂いたり、新潟県の角田山山行(山行記録)の折りには写真や宿のパンフレットを頂いた。いつの日かお会いしたいとは思っていたが、この日突然の初顔合わせには驚いた。しかも初対面がお風呂上がりのスッピンでとは…(笑)

 BUNさん、Y子さんの庄内組両隊員のマイカーでの帰りの旅路も長い。そのため事情をゆっくり把握する間もないまま、Kさんが私を田沢湖駅まで送ってくれると聞かされ、初対面でいきなりお世話になるのも恐縮過ぎると思いつつご厚意に甘えることにした。アルパこまくさの駐車場でBUNさん、Y子さん両隊員との慌ただしい別れ。再会のときと同じようにハグをし合って別れた。再会のとき、山を歩いているとき、別れのとき、Y子さんが何度か「このメンバーでまた感動を共に出来るのがうれしいね」と言っていたが、私もまったく同じ気持ちだった。