余計な前書き 皆既日直とオーロラを見たいというのが夫の夢で、皆既日食は2012年11月14日、オーストラリアのケアンズ沖合で念願を叶えていた。残るはオーロラだ。夫は2年ほど前から着々とオーロラを見に行く気持ちを固めていたらしい。そして送付されてくるツアー会社のパンフレットを真剣に見たりしたうえで、オーロラを見に行くならカナダがベストと決めていたようだ。

 1993年にカナディアンロッキーへの観光旅行でジャスパーに滞在したとき、ジャスパーでもオーロラが見られるとは聞いていた。しかしカナディアンロッキー北部はオーロラベルト(オーロラの発生している領域)から外れていて条件が良くない。それで以前はオーロラを見に行く場所は、北欧かアラスカ、カナダならイエローナイフ(ノースウエスト準州)などと思い込んでいた。カナダ・ユーコン準州のことは、全く頭の中になかった。私にとってユーコンといえば、開高健や野田知佑→アラスカ・ユーコン川であり、カヌーでの旅やフィッシングというイメージだったからだ。

 今年6月のある日に、夫があるパンフレットを私に見せた。秋のユーコン特集のパンフレットだった。世界遺産でもある「クルアニ国立公園」の美しい写真と、ツンドラの原野が赤く染まったトゥームストーン準州立公園の写真に目を奪われた。これは…。うん、行くっきゃない!

 ユーコンの夏は日照時間が長く白夜になるため、秋口でのオーロラ鑑賞は空が暗くなる深夜になってしまう。オーロラ鑑賞で冬が最適なのは、日没が早く夜が長いのでチャンスが増えるためだ。また厳寒期は空気が乾燥して雲が湧きにくく、空がクリアだからでもある。しかし真冬のオーロラ鑑賞は厳寒に堪える防寒着が必要で、温度差によるカメラの結露対策、バッテリー低下など面倒なことがいろいろある。その点秋での鑑賞は、それほど寒くないので鑑賞も準備も楽。しかも秋はオーロラのエネルギーが活発で出現しやすいという。更にオーロラの活発な活動周期は、今シーズン2015年春までだとか。行くなら今、だったのだ。

 とういうわけで、6月中旬に催されたツアー会社の説明会に参加し、その場で8月下旬出発のドーソン・シティ滞在型・ハイキング重視のツアーに申し込む。ところが既に催行人数に達し募集が終わったとのこと。クルアニ国立公園での滞在型プランも魅力的だったので、ユーコン北部の「ツンドラの紅葉」は諦め、クルアニ国立公園のツアーを申し込んだ。しかしツアーの催行決定を待つ間、やはり「ツンドラの紅葉」を諦めきれず、8月22日出発の「北極圏の旅とユーコン縦断ハイキング9日間」のツアーに変更していただいた。

 ユーコンのツンドラの紅葉の最盛期は平年で8月下旬から9月上旬だそうで、しかも見頃時期は極めて短い。出発日が迫るにつれ、紅葉には時期が少し早すぎるんじゃないかなあ…、オーロラを見るために深夜に起きられるのかなあ…と、ちょっぴり迷ったり悔やんだり(笑)

はじめに

利用したツアー

北極圏の旅とユーコン縦断ハイキング9日間 / アルパインツアー

 大型バンの専用車1台で移動するため、8名限定のツアー。北極圏を目指すツアーなので、旅のほとんどはドライブになる。ユーコン準州の面積は日本の1.3倍もあり、縦断となれば1日の走行も長くなる。従ってツアーでのハイキングのための時間は少く、行程中3回、それぞれ2~3時間程度である。もっと歩きたい人には物足りないだろう。山旅専門のツアー会社なので、ハイキングの体力・技術レベルが登山靴マークで示され、このツアーは「靴2つ」の軽ハイキングレベル。実際に歩いた感じでも、“お気楽レベル”と言っても差し支えないだろう。ただしトレイルがないツンドラを歩いたりするので、登山靴は必須である。
 ロッジでの宿泊(1泊)は、男女別相部屋になる場合がある。

気候と服装について

日中の服装:東京の11月初旬~中旬くらいの体感で、晴れていればそれほど寒くはなかった。昼間の行動では秋物中間着にゴアテックスの登山用ジャケット、寒い場合はジャケット下に薄手フリースというような組み合わせをしていたが、ちょうど良かった。ハイキング時の服装も同様。ただ季節の変わり目のためか天気が安定しない日が多く、一日の間で曇りから雨、その後に晴れというようにめまぐるしく変わる日が多かった。また北極圏に近いイーグルプレインズは、ホワイトホースに比べやはり気温が低く、朝晩は結構冷え込んだ。

深夜のオーロラ鑑賞時の服装(防寒):冬の最低気温が零下30℃を下回る日もあるユーコン北部では、夜のオーロラ鑑賞での防寒用ウェアは重装備。しかし秋なら、深夜でも氷点下になるかならないかの冷え込みである。私たちの場合、スノーシューイングなどで身につける手持ちの防寒着で間に合う。具体的には発熱素材の防寒アンダーウェア上下、中間着、春夏用薄手フリース、薄手のインナーダウンジャケット、ゴアテックスの登山用ジャケットと重ね着して、冬用登山パンツ、防寒帽子という服装だったが、寒さに耐えられないということはなかった。用意した手袋は一度も使わなかった。ただ、オーロラの発生を待つ間はジッとしているので、タウンシューズでは足元がかなり冷えてきた。宿舎の傍で見る場合でも、厚手靴下と登山靴を履くと良い。

※オーロラの撮影については次のページでまとめました。

 ユーコン準州の「気候と服装」については、カナダ・ユーコン準州観光局の公式サイト(日本向け)の、以下のページを参照のこと。

参考サイト(ユーコンへの旅全般)

※参考サイトの2番目のブログは、カナダ観光局が「夏のカナダでオーロラ観測」を広報する目的で主催したブロガーイベントに参加され、カナダ観光局の招待旅行でユーコン準州を旅してこられた方のレポートです。詳しい情報と共に、楽しい読み物にもなっています。

GPSログについて

 北極圏まで行くので、帰国してから到達ポイントや走行のトラックを地図上で見たい。トレイルがないツンドラをハイキングするので、地図で場所を確認したい。そこでスマートフォンのGPSアプリ「山旅ロガー」を使ったGPSログ取得を行った。イタリア・アルプスの時は巧くいったので、特に下調べしないまま現地でアプリを起動したところ、「山旅ロガー」の測定モードは「徒歩」と「自転車」のみ…当たり前か(笑) ではドライブの場合はどうしたら良いのやら。仕方ないので「自転車モード」の最長10分間隔での設定にして取得。走行距離が長い日の完全fullログはファイルサイズが大きくなってしまったが、帰国後「カシミール」でウェイポイントの間引きを行った。アプリの起動を忘れていて、ツアー専用車の発車後結構時間が経ってから気づいて起動…などの失敗数々。ドライブ途中で下車してハイキングするときは、余裕がないと「自転車モード」から「徒歩モード」への切り替えもままならない。また現場でアプリが安定しないことがあったようで、ある日のログファイルは、出発点・帰着点以外のログが中抜けしていた。海外トレッキングの場合は、Googleマップと連携しやすいGPSアプリ「My Tracks」を使ってみれば良かったかな、とも思っている。

ドライブ中のGPSログをグーグルマップに重ねた移動マップです。右端の拡大アイコンで別画面で大きな地図が開きます。

 海外で取得したGPSログから写真への位置情報書き込みは、「カシミール」ではできないのでGoogleアース及びPicasaでのGoogleマップを使い、GPS取得機能がある夫のデジカメ(Canon PowerShot S100)で撮影した写真の位置情報も加味して、手作業でマッピングした。

《追記》GPSログのトラックをオンライン地図サービスに重ねた地図は、この旅ではGoogleマイマップで作成した。Googleマップは山岳地帯の情報が少ないのだが、極めて人口、人工物が少ないユーコンというエリアゆえ更に情報に乏しい。位置の把握やハイキングのルートマップでは地形の把握程度の参考にしてください。

参加メンバーのこと

ツアーメンバーと共に北極圏にて(車は専用車)
ツアーメンバーと共に北極圏にて(右は専用車)
写真はツアーリーダー篠崎さんから提供

 ツアーの参加者は私たちを含め8人で、夫婦での参加は私たちだけだった。男性2人の友人ペアと、4人の皆単独参加の女性。4人はざっくり言えば私と同年代だが、お三方は先輩(60代後半・70代前半)でいらっしゃるようだ …その元気、見習いたい。

 イタリア・アルプスのツアーでは、メンバーの方々が海外のあちらこちらへ旅している旅のベテランばかりで驚いたが、今回も同様だった。ドライブ中や食事のときなど、海外旅行の体験談をうかがっているだけでも楽しい。皆ほぼが登山愛好者だが、ひとり50代と思われる女性はバリバリの山好きではない。この女性はアイスランドでオーロラ体験済みで、オーロラ撮影に失敗したのが口惜しくて今回の参加になったとか。

 今回のツアーではツアーリーダー(アルパインツアーでは、登山ガイド兼添乗員の役割の人をツアーリーダーと呼ぶ)として、カナダ在住の篠崎洋昭さんがガイドしてくれた。登山ガイドの資格を持つが、犬ぞりツアーのガイド・専門家でもあり、カナディアンロッキーで活動されているそうだ。写真家でもあるので、オーロラ撮影の技術的アドバイスも的確。あらかじめ研究にいそしんだ私と、オーロラ撮影の挽回を狙ってきた(先で紹介した)女性メンバーが、オーロラ撮影に成功したのも彼の一助があったからだ。感謝。



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