余計な前書き 近年2度利用している海外トレッキングの旅行会社から営業のお電話があり、夫がホイホイとその気になってしまった(笑) まぁ、体力、経済、親の健康問題などなど、海外トレッキングは行かれる状況にあるうちに行ってしまう方が良いだろう。

 高山植物の花好きならば憧れである、4000m以上の高地にしか咲かない「ブルーポピー」を見るのが私自身の夢だった。咲いているエリアの中でネパールのヒマラヤ・ランタン谷は、今年2015年4月に起きたネパール地震のため現在は行かれなくなってしまった。旅行会社のパンフレットを見ると中国四川省での、車で行かれる4000m超えの峠でブルーポピーを見て、6250m峰四姑娘山の山麓をハイキングする企画があった。フラワーハイキングに絞った企画もあるが、世界遺産の景勝地である黄龍と九寨溝を組み合わせた企画に心が動いた。テレビの自然番組で見て以来、行きたかったからである。

 旅行会社のツアー説明会では、四姑娘山の山麓をハイキングするコースは大姑娘山登山コースの一部を歩く。トレイルはホーストレッキングのせいで近年道が荒れているそうで、「どんどんひどくなるので、早い内に行くのが良いですよ」とのこと。2008年の四川大地震の被災地も復興し、成都でも起きた2012年の反日デモが沈静化して久しい。また現状の世界の政治状況下では、将来中国旅行に行きにくくなる可能性もあり得る。確かに行くなら今かもしれない。

 6月に咲くアツモリソウが見られるかもと、7月初旬出発の企画に参加したかったが満席とのこと。7月中旬出発のコースは黄龍・九寨溝での水量が豊富になっていて良いのかも、と自分の心を納得させて申し込んだ。不安の種は天気だけ。現地の夏は雨期でもあり、旅行会社も「日程のうち雨に降られる日があることは承知してください」と言う。その後6月下旬に韓国で発生したMERSの影響なのか、コースの残席が埋まらなくなり催行中止の可能性ありとの連絡が…。急遽別のコースへの変更を検討したが、結局参加人数5人(実際は終盤1人増えて6人)での催行決定の知らせが入った。

はじめに

利用したツアー

四姑娘山と黄龍・九寨溝ハイキング 9日間 / アルパインツアー

 旅行会社の案内で、歩行時間を目安にした体力レベルは「一日の歩行時間が2~4時間が主体のハイキング」と「5時間以上の歩行が4日以上含まれる、やや健脚向き」の中間レベル。高度に関し「歩行範囲:2000m~3800m,最高宿泊地:3150m,高山病の影響ややあり」。

気候と服装について

 四川省は沖縄の那覇と同緯度、四姑娘山山麓、黄龍・九寨溝がある四川省北西部で奄美大島と同じくらいの緯度である。高地でも晴れていれば暑いが、太陽が出ていない曇り空の日や早朝・夜間は冷え込む。基本的に行動時の服装は日本での夏山用服装で、防寒用に羽織る薄手フリースと風よけパーカーで充分だった。海抜約500mの盆地である成都の夏は、相当蒸し暑い。

 前書きで前述したように、夏(7月~8月)は四川省全体、山岳地帯共に雨が多い。晴天に恵まれたこの旅でも、午後になるとにわか雨が降ることが多かった。太陽が照りつけて暑かったり、急に雨になったりとめまぐるしく変わることもあり、尾根歩きではない場合は折りたたみ傘が重宝した。

中国の観光地状況について

ホテル

 四川省の省都である成都(チョンドゥ)は都会だが、山岳地帯の宿泊地は村規模か地方都市規模なので、ホテルの設備やサービスに期待しない方が良い。シャワーを使えば洗面所全体が水浸しになる、朝電気が付かないのでスタッフを呼ぶと夜中に勝手に部屋のブレーカーが落ちていた、高地で冷え込むのにエアコンが働かない、パネルヒーターがあるのに故障している…などなど。利用ホテルの建物は結構古く、内装にあちこち小さな破損があるが修理されていない。あちらこちらのホテルで、洗面台のカウンターと洗面ボールの接着が剥がれてすき間ができていたりするところを見ると、元々安普請なのではと思った。

 人的サービス面の不満では、掃除がないがしろな感じだったり、トイレットペーパーが補充されていなかったり。チェックインの際にツアーリーダー(このツアー会社では、登山ができる添乗員をツアーリーダーと称する)が過去の苦情に基づいたホテルの不備を説明し、メンバー各自での部屋の不備・不具合の点検をし、報告を受けてトイレットペーパーの補充などをホテルに頼むという有様。ツアーリーダーさん、毎度ご苦労様なのだった(笑)

 更にポーターがいなくて自分でスーツケースを運ぶ(今回は全ホテル)ことに文句はないが、ふかふかの絨毯が敷き詰められた長い廊下は、スーツケースが転がらずに難儀。ちなみにこのツアーで利用しているホテルのグレードは、成都での最終日以外はBクラス。料金が少々高くなっても、もう少し良いホテルを設定してほしい気もする。しかしサービスの質の向上はまだまだという中国であるから、初めから期待せず、不備があってもいちいち気にしないで旅を楽しんだ方が良い。

トイレ

 「中国のトイレ」で検索すればかなりの情報にヒットするし、それ(悪評?)はもう多くの人に知られていて今更書くまでもないかもしれない。私自身もだいぶ前に桂林・広州への旅行や北京旅行で「汚い、流れない、紙は流してはいけない、扉がない、扉があっても開けっ放しまたは鍵をかけない、えっ!個室に友だち同士同時に入ってる」などの、中国の公共トイレ事情とマナーの違いは体験して既知だった。北京オリンピック以降、大都市でのトイレ環境は相当改善したらしいが、今回は田舎に行くので、ある程度の覚悟はしていた。

 中国の公共トイレは排水管設備と水圧の問題から、使用済みペーパーは流れないので流さずに、備え付けの屑籠へ入れるのが決まりである。そのため臭気がひどい。これに該当したのが、観光地での公衆トイレと昼食で利用したレストランのトイレ。海外からの観光客が利用するようなエリアでは、まず扉がちゃんとある個室タイプになっていた。和式に似ている中国式しゃがみ込み便器が多いが、洋式便器がある場合もあった。ただし洋式便器は悲惨に汚れていることもある。どうも中国人女性のなかには、おそらく都会在住ではない人や高齢の人だろう、感染症を恐れて洋式便座に座るのを嫌い、便座に乗って用を足す人がいるそうだ。まぁ、ひと昔前の日本でも往々にしてあったことである(笑)

 観光地九寨溝の景勝地エリア内の公衆トイレは、環境保護に配慮したビニール巻き込み式のエコトイレである(利用しなかった)が、入場ゲート前のトイレ棟は上記の仕様での個室が並ぶタイプ。中国人観光客もハンカチで鼻を覆うほどの臭気なので、入場してからエコトイレを利用した方が良いかも。

 長時間ドライブでの移動中では、トイレタイムをとって村落内の公共トイレを利用することもあった。1回だけこういう無料の公衆トイレを利用したが、扉がなくて水が流されている溝と前後に仕切り壁があるだけの、伝統的な中国トイレだった。溝には終始水が流されていたので、臭気がなくてかえって快適にさえ思えた。もちろん男女別にはなっている。また幹線道路に沿った村落に、ドライバーを対象にしているらしい有料公衆トイレがある事もある。

 宿泊したのはホテルなので、客室やロビーの水洗トイレは日本と同様に流すことができる。

中国人の公共マナー

 公共の場所で「仲間とや携帯電話で大声で話すのでやかましい、並ばない、列に平気で割り込む、ゴミのポイ捨て、所構わずつばを吐く」などなどの中国人のマナーの悪さは有名である。で、実際に観光地である九寨溝では「唖然、絶句」という光景を見たり迷惑を被ったりした。

 しかし例えば列への割り込みでは、彼らは割り込みが悪いことだとは思っていないそうで、割り込みに成功して「得をした私、エライ」と思うだけらしい。中国では社会の規範や協調よりも自分と自分の身内が大事という考え方がある。また「図々しい」という発想が希薄で、日本的「遠慮」は「よそよそしい」と感じる感覚の違いもある。それにはひとつひとつ歴史的・文化的背景があり、そういう国民性と社会習慣が確立してしまっているのである。インターネット上や日本で実際に見聞きするのは、海外旅行者としての彼らのふるまいなのだが、私たちが遭遇したのは国内旅行中の中国人観光客である。自国で自国流に普通に振る舞っているだけなので、それを見て怒っても仕方がない。

 国際社会で通用する公共マナーが中国社会に根付くのは、まだまだ先かもしれない。中国人ガイド氏曰く「30年くらい経たなきゃ変わらない」だそうだ(笑)

 ちなみに黄龍での圏内シャトルバスでは、参加メンバーの男性で白髪のTさんが若い中国人女性に席を譲られていた。ネットでも席を譲る若者が当たり前に多いと書かれている記事があった。マナーの件は、一括りにして一刀両断で決めつけることではない。

インターネット事情

 ほとんどのホテルで無料Wi-Fiを利用できるが、ホテルによってはロビーでしか使用できない事もある。中国初日のホテルで早速教えて貰ったパスワードをスマートフォンに入力し繋がったみたいなのだが、スマホの私の利用度が高いアプリ(Android)はどれも使えなかった。中国では「Twitter」はブロックされていると知っていたが、Google関連アプリはブロックが解除されて使用できると思い込んでいたので首をひねるばかり。その後の宿泊地でも同様で、暇がないことからホテルの無料Wi-Fiを利用しない事が多かった。

 最終日の成都では時間があったのでじっくり試行したところ、やはり「Google検索」「Googleマップ」などGoogle関連アプリは全滅。「Gmail」が使えないのが不便。ただブラウザの「Chrome」はOK。SNS関連アプリでは、Twitter(私の場合、Twitterクライアント「Janetter」を使用)はもちろん、「Facebook」「Instagram」「Google+」がアクセス不可だった。RSSリーダーアプリの「feedly」もブロックされた。アクセスできたアプリは、日本の新聞社の専用アプリと「はてなブックマーク」と他愛もないスマホゲーム「ねこあつめ」くらいという有様だった

 「金盾」(Great Firewall)という中国のインターネットアクセス規制が、現在はかつてよりきつくなっていることは、帰国してから調べてわかった。

四川料理

 食事はほぼ全部四川料理だった。円卓に次々と料理が運ばれ、銘々皿に取り分けて食べる、他の人のために円卓を回す、そのそばから別の料理が運ばれてくる…という具合なので、今回は料理の写真を撮影する余裕はなかった。しかも毎度同じような料理なので、だんだん撮影意欲も失せてしまい料理の写真は極めて少ない(笑)

 料理の種類は多く、炒め物が数種類、主食のご飯やおかゆ、マントウ、ときには茹でたじゃが芋も加わり、そして具入りスープが1~2種類というのが定番である。「麻婆豆腐」「宮保鶏丁」「回鍋肉」「辣子鶏」など日本で見聞きしたり、私自身が作ったりする四川料理もあるが、初見の料理もある。いずれにせよヤクまたは牛肉か豚肉あるいは鶏肉と、数種の野菜・キノコ・タケノコなどと取り合わせて炒めて唐辛子と花椒(ホァジョー)などのスパイスや豆板醤で味付けした炒め物である。野菜の種類が豊富だから料理の変化がないことはないが、昼も夜もこんな調子である。

 花椒(ホァジョー)は山椒に近い香辛料で、香りが高く舌が痺れる辛さがある。日本でも麻婆豆腐に使われて有名で、四川料理の特色である。本場の麻婆豆腐はやはり花椒が効いて、本当に舌がビリビリ痺れた。このように辛い料理が多いが、青梗菜(チンゲンサイ)や空心菜(クウシンサイ)など葉物のシンプルな塩炒めは必ず入り、色鮮やかにシャキッと炒められているので美味しかった。さらにいつでもどこでも毎回必ず出るのが「トマトと炒り卵の塩炒め」。これらに時には肉だけを調理した料理も加わる。主菜だけでも10種類近くはあるという多さ。すべてお皿に山盛りなので、ビュッフェ形式での朝食を除けば、お皿がきれいに空になることは1回もなかった(笑)

 ちなみに「蚊の目玉のスープ」は一度も出なかった(^_-)

長坪(チャンピン)村のレストランでの昼食
長坪村のレストランでの昼食
成都のレストランでの昼食
成都のレストランでの昼食

 主食のご飯は高地のためか炊き方の問題か、それ以前に品種(ジャポニカ米ではある)のせいなのか、ぼそぼそしていて美味しいとは言えない。しかし大概は塩味ナシのおかゆも出るので困らなかった。私の好物のマントウ(饅頭:肉まん風で具が入らない蒸しパン)がモチモチとして小麦の素朴な風味が豊か。食欲がなくても手が伸びた。

 チベット系民族の自治州なので、日隆の近くにある長坪(チャンピン)村のレストランでは、チベットのパン(バレ or パレ,balep )が登場。甘くないホットケーキのようで、好みのモチモチ食感。このレストランではバター茶も頂いた。

 どうしてもおかず全てが脂っこいので、偶にメニューに入る麺料理は参加メンバーの皆にも大人気。湯麺、炒めうどん風のいずれも美味しかった。

 私も夫も中国料理が好きであり、海外旅行では中国に限らずどこでも、だいたいそこの料理に順応できてきた。しかし今回はたとえ美味しくても同じような料理が毎食続くので飽きてくるし、激辛料理を避けて食べても、胃腸の調子がおかしくなった。消化薬と整腸剤は必携である。

《参考サイト》美味四川 »

GPSログについて

 今回もスマートフォンのGPS機能を使ったGPSログ取得を行った。このツアーでは、専用車での長時間移動の日、車で行かれる展望地やブルーポピーが咲く峠に行き午後からハイキングをする日、丸一日ハイキングをする日など様々なスケジュールになっている。しかも双橋溝、九寨溝では圏内シャトルバスを乗り降りしながら歩く。そこでスマートフォンのアプリはドライブモードのGPSログ記録がしやすい「My Tracks」と、登山・トレッキングのGPSログ記録がしやすい「山旅ロガー」とを状況に合わせて使用した。

参加メンバーのこと

 成田から添乗した旅行会社からのツアーリーダー杉村さん(女性)と、成都の旅行会社の中国人ガイド鄭さんと専用車の運転手張さんがツアーを率いた。ツアーの参加者は私たち夫婦以外は全員単独参加者で、女性3人・男性1人。山歩きが目的でもなさそうな旅行好きの女性がいれば、帰国後はすぐに沢登りの予定、その後も仲間との登山計画がびっしりという“山おんな”さんもいるという感じの顔ぶれ。6人という少数グループでのツアーなので打ち解けるのも早く、専用車での長時間ドライブではゆったりと座れてかなり楽だった。

 ハイキングの時にはまとまらずにバラバラで歩く状況も多かったためか、メンバー全員揃って撮影した記念写真が1枚もなく、必ず誰かひとりが入っていない記念写真ばかり(笑)



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